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黒の忌み子が刀抜く。  作者: 白達磨
22/23

解錠者

「シオン様、下がっていてください」


 ショウタロウは刀を鞘に収めず右手に握りシオンを背に隠す様に一歩前に出た。


「オーガベアの時は刀を鞘に収めて戦ってたと聞いたんだがな」


 ルドムは薄暗い中でも一際目立つ黒い刀身へと見た。彼の口調からして組織にはショウタロウの情報は幾ばくかは伝わっているらしい。


「はは……抜刀術だと勢い余って殺してしまうので」


 ショウタロウはそう言いながらルドムを見た。彼の放つ異様な空気と血の様に赤い瞳を見て彼は少し恐怖を感じた。


「チッ……《ドン》」


 ルドムはショウタロウという存在に恐怖感じた彼自身に舌打ちをし彼らに向け魔術を発動した。人差し指の前に小型の紫色の魔術陣が出現しそこから不定形な何かが高速で彼らに飛んで行く。


 それに対しショウタロウの右腕が一瞬消えたかと思うとルドムが放った魔術は真っ二つに斬れ消滅した。その後、再び彼の右腕は元の位置に現れた。この一連の流れに一秒も経過していない。


「《ドン》《ドン》《ドン》」


 ルドムは次に三連続で魔術を放った。しかし、ショウタロウは殆ど動く事なくそのことごとくを斬り消滅させた。


「無駄ですよ。今まであなた方組織の組員を何百と殺してきましたがその技はもう見切っています。あ……そう言えば、組織の名前を教えて頂けませんか?」


 ショウタロウが突然思い出しルドムに尋ねた。その緊張感のない発言に彼は吹き出し大笑いする。


「そうか……なら冥土の土産に教えてやるよ!俺達は新世界の鍵を開く者、''解錠者''だ!《五百連射》!!」


 解錠者。ルドムはそう名乗ると今までとは違い右掌をショウタロウ達へと突き出した。彼の右掌の前に先程より一回り程大きいそれはゆっくりと回転し始めた。次の瞬間、彼らへと今までと同じ速さの攻撃が間髪入れずに注がれる。


「チッ……」


 今度はショウタロウが舌打ちする。分裂していると錯覚する速さでそれらを刀によって斬り防ぐ。


 一つでも斬り損ねればショウタロウは疎か背後のシオンの命もない。そんな状況でショウタロウは攻撃を避ける事なく防ぎ続ける。流石の彼も背中の傷も相まって体力をかなり消耗しているらしく汗を滴らせる。


「オラ、追加で《五百連射》だ!!」


 そんなショウタロウの様子が可笑しいのかルドムはまた魔術を発動した。


「し、ショウタロウさん。あんな魔術をこんな……短期間で行使出来るなんて……ふ、普通の人間ならとっくに魔力が切れてます」


 シオンは恐る恐る彼女の目の前で攻撃を防ぎ続けるショウタロウへと違和感を伝えた。


「ええ……どうやら彼は普通じゃないみたいです。初めて会った時から気になっていたんです。何故あなたのバンダナの下ともう一人の眼帯の下()()から竜の気がするんですか?」


 攻撃が止むとショウタロウはルドムにそう尋ねた。それに対し彼はニヤリと笑った。シオンはその笑みが今までにないほど不気味に感じられた。

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