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初めての買取依頼だったのに…なんで?!


ー信太郎視点ー


さすが異世界。

石の中からペットが出てくるシステムとか…かっこいい。まぁ、単なるカナリヤでも俺だけのペットだものな。

良い声で鳴くのかなぁ。


サテさん達が駆けつけてくれたお陰で狼族の人に絡まれなくなってホッとした。でも、人間って欲張りなんだよな。せっかくのギルドチャレンジも終了だ。薬草を売るなんて初心者丸出しの台詞に周りはドン引きしたらしい。俺はいつもコレだよ。KYってあだ名も伊達じゃない。


「シンさん。ここはギルドです。薬草を売るならば『薬師所』へ行かねばなりませんよ?」


えっ?『薬師所』??

何その奈良とか京都にありそうな名前の場所??異世界モノにそんな場所あったっけ???


頭の中が混乱しながらも、ギルドを諦めるのはヤダった。何とか一つでも売りたいと思った俺は次なる品物を差し出して「コレなら売れるかな?」とサテさんに尋ねたら、まさかの無言。いや、この場合無視なのか??

迷子になったのだから、我が儘はダメだよな。


項垂れた俺の頭の上に、ブヤンさんの言葉が降ってくる。


「本当にソレを売るのですか?」


やっぱ、ダメだよな…果物とか。

薬師の仲間どころか、八百屋の持分だものな。でも、前にコレを収穫した時にボウさん(古代竜は物知りだから…)に教えて貰ったんだよ。


コレは珍しいから売れるかもって。

うーむ。古代竜は流行には疎いのかもしれないな。無闇に世の中に交わってばいけないらしいしな。


「シンさんが、売りたいならば可能です。ただ、買取をする能力がココにあるかは分かりませんが…」


親切なサテさんの同情するセリフに後押しされて買取カウンターへと向かうと《ラック》を3個並べてた。

この《ラック》はバナナの形の桃。

でも、単なる桃じゃない。とっても珍しい事が可能なんだよ。


それは『変身』。

ボウさんは、コレさえあれば他の種族に化ける事が出来るって言ってた。

その上、美味いんだ。


ただ、めっちゃ硬いからボウさんの力添えがなければ俺には食べられない。だから宝の持ち腐れなんだよ。

どうかなぁ。。。ダメか。

カウンターの人がピクリとも動かない。果物なんて出してよっぽどの阿呆だと思われたな。こう言うの慣れてるけど、ちょっと辛い。。


「ひぃーーーーー!!!」


ビクッとして後ろに下がったら、蹴つまずいて転びそうになる。

急に受付の人が叫ぶんだから仕方ない。

取り敢えず、支えて貰ったブヤンさんにお礼を…ん?


「悲鳴など上げている場合ではないだろう。サッサとギルマスを呼べ。ま、呼んだとて解決など出来ぬだろうがな。」


冷たい感じを漂わすブヤンさんにとんでもないモノを鑑定に出したと気づいて焦る。

止めようと前に出たのに、次なる人物の登場に固まった。


ギルドには大柄な獣人は多い。

その中では、それほど大きくないのに迫力が物凄いのだ。顔に斜めに走る傷のせいかもしれないがそれだけじゃない。

沢山の死線を潜ってきたそんな雰囲気のするギルマスの登場に口も聞けずにいたら。


え?

土下座??


「アンタがコレを買取依頼した人だろ?

このギルドでは鑑定はおろか買取など不可能なのだ。ギルマスとして詫びを入れたい」


ええーー!!!!

「そんな…俺の方こそ」と、言いかけて割り込み発生!!


「久しぶりだな、オカ。最前線を離れてこんな技まで手に入れたのか?」

ブヤンさんの笑い声に緊張が高まる。


そんな失礼な事。土下座を技とか言ったら殴り合いの喧嘩に…ならない??

互いに肩を叩き合う親友同士の様な姿になっていた。


「シンさん、失礼しました。

このギルマスは旧友でしてオカと申します。昔、一緒に組んでいた事があるのです。

取り敢えず、この《ラック》についてはサテに聞いてください。恐らく彼が一番説明能力があると思いますから」


どんどん進む展開に目を回しながらも、オカさんにギルマスの部屋へと通されてた。

ギルドの奥に興味津々となっていれば、真面目な顔になったサテさんが一言。


「オカさん。ここからは秘匿の魔法をお願いします」


ソファの柔さを堪能していた俺はその声にドキッとした。そして、全員が引き締まった表情になっていた事に気付いたのだ。


なんだ?

何が始まるんだろう…とジッとサテさんを見つめた…。

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