女神の依頼
私、18歳の青年アマチュア探偵・本花尋夢は、自分の家の玄関先で立ち止まった。その理由は、ドアの向こうから伝わってくる圧迫感――私がよく知るあの圧迫感のせいだった。
何度も迷った末、一息ついてドアを押し開けた。
だって、いつかは家に帰らなきゃいけないんだから。
とにかく――
「ベイビー、おかえりなさ~い」
リビングの中央。そこにあったはずのローテーブルは消え、代わりに高級そうな沈香木のデスクと革張りの椅子が置かれていた。金髪のウェーブがかった長身の女性が、細い目を三日月にして、肘を机の上に乗せてにこにこと挨拶してくる。黒いスーツが魅惑的な曲線を描いている。
なぜだか私は、彼女のスリーサイズがB112 / W72 / H116で、身長222 cmであることを知っていた。
「……ルシフィット様」
「あらあら、つれないね~。お母さんかお姉ちゃんって呼んでくれてもいいのに~」
「……どのようなご用件で? 」
ルシフィット――その存在を知る者はいないが、確かにこの世界を創り上げた創造神である。
私は前の事件の終盤に彼女に接触し、絶大な助けを得た。まさに形勢を逆転させるほどの。
それ以来、彼女は頻繁に私の家を訪れるようになり、私の生活に多くの彩りを加えてくれた。私が一番好きなのは、放課後に彼女とベッドに寝転がって話すことだった:「ルシフィット様、この世界に本当に幽霊はいるんですか?」
「いるよ」
「宇宙人は?」
「いるよ」
「天蛾人は?」
「まだいないね。でも見たかったら、一つ作ってあげてもいいよ」
そう、あの頃は本当に楽しかった……彼女は私にとって、まるでかつて存在しなかった母親のように――身体はかなりエッチな母親だったけど……
しかしその後、彼女はどんどん頻繁に、そしてどんどん境界を無視して来るようになった。
詳細は覚えていないが、私は徐々に気づき始めた――もしかするとこの神様、この世界を創った神様は、決して善男信女ではないのかもしれないと。
最近三ヶ月、彼女は姿を現さなかった。それで私はほっと一息ついて(「ああ、ようやく飽きられたかな」)、楽しい三ヶ月を過ごした。今日までは。
「とにかく、ベイビー、君は銃に興味がある?** 」
「銃? 」
「銃、幽かな青の腔線の奥には
一万回もの日の出が隠れている
君は安全装置の後ろで沈黙する
まるで山脈が稲妻の刃を畳むように」
「いや……銃くらいは知っていますけど」
「知ってるだけじゃ全然足りないよ~。ママのところにすごく厄介で緊急の案件が舞い込んでね。別の世界で調査してほしいんだ。向こうの人たちは銃が大好きなんだよ」
別の世界!?!? まさかあの異世界ってやつか?
あまり行きたくないな……新式トイレにしか対応してないんだよな……
「無理ですよ、もうすぐ中間テストなんです」
「ママがお願いしてるんだよ~」
「本当にダメなんです~今回のテスト、すごく大事で~~」
「どうしてそんなに理不尽 なことを言うの? ママは君を信頼してるから頼んでるんだよ。テストがママより大事なの? 」
それで圧をかけるのか? くそったれ……
「……わかりました、ルシフィット様」
「いい子だね~。でも君一人であっちの世界で生活するのは大変だし、探偵業もそう。だからママが助手と、そしてお世話係を用意したよ。ほら、カックリー、起きて**」
ルシフィットが体を横にずらし、脚をどけると、机の下から一人の少女が這い出てきた。18歳くらいの、茶色い瞳の少女だ。
灰白色の長い髪――いや、長い髪というより、むしろ電撃を受けたかのような爆発した雲だった――重力に逆らうほどにふわふわと広がり、一筋一筋が別々の方向に跳ね、乱れの中に不思議なバランスを保っていた。
少女は白いニットと灰色のプリーツスカートの埃をはたき、そしてとてもカッコいい(とは言えない)ポーズを決めた。
「よっ」
「この子がカックリー・ライフリング・トリガーフィールド。ママのいい友達だよ。でも君からおばさんって呼ぶ必要はないからね」
「でも呼びたければいつでもどうぞ~恥ずかしがらなくていいよ~」
このトリガーフィールドは八重歯を見せて、爽やかな笑顔を浮かべた。
「ああ……これからよろしくお願いします。ところで、今から――」
「荷物の準備はいらないよ。ママがさっき詰めておいたからね。半ズボン、タオル、歯ブラシ……さあ、今すぐ出発! 」
「今すぐって!? 」
「こっちはもう待ったなしなんだよ。そうだ、こっちの時間は先に止めておくね」
指を鳴らすと、灰色のポータルが空気中に現れた。カックリーがスーツケースを手に、私を押すようにポータルへと導く。背後では、女神が手を振りながら笑顔で見送っている。
「ちゃんとご飯を食べるんだよ~」




