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我が国は鎖国いたします!〜大国同士の板挟みに嫌気が差したので、結界魔術&時間魔術で理想郷を作ろうと思います〜  作者: 黒飛清兎


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13話 騎士団長



 王城から少し離れた兵舎の最奥にある一室の扉の前に俺は少し緊張した面持ちで立っていた。

 この場所には我が国の騎士団の団長であるヴォルフートが居るはずだ。

 鎖国を行った以上、国内は混乱することが予想される。

 俺の目標を達成する為には国民の団結が必要不可欠なので、暴動などを起こされてはたまったものでは無い。

 その為、治安を維持するためにも騎士団の協力が必要だ。

 だからこそ、こうやって話をしにヴォルフートに会いに来たわけだが、1つ問題がある。


 …………ヴォルフートはカブラン以上に他国との繋がりがあると言われている人物なのだ。

 具体的にいえば、我が国の近隣にある5つの国、それに加えて隣接していない国数カ国、その全てから賄賂などを受け取っているという噂があるのだ。

 というか、これに関しては噂と言うよりもほぼ事実である。

 兵舎に他国の施設が出入りしているというのは何度も目撃されているし、何よりその時に受け取ったであろう飲食物などを城の中で飲み食いするなど、隠す気が無いとしか考えられないような行動を取っている。

 現に会議の時も何か珍しい匂いを放つ触手のようなものが付いた生物の干物のようなものを食べていたし、彼が他国との関係が深いのは間違いないだろう。


「……はぁ」


 俺はため息をつきながらも、覚悟を決めて扉を開く。


「誰だ、ノックもしないで……って、お前か」

「あ、あぁ、話があってきた」


 一応国王であるはずの俺に非常に不遜な態度を取っているヴォルフートだが、流石にあの会議に参加していたし以上、俺が相当なことをやった事や反逆者に対して厳しい仕打ちをした事は知っているはずだ。

 それなのにこの余裕、少し不気味だ。


「それで、話ってなんじゃ? お前さんが結界を張ってくれたって言うからわしの仕事も無くなると思ってこれからパーッと飲もうと思ってたんじゃが……あ、お前も飲むか?」


 そう言ってヴォルフートは俺に向かって飲みかけのワインの瓶を差し出してくる。

 うん、これも普通に高級品だ、恐らくセレス教皇国産のヴィンテージワインだろう。

 普通に瓶に口をつけて飲んでいいようなものではない。


「いや、今は話が先だ」

「なんだ、釣れないな、豪胆な王になったと思ったのじゃが、勘違いだったか?」

「……酒を飲むことと豪胆であることに何の関係があるんだよ」

「がはははっ! まぁ、確かにそうじゃな!」

 

ヴォルフートはそう言って豪快に笑うと、再びワインの瓶に口をつけた。

 ……本当にこの人、騎士団長なんだよな?

 

「それで、話というのは騎士団についてなんだが……」

「騎士団? あぁ、お前さんが国を結界で覆ったせいで仕事が無くなってしまった暇人集団の事か? ……まさか、わしらを解雇しに来たんじゃないだろうな?」

「いや、そんな訳ないだろ! むしろ逆だ、これからもっと働いてもらうつもりだ」

「……ほう?」

 

 俺がそう言うと、ヴォルフートは少しだけ興味深そうな表情を浮かべた。


「お前が色んな国から賄賂を貰っていることは知っている。だが、お前の力をここで失うわけにはいかない……だから、これからはこの国に忠誠を誓い、治安維持に勤めてくれないか?」

「…………」

 

 俺がそう言うと、ヴォルフートは一瞬だけ目を丸くし、その後、豪快に笑い始めた。

 

「がはははっ! なんじゃ、そんなことか!」

「……何がおかしいんだ?」

「いやなに、まさか国王直々にそんなことを頼まれるとは思っておらんかったのでな!」

 

 ヴォルフートはそう言うと、机の上にワインの瓶を置いた。

 

「まず、わしはカリスト王国の騎士団長じゃ、魔物討伐や防衛も仕事のうちじゃが、元々治安維持はわしらの仕事なんじゃから、言われなくともその仕事は続けるわい……まさか、わしが国を裏切るとでも思っておったのか?」

「……少なくとも、その可能性は考えていた」

「ふむ、まぁ、無理もないのぉ、確かにわしは色んな国から金品を受け取っておるからな」

「……それなら」


「じゃが、それとこれとは話が別じゃ」

 

 ヴォルフートは先程までの笑みを消すと、真剣な表情で俺を見つめた。

 

「わしはこの国の騎士団長じゃぞ? 他国の連中から貰えるものは貰うが、だからといって国を売るつもりなど毛頭ないわ」

「……じゃあ、どうして賄賂を受け取っているんだ?」

「そりゃあ、貰えるものは貰っておいた方が得じゃろう?」

「…………は? いや、情報を要求されたりしなかったのか?」

「もちろんされたぞ? 軍の配置や兵の数、国境の警備状況など、色々とな」


 やはりそうかいくらこの爺さんが豪胆な人物だとしても、他国が何の見返りもなしに金品を送り続けるとは考えにくい。

 

「……それで、教えたのか?」

「もちろんじゃ!」

「……は?」

 

 あまりにも堂々とした返答に、俺は思わず間抜けな声を漏らしてしまった。

 

「いや、ちょっと待て、それって普通に国家機密の漏洩じゃないか!? さっきの会議聞いてなかったのか? 俺は反逆者には……」

「がはははっ! まぁ、落ち着け! 別に本当のことを教えた訳ではないわい!」

「……どういうことだ?」

「なぁに、適当なことを教えてやっただけじゃ、兵の数を聞かれれば実際よりも多く答え、配置を聞かれれば適当な場所を教える。そうすれば向こうも満足して帰っていくからのぉ!」

 

 ………なんというか、思っていた以上にとんでもない爺さんだ。

 だが、確かに我が国の立地を考えれば、そう簡単に戦争を仕掛けてくる国もないだろうし、嘘がバレる可能性は低いのかもしれない。

 

「……まぁ、とりあえず国を裏切っていないことは分かった。これからも頼むぞ」

「おう! 任せておけ!」

 

 ……こうして、何とか騎士団の協力を取り付けることができた。

 それにしても、国を売っていると思っていた相手が、実際には他国を騙して金品を巻き上げていたとは……。

 世の中、分からないものだなぁ。

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