↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/62

34話

 騎士団とは顔を合わせたくなかったので、適当にやり過ごしザックさんの馬車の荷台に乗り込んだ。

 街道は両側を森で囲まれている。道幅は10m位だ。少し視界が悪い。

 こんな所からオーガが襲ってくると面倒だ。


 道中の危険が指摘されたんだ。いつも通り作戦会議だ。


 「みなさーん、作戦会議の時間ですよー」


 凄まじい目でアイビスが見てくる。一部の人にはご褒美だ。


 「何言ってるのかしら?このバカは。」


 そんな言い方ないと思うのん。


 「いつものやつやんの?」

 「今回もですか?」


 「……どういうこと?」


 俺がまた変なこと言い出したらと思ったら、恒例行事みたいで少し戸惑っているみたいだ。

 ドヤ顔でアイビスを見つめてやる。俺がいつも変だと思わないことだ。


 「……何よその顔。殴っていいの?」


 「素直に謝れんのか、お前は」


 さっきの「はーい」はどうした。


 「早く作戦会議しなさいよ」


 「……………………」


 謝るまで黙ってやる。空気の重さにやられるがいいわ。


 「……悪かったわよ。これでいい?」


 少しだけ頭を下げた。ほんのちょこっと。気持ち下げたかな?くらいだ。

 どんだけ俺に謝りたくないんだ。

 謝ったことには変わらない。褒めてあげよう。ほめて伸ばすタイプ。


 「ん、苦しゅうないぞ。」


 アイビスの右手が瞬いて見えた。




 左頬を撫でながら改めて始める。

 作戦会議を始めるだけで時間かかりすぎだ。

 皆さんが静かになるまで5分かかりました。先生悲しいです。


 「作戦とはいっても各自の役割の確認だ。誰がどこにいてどうするのかを決める。」


 「よく意味がわかんねーや」


 ちゃんと説明するよ。


 「この先どこかでオーガが出るかもしれないというのは覚えているな。」


 ノール以外はうなづいている。貴様。


 「ザックさんを最優先で守るため、フォーメーションと各自の役割を決めるのが今回の趣旨だ。」


 アイラが元気よく手を上げる。意見は大歓迎だ。会議が円滑に進む。


 「本当にザックさんだけで良いんですか?他にも商隊はあるのに。」


 アイラは優しいな。あとでなでなでしてやる。


 「本来は騎士団5名の仕事だ。5人でこの商隊を守る予定だったんだ。

 俺たちが手を貸す必要もない。あっちから何かを言えばザックさんに相談して決める。」


 俺たちの上司はザックさんだ。騎士団じゃない。

 それにあいつらは無駄にプライドが高いから、関わるだけで疲れる。


 「他には何かあるか?」


 アイビスが手を小さく上げる。


 「騎士団だけで全てを対処できない場合はどうするの?」


 「ん~、どうしようか?アイビスはどうしたい?」


 質問を質問で返してしまった。あまり良くないことだったな。


 「俺が全部倒すから任せろ!」


 突然大声出すな。ビックリするだろ。


 「じゃ、頼んだ。」


 ノールに灸をすえてやろうとしたが、


 「よっしゃ!やってやるぜ!」

 

 何でそうなるんだ。馬鹿なのか?

 ……ああ、アイビスに良いところを見せたいのか。


 「……助けるのはいいが、ザックさんの安全が確保できてからだ。

 最優先はザックさん。他に何人の同行者が危険な目にあっててもザックさんだ。」


 ザック、ザック。


 「全部倒したら行っても良いってことだよな!」


 そうだけどさ。なんつーの?コイツいつか大怪我しそうだよ。


 「次はフォーメーションだが、これはもう考えてある。4人しかいないから大したもんでもない。」


 「で、どんな感じなの?」


 慌てるでない。今から言う。


 「俺とノールは馬車の右と左を担当だ。いいな?

 アイラは馬車に上って上から射撃。サポートよろしく。

 アイビスは遊撃だ。自由にやってくれ。ただし、俺たちだけで対処できなくなったら、戻って協力だ。」


 「うーい」

 「わかりました」

 「わかったわ」


 これでいいのか。適当なんだけど。


 「次は『スキル持ち』の対処だ。アイビスは戦ったことあるか?」


 「あるわよ。あれは強いわね。規格外よ。」


 「その通りだ。ノールもアイラも前回の反省を踏まえてくれ。」


 「はーい」

 「わかりました」


 これでいい。


 「今回は『スキル持ち』が出ても『スナッチ』は使わない。

 目的が違うからな。『スキル持ち』を確認したら、アイラに接触して『付与魔法』をかける。

 アイラは頭を狙って一撃で殺してくれ。」


 「……『付与魔法』使うんですか?」


 馬鹿力になるからな。女の子としては嫌らしい。


 「しょうがないだろう。この中で一発でケリをつけれるのはアイラだけなんだ。」


 「……わかりました」

 

 顔は了承してないぞ。その時になったらやってくれるだろう。真面目な子だ。


 「方針はこれだけだ。突発的なことにも焦らず対応してくれ。」


 


 


 はい。10日経ちました。あと半分もありません。

 しかし、俺の運が悪いのかザックさんの運が悪いのかわかんねぇ。



 「ボス、前と後ろに魔物がいるぜ。前の方が多いけど、後ろも結構いる。」


 「分かった。準備しておけ。」


 御者台に座っているザックさんの方へ向かって報告する。

 

 「ザックさん魔物に囲まれています。準備してください。」


 「ほ、本当ですか!?まだ、見えませんが。」


 「うちの奴は臭いである程度分かります。魔物がいるのは間違いありません。」


 「な、なら、騎士団に報告をしてきます。」


 そういって馬車を任され、ザックさんはベテラン騎士に話しかけている。


 が、


 「ボス!来てる!早く来て!」


 もう少しゆっくりさせてくれよ。


 「ザックさん!こっちに戻ってください。守りきれません!」


 「わ、わかりました」


 急いでこっちに戻ってくるザックさんのお腹はブルンブルン揺れてる。

 ……女性だったら良かったのに。


 

 俺も後ろに戻り、オーガを視認する。

 数はだいたい20だ。4対20。


 あれ?良く考えたら、これ俺やることないな。


 「アイラ!全部殺せ!」

 

 馬車の上にいるアイラに叫びかける。アイラ居たらそれで終わりだった。


 「了解!」


 頭上を何本もの矢が飛んでいく。

 『スキル持ち』はいない。『弓の加護』の敵などいない。


 他力本願だ。

 やっちゃえアイラ。


 ……作戦会議意味なかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。