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第六話

先輩達は臨戦態勢を取りながら対峙する男、イキセと会話していた。

『“鬼”。久しぶりですね。わざわざ殺すためだけにですか。ところでひとつ、後天性神楽姫とはどういった意味ですか?』

返事をしているようだがイキセの声は聞こえない。ポケットから手を出し、四季さんに殴りかかる。

『遅いです』

しかし四季さんの姿はなく、既に移動しており何発かの銃弾を撃ち込む。バリアで防御していたようだが、貫通し当たっていた。

『桐子』

『うんっ』

桐子さんがリングを槍に変化させる。第一撃のなぎ払いをイキセは素手で止めた。

『へえ。でも』

槍の柄の方から針状に伸び、二度直角に曲がってからイキセの右肩突き刺した。

「形状変化ですわ」

あんな使い方ができるとしたら、桐子さんには間合いも振りかぶりも関係ないかもしれない。形状変化の能力にはこんな使い方があるようだ。イキセが貫いた針を引っこ抜き後ろに跳び下がる。

『こっちは行き止まり!』

その瞬間に発生させたのか楯さんの壁に当たり、動きが止まったイキセにひかりさんの光線が直撃した。壁から離れようとしても動けずにいるイキセ。

「楯ちゃんの能力か?壁の種類も選べんのか」

「違うと思うよ、あれ」

楯さんの壁には粘着性の霊力設置がかけられているようだった。おそらくリセさんのもの。くっついたまま手のひらをかざし壁を破壊するイキセ。相手の攻撃力もなかなかのものらしい。自由になったイキセと桐子さんが何回か攻撃を交わす。手に霊力を集中させ槍を捌いているようだ。桐子さんが突いたと思ったらそれが二股に割れ、同時にイキセを襲った。両手でそれを防いだが四季さんの銃弾をまともにくらい吹き飛ぶ。立ち上がり攻撃を仕掛けようと一歩を踏み出したところで地面から発生した壁で飛ばされる。空中でひかりさんの攻撃をなんとか避けたと思ったら待ち構えていた桐子さんの針山に突き刺さる。大声を上げるイキセ。

「一方的過ぎ……」

敵が可哀想に思えるくらい圧倒していて、心強いことだがわたしは少しだけ怖くなっていた。イキセが針から飛び上がる。

「ぬああああめんなああああああああああああ!!!!」

もの凄いスピードでわたし達に向かってくるイキセにわたし達は武器を出そうとしていたが、何本かの光線が貫通する。

『みんな、無事かな?』

ひかりさんが咄嗟に助けてくれたらしい。それから半秒、目の前に大きな雷鳴が轟きすべてが一時停止した。

「なっ」

『大丈夫?他にも設置してあるから、動かないでね?』

リセさんの優しい声が聞こえるが、その攻撃にイキセは悶絶していた。

『楯』

『あいあい!』

壁発生、先輩達のほうに吹き飛ばされていく。

『さて』

倒れこんだイキセの頭を踏みつけくるくる回してから銃を突きつける四季さん。笑顔を見せるいつもの姿はなくただ無機質に見下すだけだった。

『色々と教えてもらいましょうか』

男を五人が囲っている。男にもう勝ち目は無かった。

『鬼、手加減はしません。質問に答えてください。後天性神楽姫とは』

三秒後イキセの右腕が吹き飛んだ。

『霊力を込めて撃っています。あなたの防御力では防げません』

次に左腕。

『そうですか喋りたくありませんか。あなたの他の幹部は?』

しばらく、イキセの角が飛んだ。悶絶を重ねる。

『どうしてもなら。さようなら』

イキセの体が揺れ、そして動かなくなった。先輩達が武器を収める。イキセの体が消滅していった。今まで倒した敵と同じように。

『皆さん、帰りましょうか』

あまりにも平然としていた。先輩達は、そりゃ敵だけど、人間、いや違うけど外見はほぼ人間を一人殺しているんだ。ぱんぱんと服を払い、戦闘用の霊力を解除しこちらにやってくる。買い物帰りか何かのように。

