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39話

「ごほっごほっ!」


 『スキル持ち』の本気の蹴りは俺にある程度のダメージを与えていた。

 そこまで筋肉質ではない俺が、筋肉の塊のオーガの蹴りに本来なら耐えられる道理はない。


 「お兄ちゃん、大丈夫?」


 「あ、ああ。大丈夫だ。少しすれば『生命力』で回復する。」


 『生命力』には少しだが再生能力がある。ただし、『再生』ほどの回復力はない。

 痛みが引くまでジッとしておく。


 「暴走して済まなかったな。けど、どうしてもアイツだけは俺が倒したかったんだ。」


 「そんなのいいよ、ボス。さっさと移動しないとヤバいかもよ?」


 「そうだな。今度も捌ききれるとは限らない。馬車に乗って移動しよう。」


 オーガの死体は処分せず、全員乗り込んで東の町へと移動した。





 あれから数時間たっているが、周りは平静だ。

 相変わらず街道以外は森に囲まれているが、魔物の匂いはないらしい。

 これ以上襲撃を受けて、アイラの矢がなくなればもしもの時に危なくなる。


 そういえば一つ相談したい事があったんだった。


 「皆また御者台に集まってくれ。相談したい事がある。というより確認だな。」


 3人とも荷台からのそのそと移動する。

 俺一人というのも寂しいから、誰かいてほしいよ。お兄ちゃん寂しい。


 「さっきキーン・エッジ(俺が命名)を使ったがどうだった?

 俺はかなり使えたと思うが。フィジカル・アップもいいけど、スキルがあればそこまで困らなかったしな。」


 「あれはかなり良かったぜ。切れ味が段違いだ。スパスパ言って気分良かったな。」


 「そうね。良かったんじゃない?」


 やっぱり?やっぱり?発想の勝利だよ。


 「でも、1分じゃ少ないわ。さっきだって『スキル持ち』と戦う前に効果切れたし。」


 「俺もあいつとやりたかったな。でもキーン・エッジ?が付いてたら楽しくないか。」


 やっぱり持続時間はネックか。でもこれ以上は長くならない気がする。『付与魔法』の限界だ。


 「結局安定していないってことですか?私はかけて貰っていないので、実感がないですけど。」


 「結論はそうね。『付与魔法』を使う時に少し集中している時間があるでしょ? 

 あれじゃ、戦闘が始まってからじゃ使いにくいわ。」


 しかも『付与魔法』を使う時には対象に触れなくてはならない。

 訓練次第でどうにかなるかもしれないが、どうしてもイメージができず成功しない。


 「そうだな。装備を整えることに変わりはないか。『付与魔法』に頼りっきりはよくないか。」


 「頑張ってレベルを上げろってことだな!?」


 それも一つの答えか。


 「そういうことだな。もっと強くなれば問題も解決する。」


 「お、お兄ちゃん、私にはキーン・エッジは使わないの?」


 「矢の1本1本に使ってたら俺の魔力が切れるよ。アイラはフィジカル・アップだ。」


 アイラの顔は絶望に暮れている。わ、私だけフィジカル・アップですって!?

 ……みたいな?

 いいかげん諦めて。

 



 それからもちょくちょくオーガとは遭遇したが、さっきまでの様な大群は打ち切りのようだ。

 キーン・エッジを使ってバッサリいった。


 しかし、燃費が悪い。『付与魔法』は魔力を消費しすぎている。これだけの威力だから文句はないが、使いどころを間違えると魔力切れで窮地に陥る可能性も否定できない。

 『スキル持ち』相手だけに限定するか?

 『スキル無し』相手にキーン・エッジを使って、強くなったと勘違いを起こされても困る。

 俺と同じような過ちを犯して、後悔して欲しくない。




 皆で交代で夜の監視を行い、なんとか街にたどり着いた。

 皆の死を誰かに報告した方がいいか。騎士団にか?

 絶対に面倒なことになる。

 

 「お兄ちゃん、どうしたの?また悩み事?」


 最近顔見られるだけで、アイラに何考えているのか分かっているみたいだ。

 気後れして相談しようとしない俺にはとても有難い。会話のきっかけになる。


 「死んだ皆のことを騎士団に報告するかどうかをな。『警邏隊』に報告してもいいけどな。」


 「いやー、ボスそれはメンドクサイ!」

 「面倒です」

 「面倒くさいわ」


 みなひゃんとても強かですね。見習いたいです。


 「宿!宿探そうぜ。この前みたく良いとこがいいな」


 「……そうだな。そうするか」


 あっちから何か言ってきたら対応すればいい。

 問題が起きたら起きただ。最悪逃走してやる。



 馬車を止めれて、風呂もある宿を探したら1泊5,000ユグになってしまった。

 手持ちが約30万ユグ。

 切迫した状況でもないが、ノールの武器を買おうと思えば、今後のことを考えても金はもう少しは欲しい。


 部屋はベットが超デカい。4人寝れる。

 一人一部屋取ろうと思ったら、1万ユグ飛ぶので辞めた。

 アイビスが抗議していたが、無視だよーん。

 ぐふふふふ、良いではないか、良いではないか。

 ……アイビスたん、痛いよ。



 それでも4人で寝た。移動は楽ではなく、あれからは緊張状態が続いていた。

 アイビスすら最初は文句たらたらだったが、ベットを見たらいの一番に飛び込んであっという間に寝てしまった。俺もノールもアイラもそんな姿を見て緊張の糸が緩み、意識の底に沈んでいった。

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