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天使な悪魔の絶対運命  作者: みきもり拾二
◆【第二章】天使な悪魔の護り人
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(一)枷の力:ただの時計?

「……であるから、三角形AIEと三角形ADCの相似比も……」


 高校の授業中────。

 登校してすぐ、精霊プリズムを再配給してもらってからは、すっかりいつもの日常の中にいた。


「(それにしても、精霊プリズムが無いだけで、あんなに好奇の目で見られるとは……)」


 通学中、2度も警察に呼び止められたっけ。『精霊プリズム再配給申請書』を見せたらすぐ解放してもらえたから良かったものの……。


 登校してすぐに再配給してもらった、新しい精霊プリズムをチラリと見る。

 今は大人しく、『プリセルケット』に収まっている。授業中はこの『プリセルケット』と呼ばれるソケットに、精霊プリズムを収めるのが規則だ。精霊プリズムのベッドとも言うべき物で、ここに収めている間は、精霊魔術を発動することは無い。


 今度のは精霊魔術を使えるようになるといいな……。前の奴は小学校に入学して以来の長い付き合いだったけど、結局、これっぽっちも精霊魔術を発動してくれる気配が無かったからな……。

 長い付き合いだったのに、と思うと、突然の別れが少し寂しく感じられた。


「……よってAJ対JBは1対1の関係であると……」


 教師の言葉を右から左へと聞き流しながら、なんとなく左手首にはめられた『絶対運命の枷』に視線を向ける。

 手の甲側の中央部には、アナログ時計が埋め込まれている。一見すればただの腕時計だ。ただ、枷というだけあって、腕時計にしては幅がありすぎる。

 腕を巻くバンドは黒い鋼のような丈夫な素材で出来ていて、5mmぐらいの厚さがある。幅は4cmほどで、遠目に見ればリストバンドかと思われるかもしれない。

 いずれにせよ、これを引きちぎるには、相当な力が必要そうだ。


「(なんとか外せたりしないかな?)」


 枷と手首の間には、指先がちょっとだけ入るぐらいの隙間がある。多少は位置をずらす事もできるので、汗を拭うくらいは大丈夫そうだ。


「(……もしかして引き抜けるんじゃないか?)」


 思い立って、手を細めて無理やり引き抜こうと試みる。


「(いててっ!)」


 何かを察知したかのように枷が急に小さくなって、俺の左手首を締め上げてきた! 痛みに手をプラプラと振ると、すぐに枷は元の大きさへと戻った。


「(ふう〜〜っ、ちぎられるかと思ったぜ)」


 一瞬、血が通わなかったせいか、手のひらにチリチリとした痺れを感じる。手をグーパーしてみたところ、とりあえず問題はなく、無事なようだ。

 どうやら強引に外そうとするとダメらしい。重くて固い鋼鉄のような素材かと思ったが、何かのきっかけで柔軟性を発揮するようだ。さすがは天使のアイテム、といったところだろうか。


「(ふぅ〜〜〜ん……しかし、この時計狂ってるな)」


 埋め込まれている時計のガラス面をちょいちょいと指で擦ってみる。黒い針と白い針がちょうど正反対を指し、一直線に並んでいる。黒い針が少し短く、普通の時計の短針のように見える。

 盤面にはデジタルの時計表示もあって、そちらは正しい時刻を示しているようだ。


「(……黒い針は……一応、時刻を示してるっぽいな)」


 教室の丸時計と見比べてみる。丸時計の短針の角度と、黒い針の角度はぴったり一致していた。つまり、白い針の角度が狂ってる、ってことだろうか。


「(調節できないのかな?)」


 時計部分のガラス面をやたらめったらタップしてみるが、特に反応は無い。バンド部分も同様だ。


 そうやって枷を眺め回しているうち、時計が埋め込まれているあたりの側面、手とは逆側に、ボタンのような突起があることに気づいた。突出部分がほとんど無いが、指で触ると微かに凹凸が感じられた。丸いボタンと四角いボタンで、触れればわかるという感じだ。

 どうやらアンティークな作りらしい。

 なにげに、小指側にある丸いボタンを押してみる。


「(え……)」


 ボタンを押した瞬間、スッと枷の姿が消えた。指で触ると、確かに手首に巻き付いている手触りがあるが、視覚で捉えることが出来ない。

 腕を動かしていろんな角度で眺めてみるが、光の具合で見えるとかそういうことも無いようだ。巻き付いている部分が光の屈折のせいか、わずかに細く見えるかも、というぐらいだ。


「(透明にする意味ってあるのか?)」


 そんな風に思わずにはいられない。パッと思いつくにしても、公共の銭湯やプールに入るときに消しておくぐらいじゃないだろうか……。

 丸いボタンを探り当てて押すと、再びその姿が視認できるようになる。


「(う〜ん、まあいいか……じゃあこっちは、と)」


 四角い感触のボタンを押してみる。と、時計部分の盤面がフワッと緑色に微発光し始めた。


「(……暗い場所用のライト機能かな?)」


 もう一度押すと、微発光も収まる。


「(他にボタンは……)」


 枷を指で撫で回してみるが、その2つ以外に突起らしい突起は見当たらなかった。


 腑に落ちない気分で、ボタンを何度か押してみる。長押し、2つ同時押し、連打、引っ張る、ねじ巻きのように回してみる……いろいろやってみたが、他の機能が作動するということも無さそうだ。


「(うーん、白い針の位置が気になってモヤモヤするぜ……)」



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