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パーティを追放されけれど、助けた聖女と共に冒険者として生きていくことにした  作者: 巴 雪夜
第九章:誰かを想っているならば守り抜け

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第48話:オーガとの戦い

 黒い影が魔物を追う。大柄な体格の良いオーガは素早い動きに翻弄されながらゆっくりと追い込まれていく。


 ひょこっとぬいぐるみが茂みから顔を覗かせたかと思うとオーガを挑発するように動いた。


 ちょこまかと動きながら噛みつき、引っ掻いてくるぬいぐるみにオーガは苛立ったように声を上げながら槍を振りまわす。


 ぬいぐるみはそれを避けながらちょこちょこと誘導するように歩いている。


 一歩、前に出てオーガがぬいぐるみを掴もうと手を出した――ぐるんと手首に何かが巻き付く。


 刃の鞭がオーガを捉えて勢いよく腕を引かれる。不意打ちにオーガはよろめき倒れそうになったところを刃が襲った。


 二刀の短刀がオーガの首根を狙う。斬り裂かれて溢れる血にオーガは悲鳴を上げながら抵抗するように腕を振る。その攻撃を避けて宙で一回転すると影は着地した。


 オーガは相手を視認してから捕まれている腕を力いっぱい引く。鞭のような剣の刃はその力に引き離されてしまった。


 しゅるりと刃を回収してから犬耳をぴくりと動かしてシグルドは鞭のような剣を構える。



「リーダー」


「シグルドは援護を」



 クラウスは指示を出すと姿勢を低くして地を蹴った、音も気配もなく。


 オーガは目の前にいただろう相手が見えなくなっているかのようにシグルドへと槍を向ける。それを大楯が受け止めて剣で跳ね返された。


 フィリベルトは大楯を構えながらオーガの動きを見定めるように剣を向ける。オーガが拳を握り振りかぶったのと同じく矢が飛んできた。


 それはオーガの肩に突き刺さり、傷を負わせる。アロイは茂みに身を潜めながらオーガを狙い撃った。


 後方から魔法が飛ぶ。水球が、風の刃がオーガを襲う。ミラとアンジェからの援護を受けながら、シュンシュとランが一気に接近し、攻撃を仕掛ける。


 シュンシュが短剣で足首を切り、ランが膝を狙い殴る。オーガは足への攻撃にぐらりと身体を揺らして地面に膝をついた。


 リングレットが駆け飛ぶとオーガの背中を切りつけるが、跳ね飛ばされてしまう。オーガが立ち上がろうと地面についた手にシグルドは鞭のような剣を巻き付けた。



「行け、リーダー!」



 ぐっと力を籠めてシグルドが叫ぶと影が宙を舞った。オーガの背に着地して二刀の短刀を首根に突き刺す、イメージするは焼き切る――深紅の指輪が鈍く光った。


 熱を持った刃が首を焼き切っていく、その激痛にオーガは悲鳴を上げた。クラウスは力を籠めて短刀を押し込み、首を跳ね飛ばした。


 噴き出す血が地面を汚す、力無く転がる身体からクラウスは降りた。返り血を浴びた頬を拭いながらフィリベルトのほうへと目を向ける。



「今の悲鳴は厄介なことになるな」


「あぁ。今ので仲間は気づいたはずだ、すぐに来るぞ」



 フィリベルトは「次がくる準備をしておけ」と指示を出す。シュンシュとランは警戒するように周囲を見渡し、ミラとアンジェはロッドを構えた。


 アロイとルールエは茂みからいつでも攻撃できるようにしている。二人を守るようにブリュンヒルトもロッドを向けていた。


 ぴくりとシグルドの犬耳が音を捉える。彼は鞭のような剣を構えて「来るぞ」と呟く。のっしのっしと草木を踏みしめる音が近づいてきていた。


 二体のオーガが草木をかき分けてやってきた。仲間の亡骸を目にして怒りを瞳に宿し、咆哮する。


 一体が槍を振ってシグルドを狙うも、フィリベルトの大楯で防がれてしまう。クラウスは気配を消し、音もなく駆けた。


 ぬいぐるみたちがオーガたちの足元でちょろちょろ動き足元を悪くさせる。オーガが追い払おうとすれば、ぬいぐるみたちは噛みつき、引っ掻き、ナイフで切りつけた。


 ぬいぐるみたちに翻弄されながらオーガは向かってくるリングレットの剣を弾き返し、シグルドの鞭のような剣から逃れる。


 ミラとアンジェの魔法が飛び、アロイの矢が狙い撃つ。猛攻にオーガたちは押されながらも抵抗をやめることはない。腕を大きく振ってぬいぐるみを弾き飛ばすと、槍を突き刺す。


