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賢者と嫁!  作者: エル
7/7

嫁は勇者に厳しい・後編

嫁と現勇者の口論を終わらせたのは例の騎士。

えーと…名前は忘れたけど、

エスト国の騎士が切りかかったのを機に場は静寂に包まれた。

嫁は相変わらず無表情、対して現勇者は口が半開き状態のまま停止。

そんな対照的な表情をした2人の視線は、

怒り心頭とばかりに青筋を浮かべてる騎士に固定されている。


「世界を救う勇者様になんたる暴言を…!

娘!これ以上勇者様を侮辱するというなら、

貴様を魔王に与するものとして、ここで切り捨てるぞ!」

紋様の描かれた剣を突き付けながら、

かなり上から目線のセリフを吐き捨てる騎士にも嫁の表情は動かない。

つーか、切り捨てるも何も、今思いっきり切りかかったよね?

結界なければ間違いなく嫁にあたる軌跡だったんだけど?

…まあ嫁の場合あの程度相手じゃないか。


「すでに剣を抜いてる癖に何を言うの。」

「そ、そうだぞグレン!

言い負かされたからって暴力に頼るのは子供のすることだって、

爺ちゃんが言ってたぞ!」

「勇者様!?」

…呆れモードな嫁を援護したのは、意外な事に現勇者だった。


「言葉が通じるから意思が通じる訳じゃない、

けど言葉が通じるんだから意志も通じるかもしれないって爺ちゃんの口癖だった。」

「…佐伯老?」

「へ?…なんで爺ちゃんの事知ってるんだ??

ここって異世界だよな?え?ええ?」

「…なるほど、噂の佐伯老が目に入れても痛くない孫か。」

「なんで異世界の人間が俺の爺ちゃん知ってんの?

まさか爺ちゃんも異世界に来たことあるとか!?…て、ちょっと行くなよ!答えろよ!」

現勇者は、もはやに結界に張り付いている状態で会話している。

一人納得のいった様子の嫁は扉を開けたまま中に行ってしまうし、玄関口が非常に煩い。


これはもう強制的に帰したほうがいいかな?

現勇者の方は煩いだけだけど、騎士のほうは目がやばい。

昔、貴族連中が”平民ごときに恥をかかされた!”と攻撃したきた時の目に似てる…。


ふいに剣の紋様が光を帯びる。

視認した途端聞こえた呪文スペルに僕は無意識に反応し、行動していた。

「…汝に仕えし者に加護を、光神イスティオル…フラァイツァ(解放)!」

「ル・フェイ・ラーグ・キュベリフェイト(守りの結界)!」

ほぼ同時に放たれた僕の呪文スペルに彼の剣は光を、紋様ごと失う。


聖騎士が使う紋様を刻んだ魔法剣、

いや彼等曰く、”聖剣は刻まれた紋様によって奇跡を起こす”。

普通に魔法込めただけの剣だろうに、何が奇跡なのやら(笑)


ちなみに魔法剣士が使うほうの魔法剣も用途に種類があるので、

聖剣も他の剣より強化され、

いざというときに魔法を使えるタイプの魔法剣と認識している、僕は。

…どっちも、あれと一緒にするな!って怒るけど。


しかし、奇跡というのは案外弱いものだ、

先ほど僕が放った結界強化の呪文で完全に込められた力を吸われたのだろう。

”吸収することで相殺””するタイプの結界だけで紋様を失うとは…。


そして、聖剣を持たないものはただの騎士、

つまり彼はこの瞬間聖騎士の称号を失ったのだ。

紋様が消えただの剣と化したそれを見つめる彼が滑稽で仕方がない。


「切り捨てるね…この程度の実力で何を言ってるのやら。」

「け、賢者殿…!」

こちらを見る瞳には最初に見えた驕りは見えない。

今まで幾度となく見てきた脅えを宿らせた瞳がいっそ愉快だ。

そう、結局何人ここに来ようと最後は怯えて逃げるのさ…こいつらは。

「もう帰りなよ?

これ以上僕を…いや僕の奥さん怒らせるようなら八つ裂きにするよ?」

「えーーーー!あいつお前の奥さん!?結婚してるのか!?」

「人の奥さん、”お前”とか言わないでくれる?

ああ面倒だ…いっそ二人ともここで…。」


「やめなさい、大人げない。」


だから何で気配ないの!?僕の心臓いつか止まるよ!?

真後ろに突如現れた嫁がふいに結界の”一部”に手を当てる。

「幾重にも編みこまれし結界よ、その魔力の糸を解け。」

嫁の声と同時に僕が強化したばかりの結界が解ける。

…結界は専門ではないけど、こうもあっさり解かれると泣けてくるんですが?


結界をいとも簡単に解いた嫁は、手に持っていた包みを現勇者に投げる。

「…同郷のよしみで一度だけあげる、

好物なのでしょう?ツナマヨのおにぎり。」

「!?」

ツナマヨノオニギリ…?

何か分からないけど、それを聞いた現勇者がすごい勢いで包みを開ける。

なんか丸っこい三角で黒い。

「うわ―うわー!おにぎりだ!しかもツナマヨ!

ありがとう!姉ちゃんいい人なんだな!」

…現勇者の変わり身の早さというか、思考が謎すぎて読めない。

それとも嫁の故郷では当たり前の反応なんだろうか…?


その後、

ひとしきり嫁に感謝した現勇者は騎士を引きずって帰って行き。

嫁は自分用に作ったオニギリを持って、ピクニックとやら出かけて行った。

…僕は1人で結界の再構築です…寂しいです。

嫁の鬼畜ー!でも好きだー!

…ちなみにその日の夕食は僕の大好物なサシミでした。嫁ありがとう!




嫁は無意識で飴と鞭な人です(笑)

勇者どころか旦那にも…がんばれ旦那、先に惚れた方が負けだ!

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