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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
二章

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35/64

35 村人を助けるために

 セイガさんがすぐに駆け寄って村人を抱え上げた。


「おい、しっかりしろ。なにがあった」

「⋯⋯鍋を食べてたら、急に⋯⋯」

(鍋⋯⋯はキノコ鍋か。これなら鑑定吸収で調べられるか?)


 息も絶え絶えに村人が言った言葉を聞いて俺も動く。

 鍋の中に手を突っ込んでスキルを発動させる。


(うーん。見た所どれも普通の食用のキノコだな⋯⋯いや、待て)



 鑑定成功

 結果:ウツベ茸

 見た目、味ともに普通の食用キノコ。

 しかし、大量摂取すると極弱い痺れの症状が出る。

 特に、ネグロ茸と一緒に食べる事で相乗効果で毒性が上がってしまう可能性があるので注意が必要。



 鑑定成功

 結果:ネグロ茸

 見た目は少し不気味だが味はそこそこの普通の食用キノコ。

 しかし、大量摂取すると幻覚や瞳孔の拡大などの症状が出る。

 特に、ウツベ茸と一緒に食べる事で相乗効果で毒性が上がってしまう可能性があるので注意が必要。



(これだ。食べ合わせで毒性が上がるキノコが紛れていたんだ)


 俺はすぐに結果をヴァルタさんに伝えた。


「なるほど、では対処療法として胃の内容物を吐かせましょう。吐瀉物が肺に入らないように注意しながら処置にあたってください」


 指示を受けて、セイガさんとノエルが素早く動く。

 イリナと俺はセットで対応に当たる。

 セイガさんもノエルもキノコに当たった事はあるらしく、対応には慣れているようだった。

 俺とイリナがオロオロしている間に処置がほとんど終わった。


「あとは経過観察くらいの対処しか出来ませんね」

「とりあえず、住民を野ざらしには出来ません。教会に運び入れましょう」

(それなら俺が)


 俺は体を増殖させて全員の下に潜り込む。

 そして、教会の仲間で伸ばし、体の上を移動させていく。

 さながらスライムコンベアーだ。


「つくづくティト様の能力には驚かされますな」

「助かりました。そのままベットの役割もお願いできますか」


 緊急の事もあってか、俺の行動は責められることは無かった。

 体のサイズの維持はイリナの魔力なのでイリナにも断りを入れる。


(イリナ、かなり魔力を使ってるけど大丈夫)

「問題ないの!」


 イリナはドンと来いとばかりに両手の拳を胸の前で握って気合を入れていた。

 そこに子供が苦しそうにうめき声を上げる。


「ティトの薬、だめなの?」

(そうだな。スライム万能薬を使ってみよう)


 俺は村人たちに次々に飲ませていく。

 しかし、万能薬としての効果はもともと低い上に、潜在能力を高めて自力で治る力を助けるのが効果なので、小さい子供ほど効きが悪い。

 キノコの毒の影響で吐き出してしまう子もいた。


 スキルで吸収した中に薬草類もあるが、調合素材であって単体で効くものではない。

 何の知識もない状態でゼロから掛け合わせてポーションを作り出すことはさすがに難しかった。


(あとは出来るとすれば限定スキルか? 体の中に入った毒成分はキノコが元だし、鑑定吸収出来たりしないかな?)


 人に使うのは少し怖かったが、出来なければ失敗で終わるだろう。

 俺はヴァルタさんにスキルを使用する旨を伝え、意識がある村人の一人に使用してもいいかイリナに聞いてもらった。


「⋯⋯やってくれ⋯⋯もし成功なら⋯⋯他の奴らも助けてやってくれ⋯⋯」


 村長だと名乗る男性が名乗りを上げてくれたのでスキルを使う。



 鑑定失敗



 鑑定成功

 結果:ウツベ茸

 見た目⋯⋯



(出来た! あとはこいつを吸収すれば⋯⋯)


 ナイフの件もあったので慎重に文章を確認する。

 幸い、吸収の確認画面の表記は「注意:この素材を鑑定吸収してしまうと、体からその成分が失われてしまいます」だった。

 毒を抜きたいので問題ない。


(いや、これめちゃくちゃ怖いんだけど、本当に大丈夫?)


 吸収したことで、この村人がいきなり崩れだすんじゃないかという想像が出てしまう。

 そこで、隣の子供が嘔吐した。


「⋯⋯頼む。やってくれ⋯⋯みんなを⋯⋯息子を⋯⋯」


 村長はすでに意識がなく、うわ言のように言っているだけだ。


(頼むよ! 俺のスキル!)


 祈るようにスキルを使う。

 すると、村長は明らかに楽になった顔をしていた。

 再度限定スキルを使ってみた所、毒のキノコは消えていた。


(成功した! よしすぐに全員の毒を吸収してしまおう)


 吸収していくと同時に、再度スライム万能薬も飲ませていく。

 すると、一人また一人と立ち上がり始めた。


(おっと、このままじゃ不味いな)


 俺は元のサイズに戻る。

 魔力を大量に使ってしまったのでイリナにもお礼を言おうと祭壇の前に立っているイリナに近づいた。


「ティト、おつかれさまなの。良くがんばったの!」


 イリナが俺を抱き寄せて頭を撫でてくれた。

 その表情はとても優しく俺も誇らしく思えた。


「⋯⋯聖女様だ」

「⋯⋯聖女様」


 不意に村人の声が上がり俺が振り向く。

 すると、そこには跪いて感謝を捧げる村人たちが並んでいた。


続きが気になる!っと思って頂けたら評価をお願いします。

作者のやる気につながります。



ー変更のお知らせー

 この話の都合で既存のティトのステータスの項目を少し調整しました。

 「スライム薬生成」を「スライム薬草類生成」に変更しました。

 スライム万能薬(序)を別枠としての表記にしました。

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