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第11話『集うランカー達』その3


 バトル終了後、蒼風凛あおかぜ・りんの目の前に姿を見せたのは――アークロイヤルだった。

「あなたに聞きたいのは――ファルコンシャドウの事よ。プライベートではなく、あくまでもアカシックワールドでの――事だけど」

「ファルコンシャドウ――そう言えば、彼女もジャンヌ・ダルクと対戦して負けたという話を聞いているけど」

 蒼風はあっさりと自分の知っている情報を教えた。価値がない情報と言う訳ではなく、単純に聞かれた教えただけに過ぎない。

その後、彼女はアークロイヤルにこう補足する。

「アカシックワールドから脱落した場合は――ゲームがプレイできなくなるわけではないし、特に気にする問題ではないわ」

 世間一般的に言われているデスゲームとはARゲームが違うのは有名な話だが、それ以上にアカシックワールドはデスゲームと例えられる事を嫌っていた。

その理由は元ネタと思われるパワードフォースがデスゲーム化したと勘違いされるのを防ぐ為――とも言われているが、定かではない。



 5月27日、ミストルティンの敗北はネットニュースにもなったが特に大きく炎上はしていない。

その理由として、倒された相手がヴァルキューレだったのも理由の一つだろう。ヴァルキューレは別の意味でも無双伝説がネット上でも拡散しているレベルだからだ。

【さすがのジャンヌ・ダルクもヴァルキューレは無理だろう】

【アレで勝てるのか?】

【アカシックワールドは認められたガジェットでしかプレイできないという話もある】

【チートガジェット使用者が次々とアカウント凍結されているのは――】

【おそらく、それに由来するだろう】

【しかし、チートガジェットは最初から使用不能のはずだ。おそらくは後付けツールかチートアプリと言う可能性が高い】

【チートアプリと言えば、別所の事件で配布サイトが摘発されたとか】

【それでも――氷山の一角であり、チートアプリ拡散の全貌と言う訳ではない。色々と調査が必要だろうな】

 ネット上の掲示板でも、今回の話題に触れる物はあるが――やけにあっさりした物が多い。

強い口調で発言すればまとめサイトに転用され、更には――という事もあるのかは不明である。

「ヴァルキューレがイレギュラーなのは分かっていたが、ここまでとは――」

 ネット上の書き込みを見て、ある意味でも想定外と言う反応をしていたのは神原颯人かみはら・はやとだ。

彼は会社へ向かう前のアンテナショップで、一連のニュースを知り――慌ててスマホで一連の掲示板を見る。

そして、彼は自分が認めた特例――ヴァルキューレが予想外の展開を生み出した事に、頭を抱えそうになっていた。

「だからと言って、ジャンヌが即座に排除仕様と動くとは考えにくい。まずは――?」

 スマホで掲示板を見ていた後に、別のニュースサイトを開いた所――まさかのニュースが飛び込んできた。

その内容を確認せず、一行だけの見出しで何かを察して会社へと急ぐ事に。タクシーを呼ぼうとしても場所的な事情で呼べないので、走って向かう事になるのだが。



 会社に到着した神原は、受付をスルーして2階の会議室へと急いでいた。階段ではなく、エスカレーターがある事は救いだろうか?

エスカレーターを降りてからは、指示看板通りに会議室へと向かい――何とか無事に到着する。会議室では緊急性の会議ではなく、別の会議が行われているのだが――彼は自動ドアの前に立ち、ドアが開いた。

 会議室と言っても、1室構成ではなく――パーテーションで仕切られた複数方式の会議室である。だからこそ、この会議室はかなり広めなのだ。

下手をすれば、コンビニ3件分位の広さはあるだろうか? 神原は、そこのゲーム企画会議の部屋の前に立つ。そして――。

「やはり、君か」

「ここへ来る事は分かっていた。どうなっているのか、説明してもらえるのだろうな?」

「今回は一連のネット炎上した別ARゲームとは次元が違う。下手をすれば、サービス終了の視野に入る」

 会議室にいた男性スタッフは、既に状況を理解していた。

話と言うのはアカシックワールドで間違いはないだろう。運営スタッフにもジャンヌ・ダルクの存在が気付かれたのか?

しかし、神原が入る前にはジャンヌと言う単語も聞こえていなかったので――もっと別の話題だろう。

「ここへ向かう途中、ニュースの方を目にいたしました。そちらの方でしょうか?」

 神原ははっきりと例のニュースに関して――話題を出す。これで反応がなければ、ジャンヌ・ダルクの一件が漏れたと思ってもいい。

「芸能事務所のゴリ押しコラボは――草加市ではNGのはず。それが、何故に通ったのか?」

 すると――スタッフの一人が案の定の発言を切りだした。

「アカシックワールドではないが、別のARゲームで芸能事務所Aのアイドルが歌う曲を無理やり収録されたと聞いている」

「これは明らかにARゲームに対する営業妨害以前に、圧力で何でも解決しようとする芸能事務所AとJの陰謀だ」

「こちらも、それに対抗できるコンテンツを開発し、それを広めなくてはいけない。芸能事務所AとJのアイドルは海外では大炎上している話もある」

「芸能事務所側の件はまとめサイトの管理人が逮捕されたことで、沈静化したはずなのに――何故、このタイミングで炎上した?」

 他のスタッフからも話題が出始めるが、どうやらジャンヌの件は知られていないようだ。

これに関しては、神原も別の意味で安堵する。ジャンヌの一件が開発スタッフなどに漏れていたら、それこそ大変な事になるだろう。

パワードフォースのスタッフも、この件は目にしている可能性が非常に高く――下手にロケテスト中止にでもなれば、それこそ大変な事になる。

神原は、何とかして次の作戦を進めなければいけない――会議の内容を確認しつつ、作戦のヒントになるような項目を探し始めていた。

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