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51話

 今回の気絶は大したことなかった。

 たったの10秒で覚醒した。こんなとこで寝てたら魔物に食われちゃうしね。

 アイビスも手加減してくれたんでしょ。


 「んで?俺たちはどうすればいいの?シズク?」


 「え?来てくれるんすか?こっから交渉でも始まるかと思ってたッす」


 ちょっと意外だとばかりに問い返してきた。


 「未来が見える事に関しては痛い思いしてるからな。視えたんならそれに従う」


 「……何かあったんすか?」


 「……『天』持ちと戦っただけだ……」


 「……何で生きてるんすか?」


 それが普通の反応だと思う。

 何で未来が見える奴なんて相手に勝てたんだ?


 「運が良かったんだよ」


 「……そうっスか。なら村に来てください。案内しますから」


 「道分かるのか?」


 「方角くらいなら分かるッス」


 顔はこっちを向いているが、目が食いもんに向きっぱなしだ。

 食欲を隠さない奴め。


 「食べながら移動しろ。あまり食いすぎるなよ」


 「!ありがとうっす。ネク兄ぃ!」


 その呼び方も悪くない。




 半日も歩かないうちに、村についてしまった。

 話では3日間彷徨ったらしいので、距離があると思っていたから拍子抜けだ。


 「……こんなに近かったんすか」


 自分でも驚いているようだ。


 「お前アホだな!」


 ノールの言葉である。お前が言うか。


 「酷いっす!ノール兄ぃ!そこまでじゃないっす」


 ノールも呼ばれ方があれなので、気分は悪くないようだ。

 ノールとアイラが兄・姉呼びをしていないから、若干変な顔をしている。


 村の入り口に入ると大人の狐たちがこちらによって安堵の声を上げていた。


 「シズク、大丈夫だったか?」


 「大丈夫っすよ、父さん。ちゃんと助けてもらったす。」


 声をかけた大っきな狐さんはホッと息を吐き生還を喜んだ。

 周りの狐さん達も同様である。

 外は魔物が跋扈しているので、戦闘力が低いシズクがたった一人で出ていった事に胸を痛めていたはずだ。


 「それで、その人たちが?」


 「そうっす!めっちゃ強いんすよ。これで助か―――る……!」


 言葉を最後まで言い切る前に、体をビクッと跳ねて硬直させている。

 背中を向けているので、どんな表情をしている変わらない。

 だが、狐達は何が起こっているか分かっているようだ。


 「何が視えたんだ?」


 狐さんの言葉である。

 今の行動は未来が見えた時に見せるらしい。

 この村では当たり前行動だったようだ。そして、かなり頼りにされている。


 「……今日、この後少し暗くなったら来るッス」


 シズクの言葉に全員驚いて、誰も言葉を発しない。

 いつか来ることは覚悟していたが、まさか今日だとは。しかも、数時間もたたずに、という体だろうか。

 