 シグルドは槍を避けてオーガの腕に鞭のような剣を巻き付ける。動きを封じて攻撃の隙を狙うも、別のオーガがそれを邪魔する。


 仲間を助けるようにシグルドへと槍を向けた。シグルドは巻いていた鞭のような剣を解き、避ける。


 解放されたオーガがふらりと足元をふらつかせた隙にクラウスは一気に距離を詰めた。相手の懐に潜り込み、二刀の短刀をオーガの腹に突き刺す。


 イメージするは光の刃が斬り裂く――深紅の指輪が反応し、魔法石が鈍く光る。


 短刀の刃から光が発せられてオーガの内部で破裂する。無数の光の刃が体内で暴れ、内臓を肉を切り裂いていく。


 オーガは口から血を吹き出しながら地面を転がった。一体を無力化したクラウスは二体目へと目を向ける。


 残ったオーガは雄たけびを上げながらリングレットとシュンシュに殴り掛かっていた。二人はそれを避けながらダメージを稼いでいる。


 加勢に行こうとした時だ、ひと際大きい咆哮が響いた。ぶんっと振られた棍棒が木をなぎ倒す、それは巨体なオーガだった。


 大人三人分はあろう背丈で体格の良いオーガは棍棒を手にクラウスたちを睨む。


 巨体なオーガは棍棒を振るい、リングレットたちを殴る。シュンシュは避けることができたが、リングレットは受け身が取れたとはいえ、攻撃を受けてしまった。


 痛そうに表情を歪めながら巨体なオーガを見ている。


 厄介な存在が現れてフィリベルトは渋い表情をみせていた。それはクラウスも同じで、他のオーガとは違う様子に警戒する。



「巨体なオーガは私たちのパーティが受け持つ、他は別のオーガを!」



 フィリベルトの指示にシュンシュとランは巨体なオーガから距離を取り別のオーガへと攻撃を移した。クラウスは巨体なオーガへと短刀を向けるが、棍棒でいなされてしまう。


 二手に分散し、連携を取ろうとするクラウスたちをあざ笑うかのように二体のオーガは暴れ始めた。


 棍棒を槍を振るいながら殴り、薙ぎ払う。縦横無尽に動き回るオーガたちに思うように動くことができず、攻撃をすることができない。


 振るわれる棍棒を避けながらクラウスは攻撃をするタイミングを見極める。


 巨体なオーガが振るった棍棒がミラとアンジェたちのいた場所へと向かう。二人はそれを避けると今度はリングレットへと向けれらた。


 リングレットが慌ててそれを避けるも、巨体なオーガは追撃してくる。


 リングレットは攻撃から逃げるように駆けだすが、走った先にアンジェがいた。それでも足を止めない。アンジェも逃げようとするが足をもつれさせて転んでしまった。



「あっ」



 どんっと地面に顔をつけてアンジェは身体を起こそうとする。リングレットは一瞬だけ振り返ったけれど走っていってしまう。


 アンジェが立ち上がろうとするのと同じく、影が落ちる。巨体なオーガの棍棒が迫っているのを見て、アンジェは動けなくなった。


 もうダメだと思った瞬間、駆け飛んできた影がその棍棒を受け止める。



「く、クラウス……」


「いいから、離れろ!」



 アンジェへと向けられた攻撃をクラウスは二刀の短刀で防いだ。彼女は動揺している中、もう一度、「早く離れろ!」と言われて慌てて駆けだす。


 アンジェが離れたのを見て、クラウスは指輪へとイメージを送る。


 イメージを受け取った深紅の指輪が鈍く光り、炎を吐き出した。炎の勢いに巨体なオーガは慌ててクラウスから距離を取ると、棍棒を振り回しながら暴れ出す。


 クラウスは巨体なオーガへと短刀を向けよとして、別のオーガに邪魔をされてしまう。


 振り下ろされた槍を飛び避けて、短刀を振るもいなされる。二体のオーガは連携しているかのように暴れているので、一体に攻撃を絞るのは難しい。


 クラウスが再び短刀を向けよとして視界の端に捉える。



「ひぁっ」



 暴れるオーガの攻撃が当たりそうになりよろけたミラを槍が襲う。



「危ないっ!」



 ブリュンヒルトはミラの背を押した。突き飛ばされたミラは転がりながらもその攻撃を避けられる。安心したのも束の間、槍はブリュンヒルトへと振りかざされていた。


 ブリュンヒルトが防御魔法を展開するよりも早い動き――勢いよく影が走り抜けて彼女を抱きかかえた。


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