後夜
ある日、この世界から闇の精霊が消えた。
この世界には6属性の精霊がいた。
その中で、闇の精霊はこの世界の人から嫌われていた。
闇の精霊の加護を持つもの、闇魔法の適性を持つもの、闇の精霊を信仰するものが世界中から迫害を受けていた。
闇の精霊王は怒り、悲しみ、ついに世界から闇を取り上げ、自身も姿を消した。
世界は徐々、滅びへと向かっていた。
だがそれは、少し前の話。
今から50年ほど前、王国、帝国、聖国に、闇の精霊の加護を与えられた者が現れた。
彼らは人々に訴え、自らの国の制度を変え、闇の精霊を献身的に信仰した。
そんな彼らの信仰心に、闇の精霊王は応えた。
『そなたたちの献身、受け取った。だが今までの差別を考えると、十分とは言えぬ。今後の期待のため、少しの褒美をやろう。夜を戻す。ただし、一日のうち一時間だけだ。真実、夜を取り戻したいのなら、行動せよ。我はいつでも見守っている。』
闇の精霊王の言葉は、世界中に届けられた。
その日から、一日一時間の夜が戻った。
人々は涙し、歓喜した。
そして、闇の精霊王に信仰と感謝と謝罪を強くした。
それから二度、闇の精霊王からお言葉があった。
その度に夜の時間が増えた。
私たちはこれからも闇の精霊王を敬い、真実、夜が戻るまで、夜を待ち続けることだろう。




