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人魚冒険譚  作者: マコト
13/22

初討伐






3人組をまくために森の奥の方まで入り込んでしまったユーラ。まぁ帰り道の心配はいらないが。皆様お忘れかもしれないナビゲータがあるからだ。まだ目的地を変更してはいないため、針は港町アークラの方を指している。迷って帰れないということはない。ただ、遅くなりすぎると門が閉められてしまうため、帰り支度は少々早めにすべきだろう。


早速ユーラはエコーロケーションで討伐対象の形を探す。討伐依頼の中でユーラが倒しやすそうだと思ったのはゴブリン、スライム、キャタピラーだ。ゴブリンは1回気絶させた事があるし、スライム、キャタピラーは動きが遅いため初心者向けだと依頼書に書いてあった魔物だ。


ユーラは出来ればスライムを見つけたかった。今まで人魚生活の中でさんざん狩猟をして食べ物を得ていたため、今更命を奪う事については何も思わないが、人型のゴブリンを倒すのは何となく避けたい。


スライムとキャタピラーはどちらも動きが遅く、初心者向けの魔物だが、年頃の乙女?として当たり前に虫の魔物のキャタピラーもできれば遠慮したい。キャタピラーとスライムは死体が素材となるため回収もしなければいけないのだ。死んでいるならアイテムバックに入れることも出来るが虫の死骸を喜んでバックに詰めるのは幼児か熱心な学者くらいだろう。


ユーラはアイテムバックの中で汁物が零れないことや、濡れている物を入れても他のものが濡れない事は検証したため一緒に出さない限りは中に入れた物は別個に保存されているらしいことは分かっている。が、なんとなく嫌なのだ。


キャタピラーしか見つからなかったり、買取額が高かったりしたら考えたかもしれないが、スライムとそう大差はない。ということで消去法的にスライムがユーラの第1目標となった。


スライムは基本地面に落ちた水滴のような形をしており、移動したり高い所から落ちたりしても元の形に戻る。何でも捕食し体内の溶解液で少しずつ溶かしながら魔力へと変換して取り込んでいく魔物だ。


逃げ足は遅く、攻撃も取り込み攻撃のみで取り込まれた後にすぐ核を壊せば倒す事が可能だ。溶解液で武器が鈍になりやすい事からランクの上がった冒険者からは忌避される魔物でもあるため、より初心者が狩る魔物という印象も強くなっている。また、スライムは溶解液も核も皮も全て使える万能素材で繁殖しやすいため初心者が見かけたらとりあえず仕留める魔物でもある。


と、考えているうちにスライムがいる場所をユーラは何ヶ所か見つける事が出来た。試したい事もあったため、ユーラは近くの複数匹が集まっている場所へ移動した。


見つけたスライム達は今は満腹なのかじっとその場から動かない。ユーラは草むらに身を潜めながら少しづつ近づいていく。


魔法の範囲に入ったところでユーラは水球(ウォーターボール)を発動する。傍目から見ると水球は出ておらず失敗したかのようにみえるが、途端にスライムのうちの一匹がぐでぇと身体が崩れ、中の溶解液が緩んだ口から出ていった。


ユーラは「やった!」と実験の成功を喜びながらガッツポーズをする。今、ユーラは水球をスライムの体内の核の周りを覆うようにして出したのだ。


すると、核と体内を繋ぐ魔力が遮断され、スライムの活動は停止した。試しに核を残して水球だけスライムの中から取り出すと、そのスライムは再び弱々しくではあるが元の大きさに戻って周囲の植物を捕食し始めた。どうやら核は別々にしなければ復活してしまうようだ。


ついでに、さっきは溶解液が結構漏れてしまっていたため、今度はいったんスライムごと水球に閉じ込めた。そして同じように水球で核を分離し緩んだ口から外に出す。その後溶解液が漏れ出ないよう水球を操作して口を閉じさせ、近くまで引き寄せてアイテムバックに入れていたロープで口を結んだ。衝撃が加わると漏れてしまいそうだが、アイテムバックの中なら問題無い。


無事最初の討伐を終え、ほくほく顔のユーラ。その場にいた他のスライムも次々と同じ方法で倒していく。スライムは一体討伐して銅貨1枚、核、溶解液、皮などの素材の買い取りで素材の状態で上下はするが1〜3枚くらいはすると依頼書に書かれていた。


薬草10束分の稼ぎをあっという間に超えてしまったことにユーラは少し寂しさを感じつつも、スライムを次々に倒して行くのだった。

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