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第一話 最弱トカゲに転生した俺、いきなりピンチ

新連載始まりました!よろしくお願いします!


 俺は床の冷たい感触で目を覚ます。

 ん? 俺は実家でゴロゴロ寝ころびながら、エレメンタルモンスターをプレイしていたはずでは?


 床は湿っていて、冷たい。

 だがその割に俺の体は寒いとは思わない。


 視線を上げると金属製の柵が見える。

 その外は岩肌に囲まれていた。どうやら洞窟の中にいるようだ。



 エレメンタルモンスター、略してエルモン。このゲームは十四属性のエルモンたちを駆使して、トレーナーと戦ったり、魔物を倒してお金を得る異世界ファンタジーのオープンワールドだった。好きなエルモンを育てて、進化させる。


 ランクバトルで戦うもよし、沢山のエルモンを収集するもよし。

 どんな遊び方も許してくれる神ゲーだったんだ。

 俺は無職でニートだったけど公式大会で上位に入るくらいの対戦廃人だった。


 俺は異世界ファンタジーをよく読んでたから、エルモンの世界に転生したいって良く願ってた。


「まさか⁉ 俺は転生したのか?」

 周囲を見ると沢山のエルモンがいる。

 ドラゴンタイプに進化する白銀色のトカゲ型エルモン。


 薄い羽を背中に生やしたモフモフの妖精タイプのフェアリーハーピィもいる。

 お、エルモンではおなじみの水タイプのスライム、スラモンもいるな。

 ま、まさか本当にエルモン世界に転生したのか?


 ん、でもなんでエルモン達が金属の柵に捕まってるんだ?

 ゲームにはそんな設定はなかったぞ?

 しかも周りのエルモンは全く動かず、微動だにしない。


「おい、誰か俺の声が聞こえてる奴はいないのか?」

 というか、おかしい。俺は何に転生したんだ?

 俺は自分の手を見つめて、異常に気付く。


 こ、この灰色の鱗と視線の低さ。

 ま、まさか、最弱のエルモン、グレーコモドンか?


「頭! 一匹だけ様子のおかしいエルモンがいるでさあ!」

「さっきから鳴き声がうるさい奴がいるな。あ? がーはっは。こいつは最弱のトカゲじゃねえか!」


 柵の外の人間が、俺を馬鹿にする声が聞こえる。

 まさか、俺含め、ここにいるエルモンたちはこいつらに捕まってるのか?

 何かがおかしい。エルモンのゲームにはそんなシステムはなかったはずだが。


「おい! お前らここから出してくれ!」

「何をこいつは鳴いてやがるんだ!」

「ちょっと痛めつけてやれ!」


 え、エルモンと人間は意思疎通ができるはずじゃないのか?

 鉄の柵が動き、頭と呼ばれていた人間が、怪しげな光をしたむちを持ってくる、


 なんだ、あの鞭。エルモンのゲーム内では見たことがないんだが。

らいやがれ!」

「‼」


 バチバチと雷の音を響かせる鞭が俺に振り下ろされて……。

 ビリビリ!

「グオオオ!」


 俺は鞭から発せられる電撃に体を焼かれる!

 何だこれは。痛い、痛すぎる。

 何でこいつらはエルモンにこんなひどいことができるんだ。


 こんなの俺の知ってるエルモンのゲームじゃない!

 痛みに耐えきれず、涙が勝手に出てくる。


「がーはっは! 他の奴らみたいにおとなしくしてりゃあいいのによ!」

「こいつはさいっこうだぜ!」

「ギャッハッハ!」


 何てみじめな気分なんだ。俺は鉄の柵の中に投げ出される。

「ぎゃあ!」

 無造作に放り出されて、体中が痛い。

 悔しい。こんなのエルモンじゃない。


 エルモンにこんな人間たちはいただろうか。

 確か、設定の中にエルモンを違法に捕獲して叩きうる悪徳ハンターがいたな。

 ここは、悪徳ハンターたちのアジトなのかもしれない。


 悪徳ハンターたちのうたげが始まり、見張りも居なくなったところで、一匹のエルモンが近づいてくる。


貴方あなた、怪我は大丈夫?」

 先程見かけた白銀色のトカゲ型エルモンだ。

 種族の名前はホーリーコモド。


 正直に言うと、全然大丈夫じゃない。

 だけど自分もトカゲ型エルモンになっているので、ものすごく可愛い女の子に見える。

 だからこう言った。


「ああ? あれくらい全然大丈夫だ。鱗がかゆいくらいさ」

「そうなの。じゃあ、治療しなくて大丈夫ね」

「嘘です。めちゃくちゃ痛いです」


 ホーリーコモドちゃんは、俺の返答にあきれた顔をする。

「全く、そんな見え見えの嘘つかなくてもいいのに」

「男はいつになってもレディの前ではかっこつけるもんさ」

「呆れたわ」


 ホーリーコモドちゃんは、俺の頭に足を乗せると白い光を出す。

 これは、光属性の回復魔法か!

 まだレベルは低そうだが、これを最初から覚えているエルモンはほとんどいない。


 体の痛みがスーッと引いて、癒されていく。

「ああ、ありがとう。おかげで楽になったよ」

「本当? それはよかったわ。じゃあね」


 え、なんか冷たくない? 俺は待ったをかける。

「待ってくれ? 俺達は何で悪徳ハンターに捕まってるんだ?」

「貴方もハンターに捕まったんでしょ? 何で知らないの?」


 う、そう言われると心苦しいな。俺は咄嗟とっさの言い訳でお茶をにごす。

「悪徳ハンターに捕まった時の記憶がないんだ」


 そう言うとホーリーコモドちゃんはまた呆れた目をしてため息をつく。

「はあ、貴方バカなのね」

「なんでだよ!」

「まあいいわ。私たちエルモンは一度捕まったら人間の道具として使い潰されるわ」


 やっぱりゲームのエルモン世界と全然違う。

 人間とエルモンが共生して暮らしていたんじゃないのか?

 俺は気になって聞いてみる。


「何を言っているの? そんなのおとぎ話でしか聞いたことないわ」

「え? じゃあ俺たちエルモンは何で反抗しないんだ」

「できないのよ」


 どういうことだ?

 俺は頭に疑問符を浮かべる。

 ホーリーちゃんはまたため息をつき、気だるげに言った。


「貴方もあの鞭で叩かれたでしょ? あれは痛みでエルモンを服従させるための道具よ」


 まじか。つまり、エルモンは人間に反抗できないじゃん。

「私もここに入れられる前に、あれで叩かれて、服従させられてるわ。逆に何で貴方は元気そうなの?」

「さあ。さっぱりわからん」

「まあ、もう私たちは人間たちに売られる未来しかないわ」


 ホーリーちゃんはそれだけ言うと、無言で座り込んでしまった。

 俺は考える。

 俺は大好きなエルモンの世界に転生できた。

 だがこの状況はおかしい。エルモンは魔物とは違い、知性のあるとても魅力的な存在だ。


 それを人間たちはただの道具としてしか見てない。

 そんなのエルモンじゃない。


 俺はあの鞭に叩かれてから弱気になっていた。

 だが、俺はエルモンのランクバトルで何回も戦ってきた男。

 百回負けても、二百回勝てばいい。

 だから……。


「俺は負けない」

 ぼそっと呟く。

 この世界はおかしい。だからエルモンの住みやすい世の中を俺が作る。

 そのためには、まずこの牢獄から脱出する必要がある。


 続く。




小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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