50 魔道具のお片付け
眼の前に、泥棒にでも入られた様にぐちゃぐちゃに散らかる魔道具を見る。
あらかじめ片しやすいようにか、部屋の四分の一が何も置かれていない空間になっているのでそのスペースを使って片付けを開始する。
とりあえずは道を作るべく、散らばった小物をそのスペースに移動させてから、入っていたであろうケースに入れていく。
小物の指輪などは箱に入っていて、それを仕舞うさらに大きいケースに近づけると、まるで磁力に引っ張られるようにして綺麗に収まるので分かりやすい。
投げるわけにはいかないが、ヒュンヒュンと入っていくので、作業していると案外と気持ちがいい。
(これは楽しくなってくるな)
「ぴったりすっぽりなの!」
ある程度、足元がスッキリしたら、次に布の魔道具の整理に取り掛かる。
乱雑な様は完全に脱ぎ散らかされた服だ。
タンスの引き出しの様な入れ物に入れていくが、文字でどこに何を入れるかが指定されていてようで、これが結構大変だった。
(これは水弾きのマントねー。色が変化する上着に、音を吸収するサーコートかー)
次々に布の魔道具をしまっていると、俺はあることを思いつく。
(そうだ! 認識素材の魔道具とか無いのかな? あればイリナが狙われる確率が下がるんじゃないかな?)
「認識阻害の魔道具なの?」
「ここにそんな高度な魔道具は無いよ」
急に声がしてその方向を見る。
すると、積み上げられていた布の魔道具が盛り上がっていき、顔が出る。
ボサボサの茶色い髪にはメガネがかかっている。
ソバカスに眠そうな目が印象的な男の子だ。
「なに? 掃除に来た冒険者?」
「そうなの! イリナなの!」
「自己紹介どおも。俺はハオト。ただの魔道具職人だから、覚えなくても良いよ」
「それで? 認識阻害の魔道具は無いのかしら?」
「うおっ、妖精? 凄い珍しいもんがいるな」
俺の通訳としてエステルが出てきてくれた。
妖精はやはり珍しいのかハオトは興味深く見ている。
「私をいやらしい目で見て良いのはダーリンだけよ。それ以上不躾な視線を送ると目を潰すわよ?」
「おっと、怖いね。質問に答えるけど、認識阻害は魔法自体が高度でそもそも使える人間が少ないんだ。現状、魔法の劣化版と言われる魔道具には無理だよ」
「へぇ~。こんなに一杯あるのにね」
「そりゃあ、魔法の分だけ魔道具も増える⋯⋯から⋯⋯」
ノエルの呟きに答えたハオトが驚いた目でノエルを見た。
「そっ⋯⋯それそれそれ!」
「わー」
ボコン!
ノエルを指さしながら凄い勢いで近づくハオトに、反射でノエルが叩いてしまう。
音と共にハオトが昏倒した。
「わー。ごめん。大丈夫ー?」
とりあえず、そのままと言うわけにはいかないので、マケッタさんを呼んでハオトを寝かしてもらった。
ノエルが状況を説明して謝るがマケッタさんは笑顔で返していた。
「ハオトはどこでもすぐに寝る癖があるんです。そんなに気にしなくても大丈夫ですよ」
(いや、あきらかに癖で寝たんじゃないよなー)
「起きたら呼びますので、そのまま掃除の続きをしていてかまいませんよ」
マケッタさんの言葉に甘えさせてもらって、俺達は掃除を終わらせるべく戻った。
ハオトが暴れた(?)ことで布の魔道具が更に散ってしまいやり直さなきゃならない。
夕方になり、終わらなかった旨を伝えると、マケッタさんは追加依頼として明日もお願いしますと言われた。
結局、今日は最後までハオトは目覚めなかったので、明日改めて掃除の後に話すことになった。
気がつけば50話です
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
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作者のモチベーションが確実に上がります。




