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第九話

金曜の夕方、わたし達と先輩達合わせて9人と一匹の妖精は敵を目の前にしていた。数は2。敵一般兵なら四季さんの狙撃で一秒、わたしの追尾連撃で三秒もすれば片付くが、わたしの感じる力がそれを否定していた。スーツに身を包み角を生やしこちらを見る敵は、以前も現れた敵幹部、“鬼”。

「二体同時だなんて……」

「予の想外想の定外ですわね」

ゆっくりと歩き近づいてくる鬼。

「四季、どうする?」

「二組に分けて戦います。バランス取って分けるのが一番なんですが」

言葉を一度切った。

「今後、皆さんは四人で敵の総大将と戦うことになります。わたし達はそこにいけません」

ナナが何度も言っている。先輩達と一緒に行くことはできず、わたし達で戦うしかない。

「一度ここで、戦ってみますか?シミュレートじゃないですけど」

先輩組とわたし達組でそれぞれ。可能だろうか。近づく敵にわたしの心臓は高鳴っていた。

「大丈夫、でしょうか?」

「ナナ、四人についてください。空間は最低限でかまいません。皆さんの防御補助を」

「うん、わかった」

ふわと飛びわたしの頭に乗るナナ。そっか、ナナは一緒に来られるのか。

「緊急時にはアシストします。いつもの皆さんならできるはず。対少数の訓練は以前した通り。あせらず、頑張ってください」

励ましてくれる四季さん。本当か鼓舞か、どちらにせよやるしかなかった。

「ほおう、9人かいな。大所帯やんかいさ」

「うち5人が後天性神楽姫ときた。恐ろしいものですね」

何弁だろうか、特徴的な言葉を使う黒髪の鬼に敬語を使う青髪の鬼。殺気は放っていなかったが霊力はぴりぴりしていた。

「二人同時とは、随分と強行ですね、鬼」

「急成長を遂げていると聞きましてね。ここで倒しておかないといけないとなったんですよ。おやあなた、いい喋り方ですね」

「それはどうも」

臨戦態勢を取りたかったが誰も武器を出していなかった。

「ちなみに、お二人はどちらが強いんでしょうか?」

「趣ある質問で。答え進ぜようよ、俺じゃ、ヨクヤと呼びんしゃい」

黒髪の鬼、ヨクヤは指を一本立てた。きりとした顔でこちらを眺めている。

「劣っているのは間違いないですがね、極端に弱いわけではないですので。メシナと申します」

青髪の丁寧な方、メシナは執事のように頭を下げた。

「皆さんが死ぬまでどうぞ覚えていてください」

やはり殺しに来た。わたし達巫女を。

「皆さんは青髪の方を。こちらでヨクヤと名乗った方を倒します」

「素敵なお知らせじゃの。かまへん、のっちゃろうよ。こちらじゃき」

ヨクヤが左を指差す。先輩達はそれに続き移動していた。

『ご無理をされないように。困ったら叫んでください』

ぼそりとインカムが響く。心配してくれていた。

「さて、それじゃ僕らも殺し合いましょうか。四人がかりでおいでなさい」

メシナが手を合わせて開いて金棒を出した。以前のイキセが素手で戦っていたが、どちらのが強いのだろうか。

「行くよ、みんな」

両指を鳴らし同時に当てるが、金棒の一振りで吹き飛ばされていた。なるほど、強い。だが。

「多角でいくよ、囲んで!」

四人で囲む。メシナは余裕そうに金棒を回していた。

『行くぜ!』

『ですわ!』

チカちゃんキョウちゃんが同時に切りかかるが、まずキョウちゃんに一歩寄りなぎ払い、振り向いてチカちゃんの攻撃を弾く。第二撃で鍔迫り合い、わたしとサラちゃんの追撃が着弾する前にチカちゃんを蹴り飛ばしわたしの攻撃を吹き飛ばしサラちゃんの攻撃を手でバリアを作り防ぐ。

