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改良の余地があるようです。しかしこれはこれでいい気もします。

 とりあえず皆を宥めてご飯を食べることにした。早速小面さんのギミックを発動!口元を露出する。しかし、ここで問題が発生した。






 下が見えにくい。






 能面は視野が狭い。故に下が見えにくい。つまり、ご飯も見えない。どうしよう、だからといって面を外すわけにもいかない。かといってこぼしながら食べるのは嫌だし、犬食いも嫌だ。


「……ご主人様?」


 朝食に手を付けない私を不審に思ったらしく、ジャンが話しかけてきた。


「いやその……」


 コソッと手元が見えにくいと話したら、こいつアホかって顔をされた。ちくせう。視野を広くするように後で改造しよう。

 ジャンは急いで自分の食事を済ませると、自分の椅子を私の椅子にピッタリくっつけ、私の食事を一口大に小さく切ったり、パンも一口大に千切って口元に持ってきた。


「ほら」


 これはもしや、あ~ん!?試しに口を開いてみたら入れてくれた。


「……もぐもぐ」


「どれ食べたいとか言ってくれ」


「あ、そっちのお野菜が食べたい」


「はいよ。次は?」


「肉」


「ほれ」


「ありがとう……美少年に食事介護してもらえるとか……これいくら払えばいいのだろうか……」


 あ~んまでして頂く必要はないのだが、これはきっと神がくれたご褒美に違いない。※神は首を左右に振っております。

 あ、やっぱりあいつそこまで気が利かないだろうから違うわ。


「美少年……?」


 ジャンがスノウに目をやる。いや、君です。


「ジャンはとても綺麗な顔立ちだと思うよ?」


 肉を飲み込んでからそう話す。まつげも長いし、とても整った顔立ちだ。日本ではなかなかお目にかかれない美形だ。


「いや、人間は俺達が気持ち悪い……」


 そこでジャンがハッとした。真っ青になっている。どうした??


「その、ごめん。俺みたいな醜い奴隷に食事させられるなんて……ご主人様は優しいから黙っててくれたのに……」


 え?なんでジャンは泣きそうなわけ??手が震えてますけど、その肉食べさせてくれないの??


「私はジャンが気持ち悪いなんて思ったことないけど?ジャンの優しさに感動して、お小遣いをあげたいぐらいだし」


「……ご主人様は俺をなんだと思ってるんだ?」


「とても綺麗な男の子」


 そういや、ゲームで獣人って差別されてたっけか。獣人ってだけでブサイク判定だったかも。こんなに美少年なのになぁ。耳だって可愛いし触りたいな……。


「……そもそも、獣人なだけでなく、奴隷としてヤラれそうになってた俺がキレイなはずないだろう」

「昨日悪意がなかったとはいえあんな酷いことをした私を許してくれてご飯が食べにくいって気がついたら嫌な顔をせず率先して手伝ってくれるとっても優しい子。顔立ちも整っててあと数年したら美人になるだろうなと思う。文句なしの美少年だよね。それからそれから」

「もういい!いいからメシを食え!」


 自分で聞いておいて理不尽ではないだろうか。しかし肉を口に入れられたので素直に食べる。何の肉かわからんがおいしい。食事がメシマズじゃなくてよかった。素朴な味付けだが、濃いよりはいい。


「うふふふふふ」

「ぐふっ」

「………?」


 何故かゲルダがニヤニヤしている。なんなのだろうか。カイもなんだか笑いをこらえてる?スノウと目が合うと、お互い首を傾げた。


「ご主人様」


「ふぁい?」


 やば、口にまだ入ってるのに返事しちゃった。


「俺は多分、あんたより年上だ」


「…………………………え?」


 としうえ?ねんれいがうえなんだ??思考がまとまらない。


「あんたこそ何歳なんだ」


「十六だけど」


「は!?も、もっと下かと……ま、まあ、まだ成長期に入ってないせいか外見こそ幼いが、俺は少なくともあんたより年上だ。覚えておけ」


 こんな美少年がまさかの年上!?いや、どう見ても小学校高学年ぐらいなんだが!


「え、じゃあ、ジャンさんとかお呼びすべき!?」


「なんでそうなる!?カイには普通だろうが!」


「いや、なんとなく?」


 言うと嫌がりそうだから言わないけど、なんとなーくなんだけど、ジャンって命令しなれてる感じがするんだよね。カイやゲルダは年上だけどそういう感じがしないのだ。


「そもそも俺はあんたの奴隷なんだから、あんたが俺に敬語を使うのはおかしい!くだらないことを喋る暇があるなら食え!あ、こら。こぼすなよ」


 丁寧に口元を拭いてくれる。その手つきはとても丁寧だ。ご飯もきちんと飲み込んだのを確認してから食べさせてくれる。熱いものはフーフーしてくれる。やばいなこれ。いくら払えばいいの?


「ご主人様の身の回りのお世話はジャンが担当かしら」


「それがよさそうだな」


「は?」


 手を止めてキョトンとするジャン。いや、身の回りのことぐらいできるし。小面さんをちょいちょいっと改良すればいいのよ?


「私とカイって、種族柄力のコントロールがイマイチなのよ」


「……うむ」


「かといって、スノウは心配だし。この中での適任は間違いなくジャンだわ」


 ゲーム内での様子から、スノウは私と同レベルまたは私以下の物知らずだ。そうなると、フォロー役はジャンしかいない。


「仕方ないな。了解した」


 そう言うととても自然に私をエスコートするジャン。日本人はエスコートされ慣れてないのでとても戸惑うんですがね!?ジャンはやはり一つ一つの所作がとても上品で美しい。そんな合法ショタがつきっきりでお世話するとか落ち着かないんだけど!?あと、私の決定権はどこへ?!

 私は一応ご主人様なんだけどな!??

「」「」

 なんやかんやでそこそこ抜けている言葉さん。能面の視野が狭いのは結構な欠点です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 能面に透過機能つけたら今度は能面を付けてること忘れそうw
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