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プロローグ2

 極東地域メタバースの管理を担う巨大施設の地下深く、サーバーフロアのとある一室、時刻は深夜。そこでたった一人でモニターに向かって作業している男がいた。

 そこへ極秘の私的な(プライベート)回線を利用した音声通信が入ってきた。

「ひさしぶりだね。あれから“置換作業”は順調かね?」

「ええ、ご依頼された仕事はなんとかやっていますよ。今もです」

「その口ぶりだと、そうとも思えんがね」

「作業をすることそのものは問題ないかと。しかし私一人で、誰にも気づかれることなく作業を行うのは、骨の折れる仕事でしてね。特にこの管轄には、仕事熱心な奴がいるので、気づかれないようにするには時間がかかってしょうがありませんよ」

「それで、具体的にはどれほど進んでおるのか?」

「おおおよそ六割ほど、仮想剛体から物理演算可能な有強度素材に書き換えを終えました」

「それでは、当初の計画通りに遂行は可能だろうか?」

「不可能ではないと思います。適切な条件で演算が行なわれれば、崩壊するはずです。ただし、このような巨大建築を構成する理想剛体と演算可能構造物の混合建築物の仮想的破壊実験なんて、誰もしたことがないので、結果がどうなるかは未知数です」

「だが、これで破壊可能な状態であろう?」

「ええ。ですが、不安定な状態であるともいえますからね。もしかすると、我々が手を下す前になにが起きるか分かったものではありません」

 回線の向こう側で低い笑い声が聞こえた。

「まあまあ、その時はその時ということ」

「そもそもの話ですが、こんな手の込んだことは不要なのではありませんか? バベルタワーを消すのは、プログラムを多少操作してやれば一瞬で出来ることなんですから」

「君、それは違うのだ。我々には、人々に見せるための大々的な見世物(ショー)が必要なのだ」

「ショー?」

「人々に印象付けなけらばならない」

「つまり、巨大なバベルタワーの崩壊を?」

「我々の計画になくてはならんイベントである。して、それを合図に各地のメタとネットワーク網は崩壊し、人々は現実世界へ戻らねばならなくなる。新世界秩序の頂点に立つのは私達なのだ」

「なるほど、そうですか」

「それと、先日の予備テスト(・・・・・)はどうなったね?」

「ええ、あの試験は、まあ上々というところでしょう」

「ほう……対象者はどうなったのだ?」

「そこまでは、分かりませんよ。私が雇った連中に直接、お訊きになってはどうです?」

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