「は、はい」

怖かった。



--------------------



後輩達は戦闘後わたし達に恐怖感を抱いていた。いくら戦闘という非日常に身をおいて、それにも慣れてきたと言っても彼女達はまだ中学生で、わたし達が行ったあれは人殺しに映ってもおかしくないものだった。この世界を守るためと言っても簡単に飲み込めないような内容。正直、どう接するのが正解かわからなかった。

「あの」

よどんだ空気の中、ナギちゃんが声を上げた。

「先輩達は、前もあの、幹部と戦って、勝ったんですよね……?」

「ええ。苦戦しましたが」

「どうやって。あんな強いのに」

「先ほどの相手も、皆さんでも撃退できた強さでしたよ」

顔を見合わせている彼女達。

「戦い方ですよ。現に皆さんはチームでの戦闘、めきめきと腕を上げています。でも、そうですね、わたし達の話をしましょうか」




----------




転校してきたひかりが加入し、五人での戦闘になれてきたわたし達。再生の欠片集めと成長に前進していましたが、ある日ナナから話を聞いている中に幹部の話があり焦りを感じました。今までの一般兵とは比べ物にならない相手。

「それって、襲われたらまずいんじゃ」

「ナナの話から察するに、あちらにとってもよほどのことがない限り来ないでしょうが。それでも恐怖はありますね」

「どう対処すればいい、と思う?」

「敵が襲来、戦うだけで力を消耗、相手の世界の力を使わせることが可能だとしたら、防衛重視で凌ぎきるというのがベターかもしれません」

それまでの調べで襲来は17時18時間に限られていることを突き止めていました。勿論わざと絞っているだけで本当はいつでも可能だったり、幹部はその法則に縛られない可能性も考えられましたが。

「そうなったら、そうなったです。全力で戦いましょう」

随分と曖昧な答えしかできませんでした。

それからしばらく、わたし達に初めてやってきた敵の幹部。雨の日のことでした。ナナから襲来を聞き、嫌な予感を抱きながらポイントへ。

「まってたぜェ、巫女共よう」

大柄な男。先ほどの男と同様にスーツに身を包み角を生やしていました。幹部と認識、構えを取りナナに空間の指示をしました。

「皆さん、雨が降っています。雨の中の戦いそのものより敵幹部が今までの敵と違うことを指し示している可能性があります。ここで倒しますよ」

陣形を取りながらつぶやきます。敵の垂れ流す霊力とは別のなにかにおぞましさを感じていましたが、やるしかありませんでした。

「オイオイオイオイ俺様さあ、耳いいからお前らの発言聞けちゃうんだぜ聞こえちゃったんだぜ。ここで倒す?なんて言っつたけど、できんのそれ?」

「“守るために巫女になった”。守りたいものを、守りましょう」

男が指を鳴らすとその両手の爪が急激に伸びました。直接攻撃型のパワータイプを想定できましたが、底が見えず対一体のパターンは実戦を積んでいなかったので、気持ちの上で後手に回っていました。

「巫女ブッ殺し隊、お前らの天敵、“鬼”である俺様シンラがお前らをもれなく絶命させやんぜ」

手を伸ばし突っ込んでくる“鬼”を自称した敵幹部、シンラ。桐子が第一撃を変化させた剣で受け止めます。力比べでは勝てず飛ばされる桐子。ひかりのビームを跳ね飛ばし反撃に向かわれますが楯の壁が攻撃を防ぎました。そこで三発撃ちこみますがさほどきいていないようで、こちらをにらみつけるだけでした。

「リセ、時間を使っていいです、大物仕掛けてください。ひかりは防御重視でリセの護衛、桐子と楯は敵の足止めを」

不意打ちでもなければひかりの攻撃は通りそうになく、リセも単身では防げそうになかったので少しずつダメージを稼ぎ、魔状攻撃に弱そうだったらリセ主体の攻撃で攻めようと考えました。

「オラオラ、ここで倒すんだろ?牽制じゃ勝てねぇぜ?」

近距離戦が一番得意なのが桐子でしたが楯と組んでやっと止められるレベルで、拮抗が可能だということとわたしの攻撃力がシンラの防御力に勝っていることがその時点での救いで、弱点も見えなかったので全体的に狙撃をしていました。