 今は日が高いとは言えないが、それでも数時間もしないうちに辺りを暗闇が包んでしまう。

 村の中は明かりで何とかなるが、外は正真正銘の暗闇に包まれてしまう事は体験している。


 「その時は真っ暗か?」


 「そんな事ないっす。気持ち暗い程度っす。ネク兄ぃでも問題ないっす。」


 獣人ではない俺だけが、ここで最も夜目が効かない。

 見えるならばかなりやりやすくなる。これは朗報だ。


 「戦力はどうなっているんですか?」


 4人で守りきれるかは分からない。

 むしろ難しい可能性の方が高い。

 狐の種族が弱いと言っても、徒党を組めば戦力になる。


 「だいたい30程度の男がいるが、あまり期待しないで欲しい。

 シズクから聞いているかもしれないが、我々はお世辞にも強いとは言えない。

 多くが『狐火』を習得しているが、これは弱いうえに燃費が悪い。

 しかも他に『スキル持ち』がいない。恥ずかしい限りだが、君たちに頼るしかないんだ。」


 村長っぽい年を取った狐の老人が現状を説明してくれた。

 その他ネコやイヌも居るとのことだが、数がいる訳でもなく『スキル持ち』でもない。


 そうなると普段はどうしているんだという疑問が出るが、近くに居る魔物は定期的に『狐火』で追っ払っているとのことだ。

 普段からそういう行いをする事で、ここが狐の縄張りという事を周りに示しているらしい。


 「これだけでも魔物が襲ってくる事はなかったんだ。弱いとは言ったが『狐火』はスキルだ。

 大人数で襲撃すればそれ相応の戦果を出せた。

 しかしこれは奇襲が前提だった。

 防衛戦となれば相手は混乱せず、『狐火』の弱さが露呈することにしかならない。」


 「……なるほどね」


 なんとなくは理解した。


 「それで準備はどの程度しているんですか?」


 「一応全員分の武器は用意してある」


 「罠などは?」


 「それはしていない。『未来視』が視た結果だけは絶対だ。

 魔物が襲撃するのは確定している。罠を設置しても多くの効果を発揮できない。

 逆に設置したことでこちらに被害が出る可能性がある。」


 「分かりました。俺達が積極的に倒すので自衛を優先してください」


 「よろしくお願いするよ」


 老人狐が立ち去ると他の狐達も準備を始めている。

 シズクは俺達と離れず一緒に居る。


 「お前はどうする?」


 「ネク兄ぃ達と一緒に戦うッス。『未来視』が出れば役に立つッすよ」


 「……そうか。無理はするなよ」


 後ろを振り返り作戦会議を始める。




 「さて、防衛戦だ。こういうのは初めてだ」


 「そうだなー。いつも攻めてばっかだったし」


 ノールがいつも通りお気楽に事を構えている。

 頼りになるやつだから、あまり気にしてはいない。戦いになれば勝手に突っ込んで、勝手に倒す。

 便利な奴だ。


 「まぁ、アイラよ。基本アイラが居れば何とかなるわ」


 アイビスがそう提案する。提案でもないか。


 「そうなんだけどな。どこを守るかが重要になるだろ?」


 村は中心に大きな道が十字に通っている。

 この道だけで幅30mはありそうだ。

 そこに家が立ち並び、その奥にもこまごまと家がある。

 全部で100棟程度の小さな村だ。

 村の周りは大きな木の杭で囲まれ、ある程度の防御をしている。

 出入口は箇所。それぞれ東西南北に設置されている。


 「シズク、どこから来るか分かるか?」 


 「北から来るッス。扉を閉じてもぶっ壊してくるみたいっす」


 「メンドクサイな。まぁ、北方面に陣取る決定か。アイラ矢は何本ある?」


 「馬さんが100本持ってくれています」


 「最高100体か。魔物は何匹来るんだ?種類は?」


 「すみません。分かんないっす。魔物が来ることだけは分かるッス」


 シュンとして悲しげな表情になってしまう。


 「気にすんな。家のアイラが何とかする」


 全員が目を俺に向けてくる。

 アイラがやるのかよ、みたいな。


 「なんだよ。アイラたん最強じゃん。一騎当千とはアイラのために用意された言葉なんだよ!

 できる奴がやればいいんです~。

 …………いや、やるから。そんな目で見ないで。超頑張るし。『火炎魔法』使えないけど」


 「そうだよな。ボスの『火炎魔法』で一気にぶっ飛ばせたら楽なのによー」


 村の中に侵入するのが分かって、防衛対象を破壊したら意味がない。

 ここでシズクが話しかけてきた。


 「アイラ姉ぇってそんなに強いんすか?」


 「ああ?お前、最強だよ。最強。最も強いと書いて最強だぞ。何なら今ここで全員殲滅するまである」


 アイラが顔を真っ赤にして反論してきた。


 「そ、そんなことしません!お兄ちゃんでも怒りますよ!」


 「わ、悪い。冗談だよ」


 フン!と顔をそっぽ向けてアイビスを抱き寄せて、なでなでし始めた。

 俺もやっていい?


