温泉発見!!のはずが?!
ー信太郎視点ー
やったぁーー!!!
本当だった。
どんな転生小説にも必ず出てくるお風呂問題。この世界も例に漏れず、庶民にそんな風習はない。
魔法の浄化って便利だと何度も読んだけど、自分にして貰う(もちろん、俺は使えないから)のはどこかしっくりこない。
うーん。
お風呂って、単純にただ身体を綺麗にしたい訳ではないのだなと気づいた。人間ってなくして気づくとは、本当の事だな。この世界に来てから何度そう思っただろう。
あー、湯に浸かりたい。何度も夢見た風呂。
それは時折、鬼気迫る勢いで心に湧いてくるから困っていた。
そう!!それも本日解決したんだよぉ!!
硫黄の臭いに俺はピンと来た。
温泉。
くぅぅーー。
フォーゼの肩に乗って来た場所に湧き出る泉。
俺が岩の間にチロチロ湧いていたから手をつけてみれば、ちょうど42°で最高の泉質だ。やったー!!
えっ?レジ機能無しでもわかるのか?って。
それが時折、レジのスキャナーの代わりを手のひらで出来ちゃう事があるんだ。
便利だけど、ちょっと不安もある。
この世界に来ての変化に馴染むと、もしかして…。
止めよう。
俺は頭を振って考え事を止める。
こんな嬉しい時に考えるのはダメだ。そんな考え事をしてたらフォーゼの声がした。
「ねぇ、コレって何?いいモノなの?」と。
「そうだよ。前から言ってたお風呂がここにあるんだ。でも、お湯が足りないからちょっと残念だよ」
俺をご主人様と呼ぶコイツは、日本から持ってきたモノから生まれたのだ。そう思うとつい、色々な愚痴を言ってしまう。
風呂もその一つだった。
「え?増やせばいいの?」首を傾げても、マッチョな兎族ば可愛くない。
アンバランスだな。などと呑気に思ってたら…
ドン!!!!!!
あーびっくりした。
お前なぁ。。
言うのとやるのが同時って止めてくれよ。温泉の泉を見れば巨大水柱が、大きく上がっている。
俺の頭には温泉の雨が降ってるよ。
大きなひび割れが出来ていたが、これじゃもう温泉じゃない。肩を落とした俺の口からは文句が吹き出す。
「あのな、これじゃ単なるひび割れだよ。
温泉は、周りに岩で囲まれてお湯が下から湧き出してるんだ。
これじゃ深すぎて入れないよ、あ!!」
フォーゼ。
何して…。
ドンドンドン!!!
突貫工事か!!
見ると、フォーゼが岩を投げまくって土魔法を使って出来たのは理想の温泉。
あっという間とは、こう言う時に言うな。
お前ってば、本当にツッコミ処満載だよ。
でも…。
この馬鹿兎は、結構やるなと最近気づいた。
ま、かなりの暴走癖があるけどな。
でも、これで温泉の完成だよ。
だけど、硫黄の臭いが強いし森の中で魔獣も出るし。後は安全性が問題かぁ。
え?
俺、声に出した?!
またもや、フォーゼが暴走してるし。
暴れまくってかるフォーゼが大量の魔獣の山を築いている。どうやらこの辺りの掃討作戦をしてるらしい。
そのあまりの激しさからなのか、作戦なのか。
硫黄の出口も塞がれいつの間にか完璧な温泉の完成だよ。
もう、ツッコまないよ。
ありがとう、フォーゼ。
「う、嬉しい。
でも、やっぱり皆んなと入りたいな。」
あ、今度は、声に出たみたいだ。
「じゃあ、行くよ!!」とフォーゼが駆け出す。
へ?俺いつ、肩の上に?
フォーゼの肩の上は暴走の割に安定感のあるので、森の様子もゆっくり見れる。だからフォーゼの後に道が出来てるのに気づく。
おぉ、、お前ブルドーザか?!
(しまった。またツッコミしたよ…)
道を作りながら二人で戻ると皆んなは何故か臨戦態勢だった。緊張感いっぱいだし?
心配かけたのか…ごめん。
ウレ君以外の皆んなの不安げな顔に温泉に浮かれて暴走した自分が恥ずかしい。
やっぱり、日本人がお風呂に弱いって本当なんだな。
その後、温泉の説明をして出来たてホヤホヤの道を案内して皆んなを温泉へご招待したけど。
「『湯気の出ている水溜り』なんて、新発見だ!!」と喜んでいるのはダインさんだ。
水溜り…。お風呂と言う認識のある人は。。。
あ、やっぱりいないのか。
ガックリしてる俺の横で
「馬鹿なの?これはお風呂に決まってるじゃん!!」フォーゼが安定の暴言中。
あーー、馬鹿兎め。
またもや、ダインさんに喧嘩上等なのか、睨み合う二人にため息が出る。
コイツ前世は不良か?
「風呂とは、魔力の少ない者があの身体を浄化すると言う奴か?」うん臭そうに言うガイエさんに俺の風呂愛が燃え上がる!!
入れば分かる。絶対に!!
「さあ、皆んなで入ろうよ!!」と俺は急いで風呂に入った。
後から考えたら、焦ってたんだと思う。
日本人として、温泉の良さをアピールしたいと張り切る余りに。。言い訳だけど。
「「「「シンさん?!」」」」皆んなの悲鳴に顔を上げた。
お風呂に浸かって、顔を拭って笑顔いっぱいに皆んなを見てアレ?と。
なんでそんなに素っ頓狂な顔??
「本当にいたのか…人族は。
神族の真なる姿は人族なのか…」
呟くサテさんの声がヤケに大きく響いて、俺はそのまま固まった。
ベカさん。
ごめんなさい…約束破っちゃったよ、俺。。。




