28夜
いつものように、リアムは私についてきた。
前回と同じ部屋に通された。
久しぶりに会ったアルトゥール枢機卿とバルトルト隊長は、かなり疲れが滲み出ていた。
食事が満足にできなかったのだろうか?
線が細くなっている気がする。
それほど大変だったのだろう。
「それで、どうなったの?」
「全ての黒幕は、教皇の腹心の枢機卿だった。」
「へぇ。」
事件の概要は、こうだ。
次の教皇になるために、闇の精霊について研究していた。
その中で、闇の精霊を召喚できる魔法陣を見つけた。
闇の精霊は、子どもを好んでいる。
そして召喚には、生贄が必要だった。
だから子どもを誘拐し、生贄にしていた、ということらしい。
何処から突っ込めば良いのだろうか?
研究は、まあいいとして。
あの魔法陣は邪霊を呼び出すものであって、闇の精霊とは一切関係がない。
何処からそんな情報が出てきたのか。
資料が間違っているのか、それとも勝手に解釈したのか。
闇の精霊は確かに子ども好きだが、生贄にされたら普通怒るだろうに。
お気に入りを死なせて、喜ぶような精霊はいない。
喜ぶのなら、それは精霊ではない。
そこまでの頭がなかったのか?
ああ、やっぱり馬鹿なのか。
黒幕が教皇の腹心。
これはまた、全体が荒れそう。
まあ、人間の組織のことは関係ないので、私は一切関与しないが。
暇な時間帯に神殿を覗いたが、闇の精霊を敬っていると言うわりには、本心から敬っている人間が少ないこと。
結局、根強い差別は何処かしらで残っている。
さて、私はどうしようかな。
「それじゃあ、ある程度は聖国のこともわかったし、そろそろお暇させてもらう。」
「「え……」」
「あなたたちの、今後の動きに期待しているわ。この世界はまだ闇に対して、贖罪していない。夜を戻して欲しいなら、あなたたちが率先して行動することね。王国と帝国はすでに、動き出しているわよ。私を失望させないでね。」
「「御意に。必ずや、期待に応えられるようにいたします!」」
彼らの視線の強さに、彼らの決意を感じた。
この国は、きっと良い方向に変わるだろう。
近いうちに、この世界は夜を取り戻すような気がした。




