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魔武器①

「え~っと・・・ 何から話すかな・・・」

そう言いながら窓の外を見ると、うっすらとオレンジ色をした空が見えた。

本当に日が暮れているようだった・・・。


「とりあえず、俺の目的から話すか・・・」

俺はレイと出会ってから、彼女と同じ存在である魔武器を求めて各地を旅していると、クリスとアイシャに話した。そして、その事はレイ達三人が、人間とは違う存在であると知らされる事になった。


「まさか・・・ そんな事が・・・ でも、そんな武器があるなんて聞いた事ありません・・・」

「クリス様は知っているはずですよ?」

「え・・・? どういう事ですか、カーラさん?」

「およそ2000年ほど前に、神の使者と魔神の戦いがあったと云われていますよね?」

「はい・・・ 世界各地にその痕跡があると・・・ !? もしかして・・・」

「その戦いで神の使者が使用していたのが、私達です」

「そういえば、以前マリウスさんの所にあった石像を斬ったのは、レイだって言ってなかったか?」

「斬ったと思うだけですよ、ご主人様。何しろ戦闘中でしたので様々な物を斬りましたから・・・」

マリウスの館でクリスと初めて会った時に話していた事を思い出した。確かにレイは斬った気がすると言っていた。


「もしかして・・・ 邪悪なモンスターを焼き尽くしたと云う炎の剣・・・」

「それはレイさんですね」

「!?」

声にならない驚きを見せたクリスだった。


「後は何かあるのか?」

「え!? えっ・・・っと。数万のモンスターを倒す程の魔法を無尽蔵に使える杖・・・」

「それは私かな?」

「え!? カーラさん!?」

「他にはあるのか?」

「・・・魔神の城の周囲にあった、死の湖を切り開いて道を作った刀・・・」

「それはアマネさんですね」

「アマネさん!?」

あまりの驚きで何だかひどく疲れた表情をしながら、続きを話していく。


「後は・・・ 真の騎士が持つ事によって、仲間全員に聖なる加護を与える聖剣です。他にもいくつか武器があるようなのですが、いままでに見つかっている資料の破損が大きくて、解読ができませんでした・・・」

「そうか・・・」

聖剣はエクスカリバーかな?。聖なる加護って何なんだろう・・・? いまいちピンとこない能力だが、レイ達と同等の武器なのだからきっと凄い能力なのだろう。

それにしても『魔槍まそうゲイボルグ』と『雷槌らいつちミョルニル』は伝わってないのか・・・ 言った方がいいのか?


「本当に・・・ 神の使徒が使っていたのですか?」

「本当ですよ。私達は・・・ 神によって造られましたから」

「神様ですか?」

「そうですよ。ただ現在信仰されている姿とは少し違います。宗教の象徴となった神の姿は、その時の権力者達によって都合よく変えられていますから・・・」

「それは・・・ 申し訳ありません・・・」

「いえ、クリス様のせいではありませんよ。それは仕方が無い事なのです。人はどこかに心の拠り所を求めています。例えば偶然に起きた出来事を奇跡と呼んで、神様が助けてくれたと思い、心の幸福を得て満足するのですから」

「という事は、本当の神様は何もしていないって事か?」

「何もしていない事は無いですよ。今は見守っているだけではないでしょうか? 詳しくは分かりませんが、偶に手助けをするらしいです。ただ、どれかは判別できないと思います」

「まあ、あんまり神様に出てこられても、ありがたみが無いし厄介に思う連中も出て来るし、不干渉が丁度いいのかもしれないな・・・。それにしてもカーラはよく知っているな?」

「直接見たわけではないですが、記録(・・)として知っているだけです」

「記録? 記憶じゃ無くて?」

「はい・・・ 私が造られた時は意識はありませんでした。ただ、周囲の状況を見ていただけです・・・。例えどのような使われ方をしても、ただの武器として(・・・・・・・・)見ていただけですから・・・」

「そうか・・・」

記憶にはその時の感情が含まれるが、記録はただ状況を覚えているだけになるからか?

たぶん今思い出すとツライ内容があるのだろう・・・。

あまり深く聞かない方が良さそうだな。


「戦いが終わって必要が無くなった私は封印されて、数百年が経った頃に突然意識を持ちました。何故そうなったのか分かりませんが、大地からの力を取り入れていると人々の生活が少しだけ見えたので、色々と勉強になりました」

「私も同じです・・・」

「アマネさんも?」

「私は記憶が断片的ですが、たぶん同じだと思います・・・」

「レイさんもですか・・・」

レイは封印が完全に解かれていないようだから、あまり覚えていないのか・・・。


「そういえば・・・ 封印って誰がしたんだ? あんな強力なガーディアンを造って、しかも強力な力を持った武器を封印するって、並大抵の事じゃないだろう?」

「・・・どうなのでしょう? 戦いが終わって封印される時までの記憶が無いので、実は分からないのです・・・」

「そうなのか? それだけの事をするのは神様かな? っと思ったが・・・」

「そうなのかも知れませんが、私には分かりません・・・」

「私も同じです・・・」

「すみません私もです・・・」

「いやいや、分からなかったらそれでいいさ! 特に困る事じゃ無いし!」

俺の質問の答えに困ってしまった三人だった・・・

まあ、昔の話だし封印の力で記憶も曖昧になる事もあるかもしれないな・・・ 魔法の事はよく分からないが・・・。



しばしの沈黙が続いた時に、再び窓の外を見ると完全に日が暮れて真っ暗になっていた。

結構長く話していたようだが、まだまだ終わりそうも無い。


「一旦ここで休憩して、後で続きを話してはどうだろうか?」

「そうですね・・・」

俺の提案にクリスは何か考えながらも同意した。


「わかりました。では手分けして食事でも作りましょうか?」

「料理ですか~? 作るのは~ 久しぶりですね~!」

カーラはいつもと同じような感じで返事をして、リリアは料理をするのが久しぶりでとても楽しそうだった。


「では、ご主人様はゆっくりお待ちください」

「いや、手伝うよ」

「いえ、主様は戦闘でお疲れのようですから、ゆっくりしていてください」

「それほど疲れているわけで・・・・」

「まあまあ、アキラさん。ここは女性達で作りますから。ねぇ、クリス様」

「はい、任せてください」

今までは両手に花というかハーレム状態だったが、女性陣でまとまってしまうと、突然疎外感が出てきた。

別に嫌われている訳では無いのだが、仲間外れにされた気分になる・・・。


まあ、料理を始める前にお茶を注いでくれたし、時々お茶のお代わりを聞きに来ていたから、放って置かれた訳では無かった。

ちなみにマコちゃんは、俺が疎外感を感じていた時に肩をポンポンとして『分かっているよ!』みたいな事をしてくれたが、すぐに調理場へフワ~っと飛んで行ってしまった・・・。うらぎりもの~~~!

っていうか、マコちゃんって女の子なのか?

もしかしたら男の子かもしれないな・・・ 俺は見た事がある! 立派にそそり立つ太い・・・ ツノ! 何てな♪

・・・・・・・あ~~~~~ 暇だ。

などと料理ができるまでの間に、下らない妄想などで時間を潰していた・・・。

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