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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

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65/121

65 狩猟依頼

 朝ご飯を食べてマニュの村にある冒険者ギルドへ向かう。

 もし村の肉不足に何か原因があるならば、ギルドに依頼が出ている可能性があるとビースナスが言ったからだ。


「緊急じたいなの! 大もんだいなの!」

「あはは、朝ごはんもお肉無かったもんね」


 朝ごはんも肉無しだったイリナのやる気はマックスだ。

 マニュの冒険者ギルドは宿のすぐ近く、っと言うよりも宿の食堂のすぐ横に併設されていた。

 出店くらいの大きさしかないギルドにはカウンターしかなく、中は緊急時以外は無人だと宿の女将さんが言っていた。

 普段は外から丸出しのカウンターの横にある掲示板に、依頼書が張り付けられているだけだ。

 そして、ビースナスが張り出されている依頼書を確認した。


「魔物の討伐依頼は出ていませんね。あるのは草食の魔物の狩猟する依頼ですね。カシカの取れる場所も教えると書いてあります。依頼主は狩人ですよ。なんで自分で取らないのでしょう?」

(そこらへんが肉不足の原因かな?)

「依頼主に直接受けに行くようですね」

「いくの! 宿にお肉をだすの!」

「ダーリンの野菜さえあればいいでしょ。面倒臭いわねー」

「お肉は世界を救うの!」

「はいはい」


 カシカは鹿型の魔物だ。

 確かにカシカを納品すれば、村の宿でも肉が出るようになるだろう。

 俺たちはさっそく狩人のところに向かう。

 小さな村で人も少ないが、家同士が離れているので長閑な印象を受ける。

 狩人の家は村のはずれで、少し坂を上った先にあった。

 二階建ての小屋は屋根付きのなめし台も置かれている。


「なんじゃ? お主らも参加するのか?」


 狩人の小屋に着くとそこには先客がいた。

 髪に白髪が混じっている壮年の男性だ。

 髪は短く切られていて、体はがっしりとしていて手には槍を持ち、革の鎧を着ていて背には弓も装備している。

 おそらくこの村の冒険者だろう。

 一緒に何人かの若者を連れているが、その若者は服装を見る限りでは、槍は持っているもののただの村の若者のようだ。


「そうなの! お肉を手に入れるの!」

「おっ、嬢ちゃん達もお肉を求めてきたのか! そうだよなぁー。こんな小さな村じゃ、肉ぐらいしか楽しみがないんだよ」

「ワシ等は先に行くが嬢ちゃんらも気を付けてくるんじゃぞ」

「健闘をいのるなのー」


 お肉好きによって一瞬で打ち解けたイリナが手を振って見送る。

 そして、小屋の中に入ると、狩人らしいおばあさんがベットに腰かけていた。


「おや、まだお客さんがいたんだね。あいたたた」

「そのままでいいの! イリナなの。依頼を受けにきたの」


 ベットから移動しようとして腰を押さえたおばあさんをイリナが制止して自己紹介をする。


「私はシリカ。ありがとうね、腰を痛めちまってね、狩りに出られなくなっちまったんだ。とても助かるよ。じゃあ、せっかくだからサム達の行っていない方の狩場を教えようかね」


 サムさんは冒険者のおじいさんの事だろう。

 弓も持っていたし、途中から合流するのは危険だと判断したのだろう、教えられたのは、サムさんの向かった方の真逆だった。

 狩人にとって狩場を教えることはリスクがあるはずなのにシリカさんは気にしていないようだ。


 それから、教えてもらった狩場に行く。

 しかし、カシカどころかウウサギも魔物も居なかった。

 ノエルがかなりの広範囲を探したようだが、見つけられなかった。

 残念に思いながら小屋に戻ると、何やらもめている声がした。


「おい。教えてもらった狩場にはウウサギすら居なかったじゃないか。嘘の狩場を教えやがって!」

「落ち着け。元々この辺りは獣が少ない場所だって知ってるだろう?」

「だからって、まったく居ないなんてことあるか! ばあさんが狩りに出られていないなら、増えてるのが普通だろ? わざといない場所に誘導したんだ!」


 どうやらサムさんの方も成果がなかったらしく、不発に終わったためにシリカさんに村の若者が食って掛かっているようだ。

 サムさんの制止によって若者が抑えられるが、あきらかに納得していないようだ。


「お腹が減ってからなの。ティト何か出してなの」

(そうだなー。ソビアでも出すか)

「まったく、ダーリンを煩わせるなんて、村人たちは泣いて感謝すべきよ」


 ソビアは芋だが焼きそば味だ。

 食感もモチモチなのでお肉程ではないが、満足感がある。

 あえて味を落とした小ぶりのソビアを十個ほど出してイリナに渡す。


「ただいまなのー」

「おお、嬢ちゃんか。その様子じゃカシカは取れなかったようじゃな」

「代わりにソビアが取れたの」

「ソビア? なんだよ芋じゃねぇか」

「美味しいんだよー。みんなで食べようよ」


 ノエルがソビアを差し出すとサムさんが察したように村人に声をかける。


「よし、食うぞお前たち! シリカ、台所借りるぞ」


 イリナの無邪気な発言に毒気を抜かれたのか、若者も渋々と従う。

 そして、出来上がったソビアの焼き芋を一口食べた若者が夢中で食べ始める。


「うめぇー。これどこに生えてたんだ? 明日も取りに行こうぜ」

「これで生えてたのは全部なの。他には見当たらなかったの」

「ええー。確かに見たことない芋だったな。あんまり生えてない植物なのか?」


 ソビアを食べた若者が更なる採取を考えているが、俺が出したので実際にあるかはわからない。

 ただ、本当にお腹が満たされて怒りが収まったのか、若者は満足そうに自分の家に帰っていった。


(カシカが取れなかったのは残念だったね)

「そうなの! でもここはお肉の匂いでいっぱいなの!」

「そうだね。ボクも感じてた。たぶん二階だよ」

「なに! どういうことじゃ」


 イリナとノエルの発言でサムさんがシリカさんを見た。

 ノエルに小屋の二階を指さされ、シリカさんが諦めたような顔で二階に案内してくれた。

 そこには三頭分のカシカの肉がぶら下げられていた。

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