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魔杖カドゥケウス⑤

「あの・・・ アキラさん・・・ その・・・」

 クリスがまたしても申し訳なさそうに話しかけてきたが、すぐにその理由に気が付いた・・・。


「あ! ゴメンゴメン! えっと・・・ どこかでゆっくり話せる所は無いかな?」

「それなら~ 食堂はどうでしょうか~? あそこなら~ お茶も出せますよ~?」

「じゃあ、そうするか?」

「「はい」」

 クリスとアイシャに詳しく説明する間もなく、次々と状況が変わってしまったので、説明をするために食堂へ向かう事にした。

 多分長くなりそうだからな・・・。



 ガーディアンのいた所から戻るために魔法陣へ入り、全員が元居た玉座の間へと戻ってきた。


「あの~ この黒水晶って~ もらっていいですか~?」

「え~っと・・・ 多分大丈夫だと思うが・・・?」

「これからは必要無いのでいいですよ」

 玉座の間へ戻ってきてすぐに、リリアから間延びしたトーンで話掛けられて驚いたが、黒水晶が今後必要かは分からなかったので、カーラの方を向いて話したら答えてくれた。


「一体何に使うんだ?」

「えっと~ お人形さんを動かします~」

「人形ってこの城で襲ってきたヤツか?」

「そうですよ~ 本来は~ お城の手入れ用だったんですけど~ 開発中に~ ガーディアンに取り込まれてしまって~ 何もできなくなったら~ お城にやってきた~ 未熟な魔法使いさんが変に改造しちゃって~ おかしくなってしましました~」

「それじゃあ直したら、襲ってこなくなるのか?」

「いちおう、泥棒さん用の~ 攻撃指示はしておきますけど~?」

「冒険者だったら?」

「勝手に持っていかなければ~ 大丈夫ですよ~」

「なるほど、それもそうだな・・・ ん?」

 俺はふと気が付いた、勝手に人の城でアイテムを持っていく・・・。

 それって・・・ 横に立っていたクリスを見ると、凄い困った顔をしていた。

 それもそうだろう・・・。

 勝手に城の中にある宝箱から、魔女の装備と云われる物を持ち出して、本人の前で装備しているのだから・・・。


「あの! リリアさん! これお返しします!」

「え~ いいですよ~?」

「え? でも、この装備って大事な物では?」

「それは~ 私が普段着ている服の予備ですから~ まだ倉庫に一杯ありますよ~」

「そうなのですか?」

「はい~ しかも~ それは~ 私が作った物ですから~ 欲しかったらいつでも作ります~」

「いえ、これで十分です・・・」

「そうですか~? 欲しい時は~ いつでも言ってくださいね~」

「はい、分かりました」

 そうか・・・ かなりのレア装備を作りだせる魔法使いか・・・。

 しかも、俺がゲーム内では知らないアイテムを持っていたりと、一体どういう人物なのだろう?


「っと、そろそろ食堂に向かおうか?」

「「はい」」

 また立ち話になりそうだったので、区切りのよさそうな所で切り上げて食堂へ向かった。



 食堂まではモンスターとの遭遇も無く、あっさりと着いた。

 それもそうだろう、魔動人形のコアを倒したから、もう動けないからな。


「みなさ~ん、何か~ 飲まれます~?」

「え~っと・・・ お茶でいいんじゃないか?」

「「はい お願いします」」

 何かと言われても、何があるか分からないから、全員が無難なお茶を注文した。


「それでは~・・・ あれ~? お茶ってどこでしたっけ~?」

「いや・・・ 俺達に聞かれても・・・」

「そうですよね~・・・ そうだ~!」

 リリアは黒水晶を取り出して、何かゴニョゴニョと呟きだした。

 すぐにリリアの前に魔法陣が現れた。

 多分・・・ 何かを呼び出すようだが? お茶か? まさかな・・・。

 俺達が見守っていると、魔法陣から現れたのは魔動メイドだった。

 思わず俺達は身構えるが、制したのはカーラだった。


「大丈夫ですよ♪ もうこの城の人形達は彼女の制御下にありますから」

「そう・・・ なのか?」

「はい~ 安心してください~」

 リリアはメイドを呼び出して俺達の方を向いていた。


「メイドさ~ん お茶を人数分煎れてください~」

 リリアに命令? されたメイドは会釈をして調理場に入って行った。

 カチャカチャと準備をしている音がするので、どうやらお茶を煎れてくれるようだった。

 しかし、ついさっきまで戦闘をしていたモンスター? と、いきなり仲良くするのは慣れない気がするな・・・。


 食堂の椅子に座って数分待っていると、メイドさんがお茶を煎れて全員の前に置いてくれた。

 注がれたお茶は良い香りを放っていた。

 一口飲んでみると・・・。


「美味しいな・・・ でもこれは一体なんのお茶なんだ?」

「なんでしょうか? 私も飲んだ事がありませんが、凄く美味しいです」

 クリスも飲んだ事が無いお茶らしい。

 それは飲んだ瞬間に鼻から優しく抜ける香りが心地よく、舌から伝わる味は玉露のような旨味と甘みが絶妙にマッチしていて、後味はさっぱりと次から次に飲みたくなってしまうお茶だった。

 あまりに美味しくてすぐに飲み干してしまった俺達は、お代わりを注文した。


「気にいってもらって~ 良かったです~」

「美味しいのだが・・・ 一体これは何のお茶なんだ?」

「それは~・・・」

「これは霊妙草かな?」

「さすが~ カーラさんですね~」

「霊妙草? ってあの?」

「はい~ マジックポーションとかに~ 使われる霊妙草です~」

「それって・・・ 飲めたっけ・・・?」

「それは~ 特殊な~ 魔法処理をしています~」

「なるほど・・・」

 確か霊妙草はそのまま摂取すると、弱毒性があって強度の腹痛になるってアイテムの説明文に書いてあった気がする・・・。

 そうか・・・ 特殊な処理が必要なのか。

 フグを食べる時と同じで無免許の人が調理したらダメって事だな。


「よかったら~ お教えしますよ~」

「おお! それはありがたいな」

「ぜひ、お願いします」

 カーラを除く全員が、処理方法を聞いて満足した頃・・・。


「あの~ マスターそろそろ本題に入らないと日が暮れますよ?」

「!?」

 カーラの声に俺とクリスとアイシャが「しまった!」という顔をして見合わせていた。

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