ダンジョン再び
蝗害対策も終わり、バッタ駆除の参加メンバーは2つに分かれた。
・ロカシティ建設パーティ:ザ・ストーム・ロカシティ
バッタ駆除の参加メンバーの大半がこちらを選んだ。
・ダンジョン探索パーティ:ザ・ストーム・エクスプロア
このパーティの表のリーダーはルカ、裏のリーダーはオレだ。
構成メンバーは、ルカ、オレ、たま、ガーベラ、シロ、
オインク、ラビィ、セイヤ、モモカ、ユカリ先輩、
クルマニー、ポピー、ググリ、キアの合計4柱と10人。
カムナビ温泉の運営があるため、
セイヤとモモカとユカリ先輩の3人組、
クルマニーとポピーの2人組はダンジョン探索と温泉業務を兼業する。
・・・
今日から当面の間、ダンジョン探索は日帰り出張で行うことにした。
1.朝にカムナビ温泉を出発。
2.高速飛空艇ファルコン号でダンジョンまで飛行。
3.ダンジョンに着いたらアイテムボックスにファルコン号を収納。
4.オレたちが数時間ダンジョンを探索。
5.夕食の時間になると女神アイアがルカの前に空間転移。
6.オレたち全員をピックアップしてカムナビ温泉に帰還。
7.女神アイアはオレたちと一緒に夕食を食べる。
8.女神アイアは温泉とマッサージを満喫する。
9.女神アイアは神界に空間転移し、自分の寝室で眠る。
…やはり空間転移は究極のチートスキルだ。
そして、いくら空間転移が便利だといっても、
オレたちの都合で女神アイアに負担をかけてはいけない。
女神アイアが気にせず頼ってと言っても、それに甘えてはいけない。
オレはそう思う。
…。
日帰り出張プランの問題点。
高速飛空艇ファルコン号の飛行速度に限界があることだ。
距離=速度x時間
の速度方程式に縛られている。
難しい言葉だと等速度直線運動方程式だっけ。
問題:時速1235kmでまっすぐに4時間飛ぶと直線距離は何kmでしょうか?
回答:4940km。
そういうやつ。
ちなみに、記憶では意地が悪い回答もあって、
地球は丸いので4940kmをまっすぐ飛ぶのは困難ですってのだったかな?
ごほん。雑談思考だ。
とにかく、ファルコン号の速度が大事。
そこで今回登場するのがずっと開発中だった
タービンゴーレムジェットエンジンバージョン3。
略すとTGJEV3がとうとう完成だ。
TGJEV3を搭載することでファルコン号は時速1235kmで飛行可能だ。
・・・
今日のダンジョン探索メンバーは、
オレ、ルカ、たま、ガーベラ、シロ、
オインク、ラビィ、クルマニー、ポピー、
ググリ、キアの合計4柱と7人だ。
オレとクルマニーとポピーとググリとキアは甲板で観光…
じゃなくて甲板から地上を観察している。
オレは空を見上げた。
空は透き通るように青い。雲もない。最高の天気だ。
日向ぼっこでもしたい…じゃなくて一応、警戒だ。
古代竜のアンデッドがもしかしたら襲ってくるかもしれないし。
オレは元の世界で読んだ異世界小説をイメージする。
そしたら退治しよう。
はははは。
クルマニーとポピーがオレのダダ漏れにギョッとした。
ググリとキアは真剣な雰囲気を身に纏った。
…ゴメン。
古代竜のアンデッドは嘘だ。
悪い冗談だった。許してくれ。
クルマニーはホッとしたが、ポピーは怯えたままだ。
クルマニーがオレを責めるように言う。
「古代竜のアンデッドが襲ってきてほしいという気持ちが少しあったべ?」
うーん…?
確かにそうだったかも。
ごめんね。
ググリとキアは残念そうな雰囲気だ。
(某は古代竜に会いたい。残念だ。)
(わっちも古代竜を見てみたいでありんす。)
それを聞いてポピーが口から泡を飛ばした。
「あっさり死んじまうべさ?ググリとキアは死にてえってが?」
ググリとキアは顔を見合わせる。
2人の雰囲気は優しくなり、2人とも首を左右に振り否定した。
なるほど。
真菌と細菌にも死にたくないという気持ちがあるんだな。
…ごほん。
オレも死にたくない。
絶対に死にたくない。
さてさて、さーてと。
他のメンバーは指令室にいるはずだ。
そろそろファルコン号もダンジョンに向かって加速してもいい頃かな。
・・・
「TGJE。オペレーション・スタート。」
ルカの凛々しい声がファルコン号に響いた。
ファルコン号の内部には伝声管が張り巡らされている。
了解。オレはそうダダ漏れする。
ルカの指令が続く。
「TGJE。V3ブースト・シークエンス・チェック。」
了解。オレはそうダダ漏れする。
オレはファルコン号の船尾に縮地。
ルカの指令に従い、TGJEスロットの状態と、
アイテムボックス内のTGJEV3モジュールの個数と状態をチェックする。
オーケー。問題なし。オレはそうダダ漏れする。
「TGJE。V3アタッチ。」
了解。オレはそうダダ漏れする。
ルカの指令に従い、TGJEスロットにTGJEV3モジュールをアタッチする。
オーケー。TGJEV3。アタッチ完了。
「TGJE。V3ブーストカウントダウン。」
オーケー。問題なし。オレはそうダダ漏れする。
「3、2、1。ゼロ!」
ゼロのタイミングで、オレはTGJE制御ゴーレムの頭をポンと叩く。
それでTGJEV3によるブースト飛行開始だ。
ファルコン号はグングンと加速する。
時速1235kmで等速運動になった。
オーケー。問題なし。オレはそうダダ漏れする。
「TGJE。オペレーション・コンプリート。お疲れ様。」
こちらこそありがとう。お疲れ様。
オレはダダ漏れを最小音量に絞る。
…実はさ。
TGJEスロットにTGJEV3モジュールの着脱が可能になってるだけで、
実のところ、TGJEV3モジュールを装着しっぱなしにしておけば、
制御ゴーレムの頭をポンと叩くだけで済むんだ。
だけど、こんな感じのやり取りがあれば盛り上がるよね。
雰囲気って大事だ。
オレはダダ漏れの音量を元に戻す。
そして、ルカのいる指令室に歩いて戻った。
「次は私のばん!」
ガーベラがオレに抱きついてきた。
ふんっ!ふんっ!とガーベラの鼻息は荒い。
えーと。
ガーベラはルカと同じことをしたいのかな?
それともオレと同じことを代わりにしてくれるのかな?
「ルカと同じことをしたい!」
なるほど。
いいんじゃないか?
オレがルカを見やると、ルカが笑顔で頷いた。
・・・
昼頃、オレたちは人間の街に到着した。
やっぱ通常の3倍のスピードっていいよね。
最高だぜ。
ファルコン号は空中に静止している。
みんな。シロをリーダーにして飛行魔法のフライで飛んでいってくれ。
目標はあの立て看板な。
見えるか?
見えると。
よーし。
んじゃ飛んじゃって。
オレはファルコン号を片付けるから。
みんなが次々と飛び立った。
オレもフライで飛び立ち、ファルコン号をオレのアイテムボックスに収納した。
オレたちは立て看板に向けて飛び、地面に着地した。
立て看板をよく見ると、以前とは書かれている内容が違う。
「ダンジョンアパート空室アリ。すぐ入居。」
あれ?
ダンジョンアパート空室アリってどういうこと?
アパートって何?
あれれ?




