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彼女の一食に対する「想い入れの強さ」は感嘆に値する物であり、ラディッシュは「何か協力してあげたい」と思い、
「因みに「イリスさん」の探している、」
「イリィ」
「へ?」
「アタシの事ぁ「イリィ」で構いやしないよぉ。因みに「さん付け」も不要さぁねぇ」
「…………」
つっけんどんながらも、ざっくばらんな物言いに、そこはかとなく懐かしさを感じた彼は、
「分かったよ、イリィ♪」
笑顔で答えつつ、
「それで、イリィの探してる料理人って、どんな人なの?」
「どんな?」
「えと……例えば容姿とか、服装とか、特徴とか?」
「そぅさぁねぇ……」
イリスは腕組みして黙考すると、
「アタシの集めた情報じゃぁ、ソイツはイケメンで……何人もの「趣向の違う女」を連れ歩いていて……連れているにも関わらず、行く先々の村や町で女と見れば手当たり次第に毒牙に掛けて、ヤリ逃げ放題。最っ低野郎らしいんだがぁねぇ、料理人としての腕は天下一品らしいのさぁねぇ♪」
(((((((…………)))))))
何処かで聞いた様な、見た様な、誰かの話が交じっている様な、複雑な感覚に陥るラディッシュたち勇者組。
(((((((まさか……ね……)))))))
自分たちの話に尾ヒレがついて、僻みも混じって広がっている可能性に苦笑していると、
「…………」
イリスが物言いたげな顔してラディッシュを見つめ、
「い、イリィ? なっ、何かぁ?」
しどろもどろで尋ねる彼に、
「そぅ言やぁ~」
彼女は品定めでもするように、
「アンタも、趣向の違う女を何人も侍らせてると思ってねぇ~」
ギクリとしたラディッシュは、苦笑でお茶を濁しながら、
「はっ、侍らせるなんてぇそんなぁ~彼女たちに失礼だよぉ。そっ、それに僕たちは勇者パーティーなんだからぁ~♪」
「ふぅ~ん」
些か腑に落ちない様子を見せる彼女は、
「まぁ「ぱーてー」ってのが何なのか、アタシぁ知らないけどさぁねぇ~」
前置きした上で、からかうようにニッと笑って、
「アンタも十分、一部の連中の悪評を買ってるようだけどさねぇ♪」
「へ?!」
「なんだ、知らないのかい? 侍らせた女にばかり戦わせて、自分は「夜の床」でしか戦わない「淫乱勇者」だってぇねぇ~♪」
『い、いんらぁん勇者ぁ?!』
それが妬みや嫉み、嫉妬に端を発する悪言であるのは容易に推察できたが、それでも中世の為に戦っている身としては、ショックを受けずに居られなかった。
しかし、落ち込む彼以上に、
「ラディを淫乱、呼ばわりぃ……」
わなわなと、怒りに打ち震えたのはドロプウォートを始めとする仲間たち。
刀の柄に手を掛け、
『下郎ッ叩き斬るベシッ!』
鬼神の如く両眼を光らせると、
「おぉ~とぉアタシを斬んじゃないだろうさぁねぇ♪ アタシが言ったんじゃないさぁんねぇ♪」
イリスはおどけて見せながら、腹の中で、
(コイツ等ぁ「イジリ甲斐がある連中」さぁねぇ~♪)
ラディッシュ達との出会いを、ある意味で喜んでいた。




