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第11話『集うランカー達』


 5月26日、今回は昨日と違って晴れていたのは間違いないだろう。

ネット上でも掲示板等で話題となっていた単語である『コンテンツハザード』の正体、それがネット炎上だった事には衝撃を隠せないメンバーが多い。

ARゲーム運営側もネット炎上を防止する為の対策を、アイドル投資家の一件から強化しているのだが――それでも追い付かないことを意味している。

結局、コンテンツにおける炎上問題は避けて通れないのか――炎上しないコンテンツはフィクションの世界だけの存在だけなのか?

運営の会議は――微妙に壁を固くするだけ、つまり時間稼ぎにすぎなかったのである。

 しかし、時間稼ぎとは言っても――その費用対効果は単純な時間稼ぎとは比べ物にならない。

芸能事務所AとJ、それ以外の芸能事務所が噛みついてくれば――草加市はARゲーム運営を守る為にも営業妨害として事務所に対して警告できる。

草加市の行っているARゲームでの町おこしとは、町おこしと言う名称自体が隠れ蓑であり――と言う事はネット上でも有名だ。

どれ位の隠れ蓑なのかは――残念ながら明らかにはなっていない。これが表面化すれば、芸能事務所側がノウハウを悪用しかねない――という意見も多いためである。

「草加市の方がカードを切るとは――それだけ切羽詰まっていると言うべきなのか、それとも別の事情か?」

 ネット上でのニュースを見て、レーヴァテインはふと疑問に思っていた。

しかし、芸能事務所が横槍などを入れてこなくなるという点は彼にとって非常に大きい。おそらく、現状の目的を達成するのに邪魔者を削れるだろうか。

「とりあえず、利用できる物は利用しますか」

 気分屋でもあるレーヴァテイン、それは特撮番組でも同じであり――今の彼も同じだろう。

彼以外にも一部のガーディアンが草加市の対応に関して高く評価する一方で、まとめサイト等では『特定勢力に対する圧力』と非難する事がある。

その声に関しては百も承知の上で、今回の決定を下している為――彼らにとってはブーメラン発言と言えるだろう。

【まとめサイトや一部のアイドルファンがやった事を考えれば、草加市の対応は当然であり――ブーメラン発言とも言える】

【タバコのポイ捨て、歩きスマホ等と同列にスパムサイトレベルのアイドルグループ宣伝を――と言うのも無理な話だ】

【彼らは明らかに草加市の景観を損ねるような行為まで実行した――それが、あの判断を下す事になったと分からないのか?】

【アイドルファンがテロ組織の様な存在になる――と言うWEB小説はいくつかあったが、フィクションがノンフィクションにでもなるのか?】

【そこまでになったら、明らかにジャンヌ・ダルクの言うデスゲームと同じ事が起こる】

 掲示板の書き込み等では、一連の事件に関して触れられている物もあったが――大抵が草加市の行動に賛同する意見が多い。

一般市民にとっても、アイドルファンが起こしている行為に関しては迷惑行為と変わりないと判断したのだろう。



 午後7時となると、一部のARゲームでは安全を考慮してゲーム終了となるケースがある。

アカシックワールドは対象外だが――この時間になると参加するプレイヤーにも変化が出ているだろう。

【何処のバラエティー番組もワンパターン過ぎて――】

【スポーツ中継もあるが、衛星放送等のケースが多いな】

【こういう時こそ、夜のARゲームチャンネルだな】

【昼とは顔ぶれが異なるが、有名プレイヤーが集まると言う話だ】

【さすがに、こちらにまでジャンヌ・ダルクは――来ないだろう】

 掲示板では早速だが、様々なコメントが飛んでいる。それ以外でも――過激なコメントもあったのだが、そちらは即座に削除されていた。

夜になるとアンテナショップでも、中継を見る為に客が一斉に集まる。年代としては20代後半や30代前半が多い。

 さすがにビールやアルコールを片手に視聴する事はないが、これはアルコールの提供が禁止されているためだ。

酔っ払いが暴れまわって各種機器を破壊しては――問題に発展するのは間違いない。しかも、その額は軽く1000万円オーバーである。

ARガジェット用サーバーは一定の間隔で交換となる為、あまり費用はかからないが――太陽光パネル等の類やドローン、ARフィールド発生装置は破壊でもされたら一大事だ。

警備にも使用している中継用ドローン、一般家庭への電力供給にも使用している太陽光パネルや風力発電装置等はスペアの生産にも時間がかかるシロモノである。



 最初の中継で登場したのは、そこそこ有名なプレイヤーである。彼女にはミストルティンというコードネームがあった。

装備は西洋の騎士を思わせるが、露出度が高いアマゾネスに近いだろうか。武器もハンドアクスである。

「さて、あたしの対戦相手は――」

 ミストルティンは格好が露出度の高い割には――ガードも強い事で有名だ。

それに――彼女の性格はどちらかと言うと好戦的ではなく慎重派だろう。人は見かけによらない――。

『ミストルティン――神殺しと言う割には、その装備で大丈夫なのかな?』

 ミストルティンの目の前に現れたのは、まさかの大型ロボットだった。

アカシックワールドでは飛行ユニットを使うプレイヤーもいるのだが、彼女にとっては計算外と言える瞬間である。

ARマシンに片足を突っ込むようなデザインには、さすがのミストルティンも両足が震えているだろう。

 彼女の対戦相手は、まさかとも言える蒼風凛あおかぜ・りんであり――彼女の使用機体である『ヴァルキューレ』だった。

これにはさすがのミストルティンもレギュレーション違反を訴えるのではないか、そうネット上でも予想されていたが――。

【これを受けるのか?】

【無理だ。ベスト50以内の実力者でも、アレには勝てない】

【前代未聞の最強勝利フラグ――それがヴァルキューレだ】

【あの機体に勝てるのは、ジャンヌ・ダルクだけじゃね?】

【あれは別の意味でイレギュラーなのは間違いない。アカシックワールドのガジェット規格に入っているのか?】

 アカシックワールド初見の視聴者にとって、ヴァルキューレのインパクトは予想以上だろう。

それと同時に、アレをチートと言う様な人物はさすがにいない。チート発言をするだけでネットが荒れるのは明らかだったから。

「さて、お手並み拝見といきますか――」

 中継されているであろう谷塚と竹ノ塚の間に近いARフィールド、そこにはレーヴァテインが目の前の光景を楽しんでいるようにも感じていた。

ある意味でも特等席で彼は一連のバトルを見ていたからである。周囲には電車も通過し、そこからでもARバイザーがあればバトルを見る事は出来るだろう。

それこそ、花火大会を電車の車窓から見るような感覚――と言える。

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