 「そうなんすか。どんなスキルを持ってるんすか?『弓術』?」


 「ちげーよ。加護だ加護。『弓の加護』だよ。アイラって有名じゃなかったのかよ。

 誰も反応しねーじゃねーか。」


 表情が固まった後、体が震え始め奇声を上げ始めた。


 「あばばばばbっばあ、ももも、もしかして。アイラ様だったんすか?」


 即刻土下座を始めて許しを請い始めた。

 コイツ……なかなかできる!


 「ごごごっごご、ごめんなさいっす。知らなかっただけなんす。許してほしいっす」


 地面に頭をこすり付けて、全力全開の土下座をする。


 ……えっ?そこまで?

 俺もしかしてヤバい?今までかなり調子に乗った事してたんだけど。

 あれ?普通に考えてヤバいよね?

 『加護』持ちだよ?なんで普通にセクハラしてんの?

 馬鹿なの?死ぬの?


 何やってきたっけ?最低でも胸揉んだわ。

 その他いろいろやったけど、胸はいかんだろ。

 『加護』うんぬん抜きにしても。


 うそ。これやばい。送り届けても不敬罪とかそんなんで殺されるんじゃ?

 だってノールが言ってたじゃん。アイラはもはや崇拝の域に居るって。

 神の胸揉んで生きてる奴いるか?いや、いない。(反語)


 「えっ!?何やってるの!?」


 アイラが驚いてオロオロし始めた。


 「だ、だって、アイラ様だと知らなくて、アイラ姉ぇなんて呼んでたッす。

 ヤバいっす。不敬罪で死ぬッス。こんな未来視てないっすよ……」


 もはや涙声である。


 「だ、大丈夫だから。これからもアイラ姉ぇでいいから。ね?泣かないで、シズクちゃん」


 「うう~、アイラ姉ぇ~」


 アイビスもいる腕の中に飛び込み慰められる。

 あれか。女神様みたいになってる。

 この隙にノールに俺の現状をコソコソと聞く。


 「ノール、俺ってもしかしてアイラにいろんな事してるけど、それってあまり良くない?」


 「……獣人だったら死んでるな」


 「…………」


 予想していたこととはいえ、死刑宣告を受け取ると思考の一切を受け付けなくなってしまった。

 魔物襲来の前に肉体的に危ない。


 「……黙ってりゃばれねーよ。心配すんなって」


 「……ホント?」


 「ホントホント。嘘じゃないよ。アイラも言わねーって。……たぶん」


 最後の言葉は無視して、都合の良い解釈をすることにする。

 人間得てして自分に有利な情報しか受け付けない。






 「話がかなり脱線したな。何話してたっけ?」


 作戦会議中だったはずなのに、アイラ談義になってしまった。

 どうしてこうなった?


