ハッピーエンドのその先へ!星空に誓う永遠のプロデュース
王都を覆っていた絶望の暗雲が晴れ去ってから数日が経過した。
僕の工房は完全に修復され、今日は退院祝いという名目で5人のヒロインたちによる盛大なパーティーが開かれていた。
「アルト、私が特大のハンバーグを焼いてあげたわよ!」
リゼットが満面の笑みで巨大な肉の塊を乗せた皿を突き出してくる。
「さあ、遠慮せずに私があーんしてあげるから口を開けなさい」
「ちょっと待ちなさい、ブラウンさん」
クラウディアが冷ややかな声でリゼットの前に立ち塞がった。
「病み上がりのレヴィナスにそんな重たいものを食べさせるなんて、非論理的にもほどがあるわ」
彼女は優雅な手つきで透き通るような冷製スープをテーブルに置く。
「レヴィナス、私の作ったこの特製スープで胃腸を休めるといいわ」
「あらあら、お二人ともアルトさんを困らせてはいけませんです」
エミリアがふんわりと微笑みながら、焼きたてのハーブブレッドを切り分けている。
「アルトさんには、わたくしの愛情と癒やしの魔力を込めたこのパンが一番ですわ」
「甘いでござるな、エミリア殿」
菖蒲が天井裏から音もなく着地し、重箱を広げた。
「主殿の体力を完全に回復させるには、拙者が丹精込めて丸めたこの特製兵糧丸・極に勝るものはないでござる!」
「あなたたち、全員どいてくださるかしら!」
ルージュがバチバチと紫電を散らしながら、強引に僕の隣の席へ割り込んでくる。
「アルト様が本当に欲しているのは、食べ物なんかじゃなくてこの私の熱いハグと愛の魔力補給に決まってますわ!」
彼女は僕の腕に抱きつき、その豊満な胸をぐいぐいと押し付けてきた。
「ちょ、ルージュ、電気が走ってるからちょっと痛いんだけど……!」
僕が苦笑しながら引き剥がそうとするが、彼女の力は意外と強い。
「抜け駆けは許さないわよ、ルージュさん!」
リゼットが反対側の腕に抱きつき、クラウディアたちも一斉に僕の周りに集まってきた。
相変わらずの仁義なきお世話合戦に、僕は幸せなため息をついた。
本当に、彼女たちは最高で最愛のヒロインたちだ。
「みんな、本当にありがとう」
僕が素直な感謝の言葉を口にすると、5人の動きがピタリと止まった。
「僕がこうして生きて笑っていられるのは、君たちが奇跡を起こしてくれたからだ」
僕は5人の顔を順番に見渡し、プロデューサーとしての真摯な想いを伝える。
「リゼットの炎のような情熱が、クラウディアの氷のような気高さが、エミリアの癒やしの慈愛が、菖蒲の闇を裂く忠誠が、そしてルージュの雷のような真っ直ぐな恋心が、僕を救ってくれた」
5人の少女たちの頬が、りんごのように真っ赤に染まっていく。
「君たち全員が、僕の誇りだ」
「アルトのばか……そんなふうに言われたら、泣いちゃうじゃない……」
リゼットが目を潤ませて僕の胸に顔をうずめる。
「レヴィナス……あなたという人は、本当にプロデューサーの鑑ね」
クラウディアが照れ隠しのようにそっぽを向くが、その耳まで赤かった。
「アルトさん……わたくし、アルトさんに出会えて本当に幸せです……」
エミリアが僕の手を両手で優しく包み込む。
「主殿……拙者は一生、主殿の影としてお供するでござるよ」
菖蒲が涙ぐみながら僕の背中にしがみつく。
「ああもうっ、アルト様がかっこよすぎて私がショートしてしまいそうですわ!」
ルージュが僕の首元に顔をすり寄せてくる。
平和で、騒がしくて、心温まる最高のパーティーの時間が流れていく。
だが、その頃。
王都から遥か遠く離れた、冷たい宇宙の深淵では不穏な影が蠢いていた。
アルティメット・プリズム・バーストによって粉砕された巨大母艦の残骸の前に、純白の仮面を被った謎の人物が立っていた。
「……カミヤが敗れたか」
仮面の奥から響く声は、感情を一切感じさせない冷酷なものだった。
「星喰らいの駒すらも打ち破るとは、あの異端のプロデューサーとやら、なかなか面白い脚本を書く」
その人物は、母艦の残骸から微かに脈動する黒い結晶体を拾い上げた。
「だが、我々『虚構の楽園』が紡ぐ悲劇は、まだ終わらない」
虚空に怪しい嗤い声が響き渡り、新たな絶望の胎動が始まっていた。
そんな宇宙の彼方での出来事など知る由もないが、僕は工房のテラスに出て夜空を見上げていた。
「アルト、星を見ているの?」
リゼットが僕の隣に立ち、夜風に髪を揺らした。
他の4人も僕を囲むようにテラスへと出てくる。
「ああ、綺麗な星空だと思ってね」
僕は満天の星々を見つめながら、心の中で密かに決意を新たにしていた。
カミヤが残した言葉を忘れたわけではない。
悪の組織は一つではないし、世界にはまだ僕たちのハッピーエンドを脅かす存在が潜んでいるはずだ。
プロデューサーとして、次なる戦いへの備えはすでに始めている。
新たなデバイスの設計図や、彼女たちの力をさらに引き出すためのプロデュース計画。
「どんな敵が来ても、僕たちなら絶対に乗り越えられる」
僕が不敵に笑って呟くと、5人の少女たちが一斉に僕を見た。
「当然よ!アルトと私がいれば無敵なんだから!」
「非論理的だけど、その言葉には同意してあげるわ」
「わたくしたちの光で、どんな闇も癒やしてみせますです」
「主殿の行く道が、拙者の往く道でござる!」
「アルト様との愛の力があれば、どんな悪役も一撃ですわ!」
僕たちは夜空に向かって高らかに笑い合った。
輝く銀河の下で、僕たちの青春と戦いの物語は、これからも続いていく。
最高のヒロインたちと共に、最高のハッピーエンドを描き続けるために。
~第一部 完~