『いけるよ、四季!』

リセの合図を受け発動エリアを確認してから楯と桐子に場所を伝えます。精一杯ギリギリそうでしたが攻撃を受けつつ誘導していきました。

「もうちょっとうまく隠すんだなァ!」

リセとひかりがいきなり後退してその後不自然に誘導していけばバレると思っていましたが、それでもそこに誘い込み撃ち込むしかなく、しかし桐子が連続で攻撃を受け発動エリアに向け投げ飛ばされてしまいます。

「桐子!」

リセの設置した神楽の発動条件がその時点ではわからず、もし侵入のみだったら桐子がもろに食らってしまいますので威力を抑え桐子に向かって一発撃ちました。別方向に吹き飛びエリアから外れたところに倒れる桐子。単騎で狙われつつも壁で対応する楯。

『よくもよくもよくもよくもよくもよくも桐ちゃんを!!』

壁により動きが止まった一瞬で発動エリアに向かって飛ぶように撃ち込みます。こちらに神経が行った隙を狙い楯が壁を出し敵が吹き飛び、エリアに侵入しました。発動、大きな雷鳴が轟きシンラの姿が煙に隠れます。煙の先に神経と空間認識を集中、あの一撃で倒れるわけがないと考えていました。

「リ

反応を感じ方向から危険を知らせようと声を上げますが間に合わず、リセはその爪に串刺されていました。引き抜きリセが崩れ落ちるまで八発当てましたが勿論倒れません。

「やるじゃねぇの?へえ。まさかそこそこに攻撃食らうとは思わなかったぜ。な、聞いてんの?」

倒れているリセを蹴り飛ばすシンラ。怒りを弾丸に込め狙撃します。

『あああああああああああああ!!!!!!』

桐子は立ち上がり楯と共にリセに寄り添い、ひかりはシンラに突っ込みます。二三度攻撃を交わした後の硬直を狙われ蹴り飛ばされてしまいました。

『四季、リセがまずいよ。どうする?』

雨が髪を濡らす中、わたし達の戦力は五人から三人に、攻撃をくらっている桐子、フルパワーで戦っている楯、それからわたしだけになっていました。

「楯、二人に壁を。まだ逃げません、戦います。すみません」

『大丈夫だよ!行こう!』

剣を槍に変化させ構えを取る桐子。インカムからは二人の荒くなった息が聞こえてきます。シンラと切り結びますが最初と比べややこちらの攻撃が通るようになっていました。

「桐子、効いています。リセの攻撃で敵も傷ついているみたいです。もう少しです」

「ンなわけねェだろーがァ!!」

桐子に大振りな攻撃を当て、硬直を狙い追撃するシンラにビームが突き刺さりました。ひかりが倒れながら力を溜め撃った結果シンラに膝をつけることができました。

『ごめん、私、ここまでかも……』

ひかりはそのままうずくまりましたが生まれた隙を生かすためわたしと桐子で追撃をかけます。省エネで戦う余裕はなく徐々にこちらの限界が見えていました。戦闘不能となったらナナに任せ霊力が回復するまで待つ、というのが当初の予定でした。が、幹部との会敵で思いました。限界ギリギリまで戦って、何がなんでも倒すと。