 「北から魔物が来て、数・種類は不明って事よ」


 「そうだったな」


 呆れてものも言えないような表情をしながらも、ちゃんと教えてくれる。


 「ツンデレめ」


 「……何か言ったかしら?」


 「いえ、なんでも」


 絶対零度の瞳を向け、俺を威圧する。

 目には温情の欠片はなく、敵を排除する事しか考えていない。

 心の中だけでいう事にしよう。


 「とは言えできる事は少ない。罠は自分に降りかかる可能性がある。

 北門からある程度距離をとってアイラの射撃くらいしか思いつかないな。

 それでも100本だ。ちと少ない」


 「接近戦しかねーんじゃないの?」


 案外まともの提案だったので内心驚いている。

 適当な事を言うかと思った。


 「……そうなるか。『付与魔法』で削れるだけ削る。援護はアイラだ。」


 「「「了解」」」


 方針が決まりシズクの対応だ。


 「シズクはアイラの護衛だ」


 「うぇ!?アイラ姉ぇのっすか!?邪魔になるんじゃ?」


 「アホ。アイラは接近戦に弱い。『狐火』で牽制しろ。その隙にアイラが殺る」


 「わ、分かったッス」


 やる気十分という風に、ガッツポーズをして気合を入れている。

 戦力的にはあまり期待していないが、未来が見えるのは他にできる奴はいない。

 これだけで居る価値はある。


 「んじゃ、やるか」






 日も暮れ始め、太陽の光も赤ではなく紫色に見え始めている。

 森の清涼な空気も冷え始め、少し肌寒い。

 本来なら狐も多く行き通っている通りも、誰も動かずその時を待っている。

 武装をして未来を切り開くため、多くの若者が集まった。


 やる気はあるが自信あまり無さそうだ。

 多くの狐は『狐火』を習得している。

 自衛だけはなんとかできるだけの訓練をしているらしい。



 目の前には北門。

 木製ではあるが、今は閉じられていない。

 どうせ破壊されるくらいなら、最初から開けておけとの事だ。


 門の奥から見える景色はない。

 壁と外をつなぐものはもはや異世界であり、一線を引いている。


 生と死。


 あの門一つを越えてくるだけで変わってくる。

 

 誰も声を発しない。

 門の出入り口は漆黒に見え、自分たちを死へと誘う門のようだ。

 視えない手が自分たちを引き込んでいる。

 何もされていないのに、すでに大きなプレッシャーを受け大勢が疲弊している。


 そして、来る。



 「……来たか」


 多くの足音が門から響いてくる。

 軍勢が来る。


 後ろに控えている者たちも気づき、とうとうこの時が来てしまったという雰囲気が流れている。

 シズクの読み逃しを少なからず期待ていたのかもしれない。




 最初の魔物が侵入してきた。

 ゴブリン。


 「ゴブリンか」


 そういった瞬間、次の疑問が発生した。

 コボルト・オーク・オーガ、その他諸々の多種多様と言っても差し支えない多様さを備えて、魔物たちは狐の村に来た。


 「どうなっている?」


 古今東西、魔物に町が襲われた話は事欠かないが、こんなに多くの種の魔物に襲われたというのは寡聞にして聞かない。


 まわりの戦士たちも疑問の声に浮足立っている。


 「やる事は変わらない!!」


 一喝して体勢を立て直す。

 俺の言葉がどれだけの効果があるかは分からないが、やっておいて損はない。


 喋っている間にも門からどんどん魔物が溢れ出している。



 「やるぞ!」


 『付与魔法』(キーン・エッジ)



 俺・ノール・アイビスの武器に光が灯ったことを確認し、先頭を走り出す。


 魔物は一直線にこっちに向かっている。

 完全に標的は俺達に向き、殺し、犯し、喰らうつもりだ。


 下段から剣を振りぬきゴブリンの体を斜めに切り落とす。

 次から次へとくる魔物を切り倒していると、ノール・アイビスから大声が上がる。


 「おい!どこ行くんだ!!」

 「待ちなさい!!」


 一旦下がり二人を見ると、相手をするであろう魔物が俺目がけて走り寄ってくる。


 「なっ!?」


 あまりの事態に体が一瞬固まってしまった。

 

 オーガの振りかぶる拳を腕を十字にすることで、何とか防御に成功するが、


 「ガァアアァ!!!」

 「がぁああ!??」


 衝突面から明らかな距離を吹き飛ばされた。

 『解析』を使ってもスキルを持っていない。

 ただのオーガ。

 防御時には『強化』で体をある程度、強くしていたのに。このダメージ。筋力。


 「くそっ」


 キーン・エッジの効果はまだ消えていない。

 殺せるうちに殺さなければ。


 脚を『強化』してオーガに接近し、心臓を串刺しにする。


 剣を引き抜くが、俺によって来る数が尋常ではない。

 明らかに俺だけが狙われている。


 ノール・アイビスが後ろから倒しているが、数が多すぎて処理が間に合っていない。


 「お兄ちゃん!」


 後ろからアイラの援護があり、目の前の魔物がだいぶ減った。


 「……だが」


 多すぎる。このままでは……。


 「全員撤退しろ!村から出るんだ!」


 「「「了解!」」」


 良い子たちだ!


