1月28日 逸話の日
ー大学を飛び級で入学し首席で卒業した。
ーオリンピックの強化選手として指名された。
ー官邸には趣味で描いた風景画は無数にある。
総理の逸話は数限りなく人々に愛されていた。
「怪しい」
私の記者としての勘がそう言っていた。
こうまで完璧な人間はいない。徹底的に暴いてやろう。
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせていた。
「よろしくな」
総理は気取らずに入ってきた。
SPをつけてだが、それも極力目立たないように配慮している様な感じだった。
「本日は宜しくお願い致します」
「よろしくね。お手柔らかに頼むよ」
そこからインタビューが始まった。
ー大学を飛び級で入学し首席で卒業した。
飛び級と言っても1年だけでだよ。主席ではあったけど。
ーオリンピックの強化選手として指名された。
競技人口の少ない競技だったからね。
ー官邸には趣味で描いた風景画は無数にある。
殺風景だと気持ちが落ち込むだろ。それに血税で絵画など勝っている場合ではないからね。
私が想定してたよりも、何倍も穏やかで好感の持てる人物だった。
私は満足のままインタビューを終える事が出来た。
「今日はありがとうございました」
「ありがとうね。よろしく頼むよ」
「はい。本日はありがとうございました。」
記者が出ると、総理はおもむろに葉巻を取り出した。
「嘘というのも面倒だな。」
目立つからと嘘をついてまで逸話を格下げているのにどこからか嗅ぎ付けてハイエナの様に嗅ぎまわる。
そして、良い話は記事に出来ないと結局対応が無限に続いた。




