↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/37

黄色い鳥、現る?!


ーラカ視点ー


ガタガタと揺れる馬車に乗っているシン殿は、居心地の悪そうな顔で俯いている。

揺れるので、度々休憩を挟んでいたら先を急ぎたいガイエ殿の発案で魔法で空中に浮いているのだ。


「大丈夫だから!!馬車の中で浮いてるなんて変だし、魔力が尽きたら大変だし…」


濁した言葉の先には恐らく私の名前があるのだろう。フォーゼ殿に助けられた我が身。

あの時、オーバーフロートをお任せして帰途に着こうとした油断を突かれたのだ。

部下を狙う毒針を持つ魔獣の刃を受け止め損ねた。魔力で毒を押さえ込んでいたが、無理がたたり魔力が尽きかけたのだ。


シン殿の不安も理解出来るが、相手は鳳凰族。次元が違うのだから。


「ねぇ、お尻は大丈夫だから下ろして!!

浮いてる方が疲れるか。ね?」


賢明に頼むシン殿は風変わりな犬族に見えるが真なる姿は別だろう。

だが、今は焦る姿は可愛らしいものだ。


「お師匠様ーー!!楽しまれた方が良いですよ。鳳凰族のガイエ様ならヘッチャラですから!!」

声をかけたのは、更に可愛らしい子供の犬族。これでもシン殿の弟子らしい。

北街でこの弟子のウレ君に留まるように何度もシン殿は説得したが彼は中々の頑固者だった。


『一度師弟関係を結んだら、一生モノです。

僕は師匠と共にいます!!』


あまりのきっぱりした態度にサテ殿から助言が入る。


『シンさん、この先もいくつも街はあります。空白地帯へ行くまでのウレ君成長具合にしたらどうですか?』


この提案にシン殿は渋々頷いた。


この旅はかなり大掛かりだ。

馬車は二台。

一台は8人乗りだ。これはサテ殿の財力無しには不可能だろう。内装もかなり凝っている。もう一台は荷物用だ。サテ殿は商売も兼ねているらしい。


ダイン殿・ブヤン殿は騎乗している。

フォーゼ殿は自力で走っているが、時折姿が見えなくなる。ま、シン殿が呼べばすぐに戻ってくるが。


サテ殿は我々の乗る馬車を操る。

そしてもう一台の御者は、なんとラザだ。

北街を部下に預けて(フォーゼ殿が魔獣を狩りまくったので、部下でも統治出来ると…)共に来るようにダイン殿から言い渡されたのだ。本人はその心積りがあったようで二つ返事だった。


「止まれぇーーー!!!」


微笑ましい師弟の掛け合いの雰囲気は、ダイン殿の怒声で緊張感に変わる。

シン殿が座面に戻ると、口元に手を当てて声を出さない様にガイエ殿から合図が出る。

ウレ君とシン殿は隅の方に身を寄せて、私は剣を握る。ガイエ殿の身体にも魔力が満ちる。


「ご主人様しか、解決出来ないからぁ〜」

どうやら、何か見つけたのはフォーゼ殿だった様でダイン殿と言い争いをしてる。

お二方は気が合わないらしく、顔を合わす度に揉めている。


「フォーゼ。何があったんだ?」

シン殿の耳にも言い争いが届いたのようだ。


「ご主人様しか、分からない変な煙を発見したんだ。あんな臭い、知らないし!」


絶大な戦力を持つ彼が、恐る臭いはだんだんと近づいてきた。

鼻の良い犬族のウレ君が「変な臭いだ!!」と叫んだのでガイエ殿が即座に結界を張った。



が…。

シン殿とフォーゼ殿のみ、何故か結界の外に居た。


「あのー。危ない事しないので少しの間ここで待っていて下さい」

フォーゼ殿の肩に座るシン殿に次々と反対意見が相次いだ。


「まずは斥候としてブヤンに行かせます。かれは修羅場はそこそこ体験済みですから。まずはここでお待ち下さい」と言うガイエ殿の説得も。


「とにかく、シン殿はここに居てくれ。それが俺たちの一番の安寧だ!」と正直過ぎるダイン殿の台詞も。


笑顔で吹っ切ったシン殿は「行ってきまーす」と上機嫌で出かけていく。


唖然とする我々はただ、留まるしか無かった。ただ、ウレ君だけが「師匠なら大丈夫です。あの顔は、心当たりがあるのだと思います!!」と自信たっぷりだった。


お互いに不安を持ちながらも、ココを離れる事も出来ずにどのくらいの時間が経ったんだろう。突然、大きな音が響いた。



ドコン!!!!!



「あれは…」空を見上げて呆然とするブヤン殿に、私も慌てて空を見上げれば、巨大な水柱を発見した。しかも、その水柱からは大量の湯気とあの臭いがした。


「行くぞ!!」ガイエ殿の一言に全員が臨戦態勢を取り駆け出そうとしたその時、バキバキと木々を薙ぎ倒しながらフォーゼ殿が戻ってきた。


剣を構えて、追われるフォーゼ殿を守ろうとしたら…。


「良かった。見つかったんですよ、温泉。ただ、ちょっと手違いもあって…」


頭をかきながららフォーゼ殿の肩に座るシン殿が顔を赤らめていた。


よく見れば追いかけてくるのは、小さな黄色い鳥だ(見た事はないが…)


おや?

かなりの数…。


「温泉卵が失敗して、ヒヨコになったんだ。

俺の卵ってば、有精卵だったのかな?」


噂は本当だった。


神族と言うのは、言葉は通じても内容が不明なのだな。オンセンタマゴ、ユウセイラン。

なんの事なのだ…。


夕暮れが迫っていたので、その日は興奮したシン殿の全く理解出来ない話しを聞いて眠りについた。


が…、



次の日、私はこの可愛い黄色い鳥の成長に驚く事になるのだった…







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。