表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使な悪魔の絶対運命  作者: みきもり拾二
◆【第三章】新生活は突然に
53/155

(五)心の真偽:やきもき


 ゼノリス第二十六地区本部────。


 『マウリニオの鏡』による調査を終えた俺は、簡単な身体検査を終えて一人、待機室のソファに座っていた。今はユリルが、俺と入れ替わりでマウリニオルームに入っている。

 正直、気が気ではない。


「(悪魔ってことがバレたりしないよな……)」


 祈るような気持ちだ。


 双破タケルはというと、もう一つのマウリニオルームに入っている。俺とほぼ同じタイミングで入ったが、かなり時間がかかっているようだ。


 俺は昨日、同じ調査を受けたので、早かっただけかもしれない。相変わらず、モンスレの映像が映し出されただけだった。特に今日は、蜘蛛の糸を焼き切るのに悪魔術(ラニギロト)を使った程度だから、それこそ取り留めのない映像ばかりだった。

 俺自身が悪魔術(ラニギロト)を使ったことがバレたりしないか、なんてことよりも、とにかくユリルの事が気がかりで仕方ない。


 いても立ってもいられなくて、腰を上げて部屋をグルリと回っては腰を下ろすを繰り返している。


 もう何度目か、部屋をグルリと一周している時だった。


 ガチャリとドアが開いて、埜之平コトネ副会長とユリルが入ってきた。


「二人とも災難だったわね、おつかれさま」

「双破先輩がいてくれて、ホントに助かりました」

「フフッ、そうみたいね。ちょっと飲み物持ってくるから、ここでしばらく待ってもらえる?」

「はい、わかりました」


 副会長は小さく手を振ると、ドアを締めて去っていった。


 すぐにでも尋ねたい気持ちでいっぱいだったが、この部屋にも監視カメラがある。あからさまな行動をすれば、怪しまれかねない。ドキドキする胸を抑えながら、ゆっくりとソファに腰を下ろした。


 すると、ユリルが近寄ってきて、すぐ横に腰を下ろした。太ももがかすかに触れる距離だ。


「……どうだった?」


 床を見つめながら、小声で尋ねる。


「短期記憶が映し出されてました。『ノイズが多いよ〜』って星渡(ほしわたり)さんが言ってましたけど」

「そっか……俺が悪魔術を使ったってことは?」

「精霊魔術を使ってました、と言っておきましたよ」


 ユリルの口調が明るい。チラリとユリルの方を伺うと、ニコッと微笑み返してくれた。それだけのことだが、胸いっぱいに温かいものが広がる。

 思わず頭を掻きながら、自然と頬が緩んでいた。


「他に、何か怪しまれるようなものは映ったりしなかった?」

「うーんとですね……」


 ユリルは人差し指を顎にあてて、思い出すような感じで天井を見つめる。


「お父さんやお母さんが出てきましたね。あと、永嶋さんとさっちゃんも」

「それって……なんだろう?」

「……わかりません。なんでしょうね? 時々、フワッと出てくるだけで……星渡さんから『この人は誰ですか〜?』って質問されちゃいましたけど」

「うーん、なるほど……」

「きっと大丈夫です。問題無いと思いますよ」

「そっか。じゃあさ、身体検査の方は?」


 朝、以前のミストで受けた傷のことを気にしていたはずだ。


「大丈夫でした。グァルディオール反応も標準プラスということで」


 思わずホッと、溜め息をつかずにはいられない。


「ナツトくんの映像化は、どうでしたか?」

「俺は相変わらずさ。モンスレの映像ばっかり」

「そうですか。……あとで教授にもお話しましょう。わたしが『マウリニオの鏡』の調査を受けたって聞いたら、どんな顔するか、ウフフ」


 ユリルは胸の前でそっと手を合わせながら、可笑しそうに微笑んだ。俺なんかよりも、よっぽど度胸が座ってるな……。


「わたし、あんなに綺麗に映像が映ると思ってなくて。わあ、面白いなって思いながら質問に答えてました」


 アトラクションに喜ぶ子供のような表情だ。


「姫がご満悦のご様子で、爺は満足にございます」

「あら?」


 俺のおどけた言葉に、ユリルが目を丸くする。


「双破に、『姫』って呼ばれてたでしょ」

「あれは……実はちょっと恥ずかしいんですよ。双破先輩にもそう言ったんですけど」

「え、そうなの? まんざらでもなさそうに見えたけどな〜」

「わたし、独り立ちした立派な女性を目指してますから」


 そう言うと、ユリルは背筋をピンと伸ばし、澄まし顔をして見せた。

 まるで「子供扱いしないで!」って言う幼い子の用に見えて、思わず「ふふふ」と笑う。ユリルも顎に手を添えてクスクス笑う。


 二人でいると、それだけで楽しいな……。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