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27話

日間ランキング40位にランクインできました。

まさかそんなことができるとは思わず、とてもうれしく思います。

皆さんの評価のおかげです。

引き続き『青年ネクロの成り上がり』をよろしくお願いします。

 「見苦しいところを見せたわ。忘れて頂戴。」


 またそんなこと言う。気を張らなくてもいいの!


 「そんなことないぞ。とっても女の子らしかった。」


 わざとニヤケながら言ったら、いつの間にか顔面にパンチを受けていた。

 くそ。絶対勝てない。


 「そ、それで、どうだ?一緒に帰るか?」


 「そうね。両親には会いたいわ。連れてってくれるなら、一緒に行きたい。」


 おお。説得できていたのか。断られるかと思った。


 「でも、私もうすぐ死んじゃうけど、どうするの?」


 「1日1回殺し合いという名の訓練をする。それで、当分は行けるだろう。」


 だが、これでは一時しのぎだ。意味がない。


 「言っとくけど、訓練はわざと負けてね。俺死んじゃう。」


 「……」


 黙らないで。


 「こっちの方が重要だ。バードン男爵を暗殺する。」


 

 王国法で奴隷の契約者が死亡した場合は、例外なく解放される事が決められている。

 ただし、奴隷が契約者を殺そうとした場合は、首輪の毒が一瞬で奴隷を殺す。

 奴隷では契約者を殺せない。俺が殺す。


 「……仮にも相手は貴族よ?大丈夫なの?」


 「もう息子も殺してる。何人殺そうが関係ない。」


 「そんなものかしら。」



 ノールとアイラの方を見る。


 「二人ともすまないな。相談もなしに。厄介ごとを持ち込んじゃったな。」


 「べっつにー、ボスならそんなもんでしょ。」


 「お兄ちゃんの好きにやったらいいと思います。」


 そういえば。


 「紹介がまだだったな。ノール、アイラ。

 この子はアイビスだ。年は11歳。お前らより年下だ。」


 「マジで!?11歳であんなつえーのか。自信なくすわ。」

 「よろしくね!アイビスちゃん!私はアイラだよ、こっちはノール。双子なの。」


 「よろしく。ノール、アイラ。迷惑かけることになるわ。」


 この流れはいいぞ。計画を発動する。

 全獣人妹化計画を!!


 「俺はネクロだ。お兄ちゃんと呼べ!」


 直球で行く!


 「よろしくね、ネクロ」


 なんてことだ。早くも計画が失敗した。体が勝手に床に向かっていく。


 「何やってんだよ、ボス」


 慰めて。そんな目はしないで。




 アイビスは立ち上がり、顔が見えないように外を見つめた。


 「……ありがと、お兄ちゃん」


 声は風と共に掻き消えた。




 


 1階に降りて、朝食をとる。

 宿の壁を壊してしまったことを謝罪して、修繕費を出して許してもらった。


 そのまま今後について話し合う。



 「さーて諸君。今日でこの町から離れようと思う。」


 「なんでですか?」


 アイラが聞き返す。


 「アイビスが来た以上、失敗したことが分かったらバードン男爵はどんどん暗殺者を送り込んだ来る。

 そんな日々を過ごしたくはないだろ?さっさと暗殺して安全を確保する。

 それに、アイビスと毎日殺し合いをしてたら俺が保たない。」


 「そうだなー、アイビスめっちゃつえーからな。何でボスが勝ったかわかんねー」


 そんな言い方ないんじゃない?ノール君。


 「そうね。プチッといっちゃうかも。」


 こわい。何その擬音。


 「それとなー、俺の親が顔を見せる代わりに義勇兵になることを許してくれたんだ。

 まだ、2カ月もたってないけど、一回帰るか。紹介するよ。」


 「ボスの親かー」

 「お兄ちゃんの……」

 「わかったわ」


 嫌がってはいないな。よかった。


 「それで、アイビス。どうやってこの町まで来た?」


 「男爵が用意した馬車で来たわ。本当だったらあなたを殺して馬車で帰るつもりだったの。」


 お、おお……。

 恐ろしいことを平然と言ってのける。


 「俺たちもそれに乗れるか?」


 「ボス、それに乗ってったら怪しまれない?」


 確かに。だめか。


 「街の中に馬車で入らなければいいわ。そこらへんに置いてけばいいのよ。」


 「馬はどうする?」


 「男爵を殺した後、回収すればいいじゃない。

 旅には必要でしょ?」


 それもそうか。


 「それじゃあ、準備して出発だ。出発前に斡旋所にあいさつに行くか。」


 「う!」

 「どうしたの?アイラ。」


 動揺しているな、アイラ。


 「な、何でもないの。心配しないで。」

 「そう?ならいいけど」


 俺は見てみたい。セラさんがアイラとアイビスを見た時の反応を。


 「行くぞ。」


 「「「はーい」」」


 アイビスが「はーい」って言った。クールキャラだと思ってた。

 いや、やっぱり顔が赤い。

 凝視してたら殴られた。速すぎる……!




