『あっきー3分クッキング♪』 作者:あき
「てれれれてってってっ♪てれれれてってってっ♪れれれれれてってってっ♪」
「うるさい。」
「てれれっれててっ♪てれれっれててっ♪てれっれっれてってっててててて♪」
「だまりなさい。」
「てれっれててんっ♪てれっれててんっ♪てんっ↑てんっ↑てんてんてんっ↑↑↑」
「.....。」
「とぅるるるれてれて♪てってっれべぶほげへぇっっっ!!!!」
「次、歌ったら舌を切り落とす。」
.....あ、みなさんどうも。たったいま謎のクール系ツンデレ(推定)女王キャラにノリノリで調理をしていたところを後ろからぶっ蹴飛ばされた本作の主人公・天河彩希です。
あ、前話見てない方のためにおさらいしますね。
まずですねこのクール系ツンデレ(推定)女王キャラさんはですね、帰宅途中のボクを物理的に襲ってきました。
結果、ボクに返り討ちにされた訳なんですが、どういうことか『合格よ』なんて負け台詞かましてきた挙句『おなかすいた。ごはん』なんて言ってきまして、人ん家にズカズカと入り込んできてボクにとんかつ作らせてんですよ。
ありえます?ありえませんよね??
ボクが作ってあげてるんですよ!?!?!?
「顔がうるさい。蹴られたいの?」
「いえ!それはまた至福!間違えた、そんなことございませんっ!」
「...気色悪い。はやく作りなさい。」
てなわけで念願のとんかつをやっと作れているんだが、まさかこんな形になるとは...。
満を持してだぞ?やっと登場だぞ?もう3話だぞ?
あぁはやくとんかつ食いてぇ...。あとキャベツぅ.....。
「あ。そういやお前、名前は?
俺の名は天河彩希だ!」
バァーン!という効果音が俺の背景に現れるッ!
「...あなたの名前は知ってるわ。
私は、零紗...【神威 零紗】よ。」
「ほへぇ...神威さん、ね。よろしくな!
ところで、結局さっきの合格ってのはなんなんだよ。まさか本当に分かんないで襲いかかってきてたのか...?」
だとしたら...コ、コイツ、怖すぎる!!恐ろしい子ッ!
「試験、というか、試練?...かしら。」
「試練?」
なんだ?試練とはまたずいぶん大仰な言い回しだな...。
なんかやらかしたっけ。やばい、考えるとキリねえな。思考停止、ポチっとな。
「私たちの様な生まれつき固有の異能力を所持している存在を神様の力が宿っていると言われることから『神憑き』と呼称するわよね?」
「ん?そうなのか?」
「あなた...本当に学園に通っているわよね?」
「おう!授業は毎時間ちゃんと睡眠をとってるぜ!」
「睡眠じゃなくて学力をとりなさい!」
お、おこられただとぉ!?
「こほん。失礼、取り乱したわ。話を続けるわよ。
結論からいうとあなたはただの神憑きではない。あなたは『神』そのものよ。」
「....ん?え?どゆこと?」
なんだ?こんな世界だし『はい、中二病乙~!』とか言えねえしな。
とりあえず魔法使いじゃなくて神憑きだったわ。そういや、やけにSっ気むんむんな先生が言ってたわ。
「信じがたいかもしれないけれど事実よ。あなたが操る風の能力は極一部でしかない。
本来ならば四元素はもちろん、空間、物質、時間...あらゆるものに干渉できる力。」
「なにそれ。チートやん。」
『ピッピロリーン♪』
ご飯炊けたよぉ~!! by某お米大使
いやいや待て待て。
神そのもの?俺が?だいたい何の根拠があってそんなことが言える?
不審すぎるし、一気に神威さんの信頼性ダウンだ。怪しすぎるだろ...。
「いや、その。悪いんだが...。」
「ぷっ...ふふふっ。」
え。なに?なんで笑ってるの?
やだやだこわい~。
「冗談に決まっているでしょ?
それよりも早く夕食を用意してもらえる?」
「えっ、あ、お、おう。」
確かに、とんかつ君が『ボクを早く揚げて!』って言ってるな...。
待ってろ!いますぐにカリカリにしてやるからな!
ピンク色の素肌を白いベールで包み隠したとんかつ君を箸で掴みあげそのまま、
「油へフォーーーウッ!!」
ジュウ~パチパチパチ~、と盛大に音を鳴らし見る見るうちに白きベールは金色のドレスへと...。
「う、うまそう...。」
つい、じゅるりとよだれが出そうになってしまった。
我ながらこれはいい出来だ。間違いない。
「神威さぁ~ん...ん?」
とんかつ君のドヤ顔を見せてあげようと思い後ろを振り返ると、神威さんがなんとテレビの前で体操座りしながら真剣に動物番組を見ているじゃあねーか!!
おいいいぃぃぃぃぃぃっ!登場して間もないのにそんな惜しげもなく第二のキャラ見せつけてくんなよおぉぉぉ!!
かわいいじゃあねえかよおおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっ!!!!
「なにをひとりで悶えているの?出来たのかしら?」
「あ、すいません姫君。ただいま盛り付けを致しますので少々お待ちを。」
さあとんかつ君。ついに君の披露宴だよ。
『彩希くん!おいしく作ってくれてありがとう!』
そんな...いいってことよ。お、見てみろ!みんながお祝いにきてくれた!
『しろこめ、きゃべぞう、とまきち、むぎちゃん...みんなぁ。』
行こうぜ、あの夢に見た大皿へ.....!
「「いただきます。」」
お互い同時にまずはとんかつ君をパクリ。
とんかつ君の『あんっ...!』という妖艶な喘ぎ声の様にサクッ!といい音が鳴る。
「う、うめぇ...オラ感激してっぞぉ!!」
「...おいしい。」
おお、神威さんも大絶賛。ぱくぱくと物凄い勢いでとんかつとご飯をバランスよく減らしていく。
いやでもしかし...。
食うのはやすぎね????