「っだァ!」

起き上がり攻勢に出るシンラ。今まで押していた桐子が押されてしまいました。狙撃でアシストをかけます。

『楯!』

楯にもフォローを求める桐子でしたが、わたしには少し前から膝に手を置き肩で息しながら何とか壁を維持する楯が見えていました。

「桐子、あと少しです!あと少し!」

そう言い聞かせるしかありませんでした。前衛でシンラの攻撃を受けながらも戦い続ける桐子。左腕はもう動かないように見えました。

「楽しかったぜェ、クソ巫女さんよォ!」

爪での突きを避けた桐子の顔に肘撃ちが入り、吹き飛ばされます。

『四季、ご、ごめん』

へらへら笑いながらこちらを見るシンラ。ゆっくりとこちらにやってくる。

「皆さん、今すぐ逃げてください」

気絶しているわけではなく、それでも立ち上がり逃げることが大変なことは見てわかりましたが無理矢理にでも体を動かしていただかないといけませんでした。

「ここから退避、ナナ、押さえ込むことはできますか?」

「できるけど、みんなが逃げてからだよ!」

「わたしが時間を稼ぎます」

『四季、あんたの防御力じゃ』

「大丈夫ですから!今すぐ」

「なァにの相談だ?お前ら巫女はまとめてもれなく殲滅してやっから、そのへんで転がってろ」

高笑いを決め込むシンラを見てから、リセ以外の三人が立ち上がる姿を確認しました。

「お願いします」

『死なないでよ』

桐子とひかりがリセを担ぎ、四人が空間の外に出ました。

「すんなりと逃がしてくれるんですね」

「俺様もそろそろエネルギー充電の時間だ。だが、逃げずに殺される覚悟持ったテメーは、よろしく相手してやんねェとなァ」

「言いましたよね。ここで倒すと。あなたを絶命させる巫女の名前、忘れないでください」

わたしは自分の名前をつぶやく。

「楽しい話ありがとうよ。礼だ、殺してやる」

「皆さんが離れた以上、制御できずに傷つける心配はなくなりました」

ビンに入った再生の欠片を取り出しふたを開け飲み込みます。シンラにはそれが何かわかっていないようでした。みなぎるをはるかに通り越した霊力が私に溢れて、四肢がぶるぶると震えました。

「いいもん持ってんじゃねえの。んで最初っからそうこねェんだよつまんねーな!」

「そうですか」

身体能力が上がるわけではありませんが、有り余る霊力を運動につぎ込み、高速でステップし後ろに回りこみライフルで殴ります。シンラは簡単に吹き飛びましたがすぐ立ち上がりました。

「テメ

「遅い」

六発の銃弾がすべてシンラの体を貫き、鮮血が飛沫を上げます。

「はー、はー。なるほど恐ろしいですね」

銃剣のイメージをかけほぼタイムラグ無しで具現化、切りかかります。

「悪くねェ悪くねェ!!」

シンラの爪がわたしの攻撃を受け止め力比べを挑まれましたが霊力の後押しを受け競り勝ちます。よろめいたところで二発。

「おああああああああああああああ!!!」

力を総動員したのか今までより早く力強く霊力をまといラッシュをかけてきます。

「どうしてそこまで防ぐ!?貴様ァ!」

空間認識の全力展開によりシンラの動きをコンマごとに認識し、その後の攻撃予測を立て対応することですべてを防ぐことはできませんでしたが接近戦主体のシンラと渡り合えることが可能でした。霊力に耐え震える四肢をできる限り正確に動かしながらもその霊力に無理が来ていることを感じていました。

「わたしは負けない!」

攻撃を防ぎつつシンラの左腕を切り落とします。その硬直で爪を突き出すシンラのそれには体勢的に避けきることも防ぐことも不可能という認識結果でしたので消去法で右足で受け止めます。霊力で防御しましたがシンラの攻撃力が勝り突き刺さりました。歯を食いしばり四発の弾丸を撃ち込みよろめいたシンラに銃剣を突き刺します。爪から右足を引き地面に付くと血が吹き出ました。

「おおおお!!!!!」

シンラの大振りな突きをお腹に受けながらシンラの左胸に銃剣を突き刺し、トリガーを引き続けます。

「水華とか言ったな」

激痛に耐えながら攻撃を続ける中シンラが力なくそうつぶやきました。

「お前をブッ殺せなくて残念だ」

雨音。シンラは動かなくなりました。お腹に刺さった爪を引き抜き倒れるシンラの首を跳ねるとシンラの体が消滅、わたしも武器を解除し倒れこみました。

「はー、はー」

わたし達巫女はある程度の怪我ならすぐ治りますが霊力が低下しているときに受けた怪我、特に大怪我は簡単には治りません。それでも一般の人よりは早いですけどね。

「勝った。勝った」

「四季!すぐにみんなを呼んでくる!!」

ナナの声をぼんやり聞いてから残る霊力で無理矢理止血し、雨を受けながら来てくれる仲間を待ちました。時間にしてどれくらいかはわかりませんでしたが、何も考えず、いえ考えることができずわたしはただ待つだけでした。

「四季!」

後から聞いた話ですがリセは一番近い楯の家に運び込み、それからナナの知らせを受けた桐子と楯が走って来てくれたみたいです。わたしは安心したようで気を失い、二人に運ばれて翌日の昼に目を覚ましました。