 斡旋所へ行く道で普段と違うことがある。

 一つは俺の少し先で、アイラが楽しそうにアイビスと歩きながらお喋りしてる。まあ、他に女の子いなかったし。


 もう一つはノールが大人しい。いつもだったらそこらへんウロチョロするのに。

 俺の横を黙って歩いている。


 「どうした、ノール?調子でも悪いのか?」


 「へ?いや!別にアイビスのことなんて見てねーよ?」


 何勝手にゲロってんだ。語るに落ちたな。


 「なんだ。アイビスのことが好きなのか。」


 「なな何言ってんのボス!?そんなことねーし」


 小学生か。


 「そんなこと言ってていいのか?アイビスの可愛さはアイラと同じくらい規格外だぞ?

 誰に取られるかわからん。いいのか?」


 「へ?マジで?どうしよう。ボス」


 まてまて。野次馬根性が出てきちゃうよ、これ。


 「まあ待て。アイビスのどこが好きなんだ?そこからだ。」


 どうにでもなれ。面白い。


 「まぁ、可愛いじゃん。めっちゃ。」


 同意。


 「それにつえー。ボスがボこられてるとこ見て、ボスがヤバいことは分かってたけどさ。

 あの動きには憧れたよ。スゲーなって。そんであの動きをしてたのが、あんな可愛い子だろ。

 んーまぁ、そんな感じ。」


 憧れか。かわいさ余って好きになっちゃたか。


 「よし!まずはスキンシップだ。アイビスは優しさに飢えている。行って来い!」

 

 「無理だって!いきなりそんなこと」


 それもそうか。


 「なら手本を見せてやる。今からアイビスの頭をなでてくるから見てろ。」


 「なんつー気合いだ。ボスがやりたいだけじゃねーの?」


 バレタカ。


 「行ってくる!」


 アイビスに小走りで近づき、我が右手でそのサラサラの頭を撫でようとした。

 

 「ガバ!」


 どうしたことだ。何で地面に倒れてるんだ?

 アイビスの頭を触ろうとしたはずなのに。


 「……何しようとしたのよ」

 「お兄ちゃん……」


 ……蹴られたのか。腹が痛い。

 2人とも呆れて先に行ってしまった。


 「ボス……」


 お前もか。





 痛みなどどうということはない。『生命力』があるからな。タフだ。


 「セラさーん。この二人見てよ。可愛いでしょ?」


 「……女神だわ」


 そこまでか。


 「なんてことなの!ただでさえ可愛いアイラちゃんが隣の黒い子のおかげでさらに引き立っているわ!

 」


 「アイビスですよ」


 説明をば。

 

 「アイビスちゃん!あなたも凄い!お互いがお互いを一つ上の次元へ引き上げてるわ!!」


 やっぱり暴走したか。


 「黒と白の調和!猫ね!猫耳ね!触ってもいいかしら。もちろんアイラちゃんもこっちに来なさい。」


 「ちょ、ちょっと……」


 アイビスは混乱している!

 あそこまで直球の感情表現はなかなか無い。

 

 「はー、いい匂いだわ。どうなってるのかしら。

 香水なんてつけてないでしょ?いえ、付けなくていいわ」


 2人ともモフモフされている。ノールも心穏やかじゃないな。

 好きな女の子があんなにされたら嫌か。

 頃合いか。


 「セラさん今でお世話になりました。今日でこの町を出ます。」


 動きが止まる。

 これは。し、死んでる……!

 いや、嘘だよ。


 「気絶してるわよ、この人……」


 そこまでショックだったのか。良かれと思って挨拶に来たのに、悪いことしちゃったか?


 「……行こうか」


 「……わかりました」

 「……そうね」


 出口に向かい、後ろを振り返るとノールがセラさんにチョップしていた。


 許してあげて。俺も悪かった。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。

評価や感想をいただけると、一段と頑張れます。

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