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賢者と嫁!  作者: エル
6/7

嫁は勇者に厳しい・前編

前後編ー。

後編はなるべく早く…少々お待ちを!

魔王と勇者の歴史は繰り返す。

魔王が現れ、勇者が現れ倒すという繰返しを僕は何回見ただろう?

一度目は僕自身が勇者の旅の仲間であったが、

二度目以降は、一切関わりをもたないようにしてきた。


…それなのに。


煌びやかな白銀の鎧とマント、

ムカつくくらい騎士姿が似合いの金髪碧眼の男と…黒髪の子供。

嫌な予感しかしない組み合わせだ。


ふいに騎士姿の男が膝をつき胸に軽く手を当てる。

エスト国での一般的な騎士の礼だが、見下されてるようにしか感じない。

「お初にお目にかかります賢者殿、

私はエスト国で近衛隊長を務めさせていただきますグレン。

こちらの方は宮廷魔術師長が召喚された”勇者様”です。」

「お前が賢者?」


…潰してやろうか。


「わー、すっげえ爺さんを想像してたんだけど同い年ぐらいじゃん!

俺悠太!これからよろしくな!」

「帰れ。」


相手が何か言う前にさっさと扉を閉める。

かつて幼馴染の男が、女性に追い回された中での対処法の一つだ。

曰く、

『こちらの話を聞かないで行動する人間は、素早く距離を置くんだ!

出来れば間に扉か結界がベスト!裏口の確認も忘れるな!』

とかなり熱く力説していた。


「なんで閉めるんだよー!開けろー!」

「賢者殿!仮にも勇者様を閉め出すとは何事です!」

扉の外から鬱陶しい声が聞こえるが、扉を開ける気はない。

というか、早くあいつらどうにかしないと嫁が怖い。

「…いっそ家だけでなく、周りの森にも結界張った方がいいか?」

「同意するわ。」

「て、うわ!いつ間に起きてきたの!?」

うちの嫁は本当に気配がない…。

それにしても、今日は本当に雰囲気が沈み込んでる、かなり深く。

原因はやはりあの勇者かな…。

「あの黒髪ってさ…同郷?」

「結界維持してて、扉を開けても入ってこれないように。」

「…無理しないでね?」


嫁が無表情のまま扉を開ける。

扉を叩いていたらしい勇者の拳は結界で止まるが、

なかったら思いっきり嫁に当たっていたはず。

…やっぱり潰しておくべきだったかな?


「え…女の子?」

「女性…?賢者殿の弟子か何かですか?」

うちの嫁見て頬を染めんな。


その時僕は、昔幼馴染の女が言った、

『これだから男は。

…ちょっと綺麗だからって、怪しい女にデレデレしやがって。』

のセリフが脳裏によぎった。

ちなみに、

この後デレデレしてた幼馴染の男達は魔法で黒焦げにされてた。

唯一関心がなかった僕だけ無事だったんだが、

女性の本性が男などよりどれだけ恐ろしいか、はっきり認識できた思い出深い事柄だ。


「用件だけ告げてさっさと消えて。

そちらの要求を呑む気はつもりは一切ないから。」

そして僕の嫁は、やっぱり容赦ないのが標準だ。


まあ実際、要求は勇者の旅の同行で、僕は一度も要求呑んだことないし。

あいつが王だった頃は馬鹿な要求してくる奴はいなかったのに、子の代になった途端。

てーか、

その王になった子は、

子供の頃何度か遊んでやったのにね…本当に人間ってすぐ堕落する。


「な、なんだよそれ…別にお前に用事ないし。

それよりさっきの賢者出せよ!一緒に魔王退治に行くんだから!」

「行かないから。

そっちの勝手な都合で他人の予定決めないでくれる?」

「俺を召喚したのはこの世界の人間だろ!だったら俺に協力するのは当然だろう!」

「…はっ、召喚をしたのはエスト国の首脳陣じゃなくて?

少なくとも、エスト国民ですらない人間に何かを強要できるわけないでしょう?」

「ゆ、勇者は偉いんだから従えよ!」

「おめでたい頭ね。

歴代の勇者が持て囃されるのは魔王を倒した事実があるからよ?

それもピンキリ、馬鹿な勇者は後世で辛辣に評価されてるのが現実。」


顔を真っ赤にして震えながら口を閉じたり、開いたり。

件の勇者は、うまい反論が見つからないのか、まるで魚みたいな状態だ。

後ろの騎士なんぞ今にも抜刀しそうな眼で嫁を見てるし。

あ、抜いた、しかも結界忘れて切りかかってるし(笑)


それにしても、相変わらず嫁の”勇者”は辛い。

あれから大分経ったと思うのに一切癒えてないんだな…。








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