『まじーな、これ』

ぱんぱん服を払いながら武器を構えなおすチカちゃん。たいしたダメージはなさそうだ。

「キョウちゃん、スイングに霊力使ってみて」

『悪い知らせだけどな、使ってアレだ』

これは少しまずいかもしれない。うちの接近エースがサシで負ける敵。

「キョウちゃん!」

『お任せあれですわ!』

キョウちゃんのフルパワー重力神楽。ナシメの踏ん張る表情、効いている。

「行くよ」

三人で同時攻撃をかける。よし、これで。

「ダメですよ、安心しちゃ」

ナシメが少し険しい表情もしながらも手を上にかざし、霊力を放つ。ぴりと肌に伝わったと思ったらチカちゃんが吹き飛んでいた。わたしとサラちゃんの攻撃は弾かれている。

『どういうことですの?動けるはずが』

「キョウちゃん、確かに使ってるよね?」

『ロンモチですわ』

発動はしている。が、余裕で動きチカちゃんを撃退。まさか。

「キョウちゃん、切って」

『いいんですの?』

「おそらく、効かない何かを使われた。意味無いかも」

「ふ」

ナシメが武器を構えながら余裕そうに笑みを作っている。

『そうでもなさそうだぜ。今の攻撃のが弱かった。重力防ぐのに力使ってる』

戻ってくるチカちゃん。よかった、頭に血が上っていない。

「だとしたら」

「どうするんです?」

ナシメがわたしに突っ込んできたが、チカちゃんが防ぐ。

『策考えろ!ひねり出せナギ、ウチのブレーンはお前だ!よう、しばらく防いでやる。ナナ、多少無理するぜ』

チカちゃんが全力で対応してくれていた。

「ほう、なかなかですね」

『ありがとうよ!』

ギアがマックスに入ったチカちゃんでようやく太刀打ち、桐子先輩との特訓の成果だろう。よかった。

『皆さん、大丈夫ですか?』

四季さんの声。こちらを見ているか声からか、心配してくれていた。

「とりあえずは!大丈夫です!」

先輩サイドを確認する余裕はない。考えろ。チカちゃんが作ってくれた時間だ。

『私も行きますわ!』

『無理すんな、キョウ』

キョウちゃんが続くが攻撃の合間で蹴られていた。後退する。その攻撃硬直を突きサラちゃんの精霊が突撃する。体当たり、ようやく当たり、よろめいたところでチカちゃんの追撃、が、これはナシメの霊力波を受けていた。ナナが防いでくれたようでダメージはそうでもなさそうな感じ。

「チカちゃんはそのままフルパワーで接近戦、キョウちゃんは重力かけてあとは防御に集中。サラちゃんは大型精霊の攻撃を隙を付いて。わたしがチカちゃんと時間差で叩く!」

威力を上げて両手から放つ。キョウちゃんの重力神楽を防ぐために片手を常に突き上げる必要があるようで、左手が使えない状態でチカちゃんを捌いているがそれではわたしとサラちゃんの攻撃を防ぐことは出来ない、というかそれだと勝てない。よかった、よろめいてくれる。

「チカちゃん、大丈夫!?」

『やるしかねーだろ!』

荒くなった息が聞こえてくるが休憩させる余裕はない。わたしにできるのは既にロックオンしたナシメに一発でも多くぶち込むことだけだ。だが。

「悪くない、いえむしろいいですよあなた達」

こちらは死ぬほど全力なのに楽しそうだった。いや、チカちゃんも楽しそうだが、こちらは先に限界が来そうだ。チカちゃんの霊力が切れたら、ここで再生の欠片を、いや、不確定な要素が強すぎる。使うならわたしだ。が、わたしが使ってこいつを倒せるだろうか。

『はー、はー』

『キツくなってきまし、はわこっち来ましたわ!』

『……防ぐ!』

接近戦に持ち込みナシメが防げない威力の攻撃をぶつけ倒しきる。できるか、わたしに。

「ショット!」

『ぐっ!』

チカちゃんに限界が見えてきた。隙が少なくなりサラちゃんの攻撃も通らなくなっている。

「チカちゃん!少し休憩、下がって!」

『バカ言ってんな!』

息を吸い蹴り飛ばされたチカちゃんと入れ替わりでナシメに突っ込む。殴りかかりがかわされたがもう一方の手で二発霊力波を撃ち込む。よけられたがロックオン済み、わたしへの追撃に気をとられて背中に直撃。崩れたところで掌底を撃ち込