--------------------




「そ、それからどうなったんですか?」

「巫女としての活動としては、わたしの治療に時間がかかり、一週間ほどですね、わたし抜きの四人で戦っていただきました」

四人で。いやそれも結構大変だと思うけど、何より幹部との戦いについての話にわたしは喉を鳴らしていた。何をどうすれば、そりゃわたし達だってこの世界を救いたいと最近は特に思うようになってきたけど、賭ける命の具合が違う。

「四季さん抜きって、まずかったんじゃないか?司令塔だろ?」

チカちゃんも話に飲み込まれていたがわたしが口を挟むことで現実に戻ってきたらしい。

「桐子にリーダーをお任せして。四人での動きについては前々から考えていたので、それをお伝えして戦ってもらいました」

「前々から?」

「不測の事態についてです。普段からわたしは指示する立場にいるので、その人間がいなくなったとき本来の動きができるように準備しておくのは必要だと思っていたので」

全員分あるのだろうか、もしくは三人になったときの動き。聞いてみたいが、聞きたくなかった。

「学校や家に対してですが、ナナがうまく取り持ってくれました。その日のわたしは楯の家で寝ていましたが、両親には友人の家に泊まるとわたしの声で連絡し、学校にもそう連絡して、楯の両親が万が一楯の部屋に入ってもわたしを認識できないよう空間を作ってもらいました。もしなにかあったときは、ナナを頼るといいですよ」

あんまり悪いことに使っちゃ駄目ですけどね、と付け足し笑う四季さん。わたし達をそういう意味でもサポートできるらしいが、どうしてそれをわたし達にも言ってくれなかったんだろうか。先輩達には言っといて。

「さて、そろそろ夕食行きましょうか。何が食べたいです?」

羽振りもいいし、人間性もすばらしい。でもわたし達が劣っているからって、精霊すらも差別してくるのは、まあ好き嫌いがあるのは仕方が無いことか。

「十人でいけるとこ、やっぱり焼肉?でも先週も行ったもんね」

「大歓迎だぜ!」

「だいかーんげー!」

「バイキングとかにします?それか席分けてもいいですし」

「バイキングですわ!」

「……うん」

「はい、けってー!ようしみんなー!あちしの車に乗るがいいさ!」

楯さんが立ち上がり車のキーを指でまわす。わーいとそれに続くわたしの仲間達。人望と人柄にやられちゃってるわけだ。いや別にわたしだって嫌いってわけじゃない。先輩達のことは好きだ。守ってくれるし、優しいし、格好いい、こうなれたらと思う。ただ、うん、先輩達は輝きすぎていて、わたしにはまぶしい。

「どうしました?ナギちゃん?」

「あ、いえ、すみません」

地下室にはわたしと四季さんだけになっていた。

「ごめんなさいね、聞きたくない話もあったと思います」

「いえ、そんな、別に」

「後天性神楽姫。先ほど戦った鬼が言っていた言葉です」

「えっと、はい、そうですね」

「これの意味がわかりませんが、以前ナナが言っていた通りわたし達は敵、鬼の総大将がいる空間にはいけない可能性があります。そうなったとき、戦うのは皆さんです」

ナナが言っていた。

「丸投げしているようで、申し訳ありません」

四季さんは頭を下げていた。

「いえ、ちょっと、頭上げてください!」

「少しずつ皆さんと一緒に強くなって、敵を倒し世界を救って、帰ってきたら。そのときは、楽しく暮して、今度は皆さんが次に現れた巫女の先輩になってあげてください」

「わたし達に、できますかね」

「わたし達巫女は、その命を懸けてこの世界を守る存在です。なんて大層なものを掲げてはいません。いませんが、わたし達は自分達の大切な人を守りたいんです。“守るために巫女になった”というこころを、我々五人は持ち合わせています」

この人たちはまぶしい。本当に。

「皆さんは、どうですか?」

「そう、はい、思います」

「倒せると、できると思えるまで、力を上げて、一緒に頑張りましょう」

ああ、やっぱり。

「よろしくお願いします」

先輩達にはかなわないな。




第六話 What's up sweet cakes? おわり

     to be continued……


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