あ〜サンドウィッチおいしい〜(棒)
スライムを地道に発見しては倒す事数時間。
「くきゅるるるるぅぅ」
ユーラのお腹がなる。気がつけば太陽はてっぺんを過ぎた辺りまで進んでいた。
「もうそんな時間かぁ…。」
戦果はスライム12匹、薬草2束と3枚だ。……何故あまり稼ぎにならない薬草をそんなにつんでいるのかって?ユーラは前世でゲームをする時、目的地に行く途中で素材やちっちゃな宝箱を見つけては寄り道をして、見つけては寄り道して……つまりそういうことだ。
エコーロケーションで探索しているとつい近くにある薬草を見つけてしまい、ついつい採取してしまうのだ。こんな奥地まで来てわざわざ薬草をとる人などいないため、結構目に(ユーラの場合耳に?)入ってしまう。
とりあえず宿屋一泊分を余裕で超えるくらいは稼げそうだったため、余裕ができて寄り道が捗ってしまった結果である。
何はともあれお昼ご飯だ。ユーラは空腹感と戦いながらもエコーロケーションで見つけていた拓けた場所へ向かう。森には休憩所がわりの空き地が何ヶ所か作られているのだ。
たまにお腹がなりながらも空き地へ着いたユーラ。奥地側だからか、お昼時を過ぎているからか、人気はない。
適当な場所に座りバックからギルドで買ったサンドウィッチをだす…と、ユーラは違和感に気づいた。まだ、サンドウィッチが温かいのだ。買った時点でほんのりとした温かさ、だったため数時間たった今、冷めて無ければおかしい。
「もしかして……このバック、時間経過も止めてるの……?だとしたら相当珍しいものなんじゃ………」
母親がぽんっとくれたものだったため、不便な所は無いかを軽く確認しただけで準備物をぽいぽいっと入れてユーラは検証を早々に終わらせたのだ。だが、時間を止めているなら異世界物だと高価or希少がよくある設定だ。売り物として並べてあるアイテムバックをまだ見ていないため何とも言えないが……
「これ、進○ゼミでやったとこだ…!(前世のなろうで死ぬ程見た!)」
と、ユーラは戦々恐々だ。バレたらスリや恐喝に狙われるまでが展開としてはワンセット。父親から貰ったナビゲータもよく考えたら性能がぶっ壊れている。
今日で充分稼げたし、明日は本格的に町を散策してアイテムバックとナビゲータの価値をさりげなく調べるよう…と考えつつサンドウィッチの包みを1つ取り出す。危機感が空腹に負けたユーラ。現実逃避とも言う。
1つ目のサンドウィッチの具はマッシュポテトに魚とほうれん草が混ぜこんであるものだった。魚はしっかりと焼いてあり香ばしく、ほうれん草の癖に負けずまろやかなマッシュポテトのいいアクセントになっている。
次のサンドウィッチは鶏肉を照り焼きにしたものと塩もみされたキュウリ。あまじょっぱい味付けの鶏肉に「ご飯が食べたいな〜…」とユーラは思ったが、パンにも合う。塩もみされ少し柔らかいがシャクシャクした食感のキュウリのおかげでさっぱりと食べることが出来た。
最後のサンドウィッチはきのこと大豆のペーストが挟んであった。にんにくと醤油で濃いめの味付けになっているが、それに負けないきのこの芳醇な香り。大豆の少しコリコリとした食感もあり飽きなく食べれる。ペーストは他のサンドウィッチの具と比べると少ないように感じるが味が濃ゆく、その分パンが少し厚めに切ってあるため食べ応えは充分にある。
「ふぅ………」
食べる事で現実から目を逸らしていたユーラだったが、お腹が落ち着いた事で真面目に対策を考え始めた。
「はぁ……..。とりあえず、アイテムバックがバレないようにしないとだけど………そしたらスライムをバックから出すのはダメだよね。水球に入れて持っていく?……でもあんまり多いと目立ちそうだし、適当な袋に入れて持っていこっかな。」
ガサゴソとバックを漁り、入れてあった麻袋を取り出してスライムを入るだけ入れると5匹入った。今日の納品はこの5匹分と薬草だけという事にして市場視察だ!と、意気込み立ち上がったユーラだった。