「がっ!」

金棒で思い切り吹き飛ばされたと認識したのはむくり起き上がったときで、痛みを伴いながらナシメを見たらサラちゃんを沈めているときだった。

「サラちゃん!」

『げっこっち来ましたわまずいですわ!』

キョウちゃんが狙われフォローの霊力波を撃ち込むがいなされながらキョウちゃんが吹き飛ばされる。ナシメが左手を下げた。

「あぶなかったですがね。あちらのが強いんですよね?神楽姫。早くフォローして差し上げないと」

「どうするよ、おい、ナギ」

チカちゃんの代わりにと突っ込んだのが間違いだったのか。肩で息をしながら武器を構えているチカちゃんとわたし。

「なんとか、する」

わたしはビンに手をかけた。

「皆さん、お疲れ様でした」

四季さんの声がして、どさという音。ナシメの目の前に投げられたそれは、先ほど変な口調で話していた敵幹部、ヨクヤだった。片腕両足が欠損しめためたに傷つけられようやく息をしている見た目だった。

「動かないでくださいね、鬼。あなたのお味方の生存時間が気持ち短くなってしまいます」

銃を突きつけている四季さん、後ろで印を結ぶ構えを取っているリセさん、さらにいつのまにかナシメを囲むように桐子さんとひかりさん。楯さんは倒れたふたりを介抱してくれていた。

「ああ、やられてしまいましたか。残念。僕が頑張るしかないじゃないですか。そこそこ厳しいというのに」

「まだ戦う気ですか。もう勝負はついていますよ」

「そうですか?僕が自爆でもs

ナシメが倒れた。頭に穴がいくつも開いている。四季さんが撃ち抜いたようだ。ナシメの身体が消滅していく。

「されたら困りますね。その前に倒させていただきました。さて、ああ、もう喋れそうにないですか?」

ひゅーひゅーとヨクヤが息をしている姿が見える。鬼といっても痛覚は同じようにあって、痛くて、あんな状態ならもう死にたいのかもしれない。きっとこれが映画ならわたし達は入場口でストップだ。

「残りの幹部の数は?」

「四季、もう」

桐子さんが大きめな声を出すが四季さんは銃を突きつけるだけだった。敵は、見えているのだろうか。

「数を指で作ってください。そのために左腕を残しました」

ヨクヤの左腕がぶるぶると震えていた。指は作れていない。

「そうですか嫌ですか。じゃ、さよなら」

何度かトリガーが動き、ヨクヤの身体が跳ね、動けなくなり、それから消えていった。武器をしまう先輩。

「さて、帰りましょうか。皆さんお疲れ様でした。皆さんが戦った鬼もほとんど削っていたようです。よく頑張りましたね。一度家に行きましょうか」

すたすたキョウちゃんとサラちゃんに近づいていく四季さん。“普通”だった。いつわたしの髪から出ていたのかわからないが、ナナがふわと四季さんの元に飛んでいった。

「チカちゃん、大丈夫?」

霊力を解き額を拭うチカちゃん。

「あ、ああ。まーな。できたら、倒したかったな」

「なんとか、うん。あのままだと、きつかったね」

わたし達も倒れている二人に近づく。無事なようで確認を終えた四季さんはリセさんと一緒に車に向かっていた。

「はあ」

チカちゃんは見ただろうか、わからないがとりあえずわたしは桐子さんがため息をつく姿を見た。四季さんに向けてかも知れないが、それについてはなんとなく考えたくなかった。

「おつかれ、大丈夫か?」

「ふたりとも大丈夫だった?サラちゃん気絶してるみたいだから運ぶね!頑張ったねみんな!車で待ってるからゆっくりおいで!」

サラちゃんをひょいと担ぎ、車に向かう楯さん。くると振り返る。

「みんな、強くなったね!」

なんだか、嬉しかった。

「キョウ、大丈夫か?」

「ええ、無事ですわよ。最後、どうなったんですの?」

キョウちゃんの腕を引っ張り上げ立たせる。

「先輩達が既に勝負つけてて、とどめさしてくれた。できたら、四人で倒したかったね」

「もう一回戦ったら、勝てますわ」

「もう一回とかねーよ。はは」

そうだ。確実に勝たなくちゃいけない。次は無いんだ。

「頑張ろうね。先輩達にもっと鍛えてもらおう」

「……そうだな」

わたし達三人、言葉なく楯さん桐子さんサラちゃんが待つ車に歩いていった。





--------------------





言葉無く車を走らせる。ナナが上に、左にリセ、後部座席にひかりが乗っている。赤信号。指を叩いていた。帰って、DVDでも借りて見ようか。明日は休み。仕込んで夕食も時間かけて作るのもいいかもしれない。

