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第2部 第3幕 【 異界の扉を開く者 】  第3話:幼き覇王の覚醒、そして異界への宣戦布告

「レグナ、よく聞け。お前がべる

べき領域はこの宇宙だけではない。

これから父が切り開く『無数の異世界』の

すべてが、お前の庭園となる」

アーロン帝国の絶対の血脈は完成した。

次なる異界の扉の向こうへ向け、覇王の

侵略は父子二代の新たなステージへと突入

する。

超弩級艦アスガルドの皇帝私室に響いたのは、

通常の赤子のようなか細い産声ではなかった。

それは空間の理を微かに震わせるほどの、

冷徹で重厚な魔力の鼓動――我が血を引き、

生まれた瞬間からあらゆる帝王学と宇宙の

支配法則をその脳髄に刻み込まれた皇子おうじ

レグナの初声であった。


漆黒のドレスをまとい、アメジストの瞳に

深い母性と狂おしいまでの忠誠を宿した寵妃ちょうき

セレスティアが、黄金の光をかすかに帯びた

赤子を優しく、かつおごそかに抱きかかえている。

その傍らには、側近のルナが精巧な魔導

コンソールを操作しながら、息を呑むような

表情で新たな主の誕生を見つめていた。


「アーロン様……ご覧ください。レグナ様

の肉体と精神の成熟速度は、通常の生命科学

の範疇を完全に逸脱しています。すでに、

私の全演算領域の数分の一に匹敵する思考回路

が、あの幼い脳髄の中で構築されています」


ルナの報告通り、セレスティアの腕の中で

静かに目を開けたレグナは、無意味な涙を

流すことなど一切せず、冷徹なまでの黄金

の瞳で私を見据えていた。その視線には、

生まれたばかりの幼子特有の不安定さは微塵

もなく、すでに全宇宙を統べる者の気高い

矜持と、父である私の思考を寸分たがわず

トレースした圧倒的な知性が宿っている。


私は玉座の如き艦長席からゆっくりと歩み

寄り、セレスティアの腕からレグナを軽々

と受け継いだ。

私の腕の中で、レグナは小さな手を微かに

動かすと、我が衣服の裾をしっかりと掴んだ。

その指先からも、私と同じ【全属性変換】の

微弱な黄金の光が心地よさそうに波打っている。


「よく見ているな、レグナ」


私は我が子の瞳を真っ直ぐに見据え、低く、

しかし艦内全体に響くような覇気を含んだ

声で語りかけた。


「お前が生まれたこの宇宙は、すでに我が

手によって完全に征服され、すべての星々

と理は我が帝国の庭園と化した。だが、

我が血統を受け継ぐ者に、この狭い箱庭だけ

で満足してもらうつもりはない。父がこれ

から切り開くのは、無数の異世界、そして

次元の壁の向こう側に広がる無限の神域だ」


私の言葉が脳髄に直接流れ込んだ瞬間、

レグナの黄金の瞳がまばゆい光を放ち、

その小さな胸の内で圧倒的な魔力の奔流が

力強く脈打った。彼は言葉を発せずとも、

私のすべての野望、すべての侵略の理、

そして異界を統べるための帝王学のすべて

を、その魂の深くに完全に定着させたのだ。


「――我が君主アーロン様。レグナ様の

精神同調率、100%を達成しました。彼は

すでに、次代の覇王として完全に覚醒して

います」


セレスティアが満足げな笑みを浮かべながら

深く一礼し、ルナもまた、新たな二人の王に

向けて忠誠の敬礼を捧げた。


「素晴らしい。……これより、我が帝国は

真の『次元を超越する覇権』へと移行する」


私はレグナを片手でしっかりと抱き締めた

まま、艦橋の最前部へと歩みを進めた。

目の前に広がるメインビューポートの向こう

側には、私たちが制圧した銀河の果てに、

いまだかつてどの生命も踏み込んだことの

ない「不気味に歪んだ次元の裂け目」――

異世界の扉が、暗黒の宇宙を切り裂くように

ぽっかりと口を開けていた。


その裂け目の向こうからは、私たちが

これまでに味わったこともないような、

異なる法則で構築された強大な魔力と、

異質な神々の気配が幾重にも押し寄せている。


「愚かな異界の神々よ、あるいは別のことわり

しばられた者たちよ。聞くがいい」


私は掌のなかに、全宇宙の魔力を凝縮した

かのようなまぶしい黄金色の

【全属性変換】の光をともした。

私の腕の中で、我が子レグナ

もまた、小さな拳を握りしめて同じ黄金の

光をかすかに放ち、異界の扉へとその冷徹な

視線を向けている。


「地上を奪われ、底辺からい上がっ

た俺の復讐は、いまやこの次元の壁をも越え

てすべての世界を穿つ。この宇宙に存在する

すべての理は、我が言葉によってのみ定義さ

れるのだ。……全艦、突入の準備を完了しろ。

異世界のすべてを、我が帝国の新しい領土へ

と書き換えてやる!」


アーロンの圧倒的な号令と、それに呼応する

我が子レグナの初声が、超弩級艦アスガルド

の全システムを突き動かした。

アスガルドの巨大な艦体が轟音とともに

次元の裂け目へと突入し、新たな世界を

べるための侵略の幕が、父子二代の絶対的な

覇道とともに切って落とされたのだった。


©2026 [Ⅰ・G・ε]. All rights reserved.

明日7:20に投稿します。

よろしくお願いします。

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