 「村の衆もだ!いいな!?」


 同意も聞かず、手ごろな家の屋根に跳び移る。


 そうすると魔物が一斉に俺の方を向いた。


 「……待て!ノール、アイラ、アイビス、シズクは残れ!!」


 急制動をかけて撤退を中止する。

 シズクだけはオロオロしていたが、今は気にしている余裕はない。


 立ち並ぶ家の上に続々と魔物たちが飛び移ってくる。

 なんていう脚力だ。

 1匹として脱落している物が居ない。

 俺は『強化』を使ったが、こいつらはそんなのを使っていない。


 屋根に上った奴から襲い掛かってくる。


 「……俺だけが狙いなのか?」


 なんだ?何を見落としている?


 しかし、言ってる場合じゃない。

 援護はない。4人はいるがアイラの矢も限りがある。

 ここは俺だけで切り抜ける。



 |『火炎魔法』《ファイヤ・ドーム》×『付与魔法』(ブースト・マジック)!!


 ドーム状の白炎が俺を包み込む。

 ファイヤ・ドームは防御専用魔法。


 基本思想は炎で自身を覆い、灼熱の炎で手出しをできないようにするだけ。

 欠点は中がかなり熱いだけだ。



 「アッツ~~~!!!」


 肌が焼き焦げるような感覚を犠牲にようやく使う魔法。

 代償は大きい。


 が、


 『索敵』!!


 「勝手に死んでる……!?」


 手出しできないように時間を稼いだつもりだったが、魔物は臆すること無く炎に突っ込んで片っ端から灰になっている。

 幾らなんでも知能が低すぎる。 

 確実におかしい。

 

 ここで1分。キーン・エッジが切れる。


 俺の疑問を余所に魔物は次なる動きをし始める。

 俺を完全に無視している訳ではないが、かなりの数が四方八方に散り始めた。


 「マズイ!」


 魔法を解除し、周りに居る魔物8匹を相手にする事になった。

 サーベルウルフ。

 レベル20。


 「お前らか」


 炎の消失と同時に始まる。



 屋根の上を駆け抜け一番近くに居る狼を上段から斬る。


 「ハァ!」

 「キャウン!!」


 可愛い声を出して家から転げ落ちていく。

 ドシャッと鈍い音を出して体が押しつぶれたのが分かる。


 あと7。


 また2匹が飛び掛かり、前の焼き直しになる。


 右方向にステップで回避し、無防備の横っ腹に剣を突き刺す。


 「オラァ!」

 「ギャウン!」


 口から血を吐きだし、苦悶の声を上げる。


 さらに右から1匹が飛び出し、脚に食らいつこうとする。


 「させるか!」


 膝立ちになっている状態から、刺さったままの剣を狼の腹を切り裂きながら横に振るう。

 この攻撃で刺されていた狼が絶命し、剣はもう1匹の狼に襲い掛かる。


 が、


 「なっ!?」

 「グウウルグウ」


 顔を切り裂いたと思われた剣は、狼が命と引き換えに完全に咥えこまれた。


 敵の覚悟を見誤り剣を放棄する事態になる。


 残り5。


 残った5匹が丸腰とみて一斉に飛び掛かってくる。

 口をあけ奥に見える牙は死を体現している。


 『隠密』×『隠蔽』!!


 気配遮断と視覚阻害を併用して身を隠し、『強化』で真上に跳んで逃げる。

 

 狼の背後に着地すると全てがこちらを振り向く。


 「『隠蔽』はダメか……」


 完全に姿を隠すことができずに、一発芸程度で終わる。


 さらに距離をとるため家から飛び降り、北門方面で着地する。

 魔物は打ち切りとなっていて、これ以上増える気配はない。


 狼も飛び降り地面に着地する。

 ここで最強の援護たちが到着した。


 「おらあああ!!」

 「ハアア!!」


 横合いから出てきたノールとアイラには一切の反応を見せず、殺されていく。

 5匹いたのに1匹も抵抗せず死んでいった。


 「どうなっているんだ?なぜ抵抗しない?」


 疑問を余所にアイラとシズクも来て報告に来る。


 「お兄ちゃん、人間がいつの間にか侵入しています」

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