「四季、青だよ」

「あ、はい」

ダメだな。意識して先ほどのことを考えないようにしているのにそれにとらわれていてる。しかし。

「ん、ん」

なんとも無かったかのように振舞うことが出来ても頭で切り替えられるほどわたしは大人ではなく、歯を少し噛むことで忘れようと考えた。

「この後はどうするの?」

そうか、特に今後の話をせず二台で家に向かって、わたし自身自分の予定しか考えていなかった。

「サラちゃんが目覚めるまではうちにいてもらって、そうですね、それから。今日は皆さん疲れているでしょうし、先に他の皆さんだけ送って行ってもいいかもしれませんね」

「そうだね。戦闘自体私達久々だもんね」

「だねー、後輩のみんな、頑張ってくれてるよね」

「リセ、桐子に電話してもらっていいですか?一度サラちゃんをうちに送ってもらいますが、他の子達は解散、わたし達も各自帰る感じで大丈夫ですと」

「うん、オッケ」

「ひかり、先に送りますよ」

「あ、うん。ありがとー」

左折。リセが耳に携帯をあてる。

「あ、桐ちゃん?えっとね、四季からで、キョウはみんな疲れてるだろうからそのまま解散でいいって。うん、うん」

多分ナギちゃんあたりは心配で目覚めるまでは付き添うだろう。

「うん、うちにね、とりあえず送ってもらうけど。サラちゃん以外は、うん。ふたりも送ってくれたらそのままで大丈夫だって」

「送るまでに目覚めても、一応うちでゆっくりしていただくよう伝えてください」

「えっとね、大事とって、もし途中で目覚めても一応うちまで。うん。うん。わかった。よろしくね」

電話を切る。

「とりあえず先にサラちゃん送るって」

「わかりました」

「あ、そしたら、私ここでいいや。なんだか、ゆっくり帰りたい気分だし」

ひかりの言葉のまま車を停める。

「お疲れ様でしたひかり」

「うん。ふたりも。サラちゃん目覚めたら一応連絡して。ばいばーい」

ドアが閉まる。

「はあ」

わたしはため息をついていた。

「疲れた?」

「そうですね、少し」

「なんか、気、張りすぎてる感じがしたよ。桐ちゃんと同じくらい前に出てたし」

「いえ……いや、リセに嘘ついてもしょうがないですね。そうですね、多分、そんなんだったと思います」

曖昧な言い方だったのはわたし自身その感情をどう表すのが正しいのかわからなかったから。

「弔いとか、そういう気持ち?」

「別に先ほど倒した幹部がやったという限りではないんでしょうけどね。頭に血が上っていたと思います」

「私達は知っちゃってるからね。桐ちゃん達とも、あの子達とも違うかも」

「ええ。ですが」

言葉を切った。

「ですが?」

「……いえ、ですが、あの子達がさらに減らなくて良かった」

「それも覚えていなかったんだよね、そうなったら」

「また気付いたのかも知れませんが。あの子達がしっかり戦ってくれたおかげです」

会話が止まる。リセはその続きに考えがシフトしているようで、わたしが言葉を切った先を遮ることができただろう。よかった。

「はあ」

またため息。あの時桐子がしていたのと同じ。

「今日は、ゆっくり休もう。私達も」

やさしいリセの声。あなたが助手席でよかった。

「そうですね。そうだね、うん」

リセは桐子のため息、それからわたしをへの目線と表情なんて知る必要はない。きっと嫌な思いをさせてしまう。わたし達から見えない位置に移動して正解だった。あれを認識するのはわたしだけでいい。

「桐ちゃんからメール。ナギちゃんは心配だからうちに残るって」

「わかりました」





--------------------





「じゃあ、なにかあったら言ってね」

「……うん」

先輩達の家の客間、一度目覚めたサラちゃんだが大事をとってということで安静に、ベッドでゆっくりさせ今は、というか普段からだがおとなしくしている。可愛さから一度頭を撫で客間を出てお二人がいるリビングへ。

「静かにしています。なんか、色々とすみません」

「いえ。明日はお休みですしね。わたし達としても心配ですし」

何かあってもということで夜帰るまでここでゆっくりとして、9時過ぎころに家まで送りナナが一応付く。四季さんの提案の通りに今は9時を待っているところだ。

「ナギちゃん、何か飲む?」

「あ、すみません」

立ち上がるリセ先輩。アイスティーでいいかなの返事をする。

「どうでしたか?幹部戦」

じいと四季さんがわたしを見ていた。軽めの笑顔。

「と、そうですね。もう少し戦い方が良ければ、勝てたかな、とか思ったり」

結果あのままいったら再生の欠片を使用するしかなかっただろう。

「最後の方しか見られなかったんですが、どう戦ったんですか?」

「ええと、しっかり全部覚えてるかな。牽制として攻撃してみたんですが防御力が高そうだったので囲んで同時攻撃を仕掛けたんですがダメで。キョウちゃんの重力神楽、使ったんですけどそれも防がれて。ただ敵も防ぐために片腕とある程度の霊力を使うみたいで」

「はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます。で、キョウちゃんに使わせたまま全員で攻めたんですけど、ずっとフルパワーだったので疲れが見えてきて。で、どうだったっけかな」

一口アイスティーを飲む。

「吹き飛ばされたチカちゃんの代わりにわたしが突っ込んで。キョウちゃんは神楽を解くわけにはいかなくてサラちゃんにも行かせられなかったので、少し戦いましたがわたしじゃダメで、吹き飛ばされてしまい起き上がったらサラちゃんが倒されてて。キョウちゃんも倒されたところで、相手にそこそこのダメージを与えられていたと思うんですが、こちらも二人になってしまって。そこでですね、先輩達がこちらに来て」

「あの時、使うつもりだったんですよね?」

何を、とは言わなかったが四季さんには再生の欠片に手を伸ばすわたしが見えていたらしい。

「頑張ったね、ナギちゃん」

リセさんが笑ってくれた。この人はいいお母さんになるんだろうな。

「いえ、そんなこと……」

「きっと今のナギちゃんが使ったら、制御が可能かどうかはさておき、あの状態の幹部だったら倒せたと思います。ナギちゃんに限らず、誰が使っても、きっと」

「そんなに凄いんですね、再生の欠片」

ポケットからビンを取り出し傾ける。これがそんなに。

「二体同時に現れたことから考えても、敵の幹部も少ないかもういない可能性があります。わたし達が戦った鬼と似ているので、それを基準に考えたらの話ですが」

もういないかもしれない。自力で勝てなかったわたし達のレベルで敵総大将なんて倒せるのだろうか。

「先輩、あの、また、特訓、お願いします」

「はい。頑張りましょうね」

アイスティーの氷がからと鳴った。四季さんもわたし達が力不足だと感じているのだろう。今例えばほいほい行ったら、全滅。だろうか。それは嫌だな。

「先輩達のときは、敵も先輩達も使える霊力が少なかったんですよね?その状態で敵の総大将に勝ったんですよね?」

「そうですね、その辺の話はまだしていなかったんですね。ですがその前に、一度ナナの世界に行きましょうか」

「ナナの、世界、ですか」

それもそうというか、ナナはわたし達とは違う存在で、わたし達はナナの世界から霊力を供給され戦っているという話を前にしてもらっていた。

「冥界、これも巫女のようにナナの世界で言うところの、であって、あの世という意味とは違うんですけどね。そういう名前みたいです。そこにいるお姫様とお話をしに行きましょう」

「お姫様」

「姫巫女様っていってね、とっても綺麗な人。その人が色々とコントロールしてて、敵の世界に行く道を作ったり、供給の霊力を上げてくれたりするの。常に再生の欠片を使っているくらいの強さで戦えるよ」

「ですので、完璧に耐えうるくらいの訓練をしてから、その世界に挑みましょう」

出来るだろうか、わたし達に。

「大丈夫ですよ。皆さんなら」

心を読まれていた。笑顔の四季さん。ヨクヤにトリガーを引いていた時とはまるで違う。

「大変だと思いますけど、皆さんなら、きっと」

あの時も、そしてこの笑顔も、わたしには少し怖かった。




第九話 From our carefree lives and the solitude and peace we always knew. おわり

     to be continued……


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