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3話 ゲームセットぉお!!

『――ボールは活きてます!! 早く早く早くタッチアウトを!!』

「あ、え、は、はい!!」



 余韻に浸る暇すらないくらいアナウンスに急かされて、俺はまだそこに現存していたファイアボールを拾い上げたのだが……。



「殺せ。我は負けた。敵を雑魚と見誤り、慢心していた。我にはもう生きている資格など……」



 インドラがぶつぶつとなにか言い出した。

 今までの態度が嘘みたいにしおらしい。



 だから殺すってのがちょっと難しくなって、出来る限りやさしくタッチアウトしてやった。



「これでゲームセットだ」

「……貴様、我を生かすのか? こんな我を? それは……我に対する愚行――」



『タッチアウトを確認しました。勝利を確認しました。砂……ではなく、モンスターを持ち帰れます。残りベンチ入り可能数17。やったね!!』



「……は?」



 思っていたものとはまるで違うアナウンスがやけに嬉しそうな声色で流れた。

 それでもって、インドラから炎が消えた。


 ってか、18人までベンチに入れるって甲子園かよ!?



「なるほど。なるほどなるほどなるほど。貴様はこの我に惚れた、と」



 インドラは両腕を腰まで回して自分の身体を抱きしめると、わざとらしく笑い……顔を紅潮させた。


 うわぁ、えっどぉ……。



「……。いや、違う! 別にそんな気はない!! これはなんか勝手に!! 多分ダンジョンのシステムがあ!!」

「はははははははは!! 恥ずかしがることはない!! 我がいくら美しいからといってもな!! それに我だって……。……。……。我は強い男が好き。つまり貴様が好みのようだ!!」

「だから誤解だって! って……えっと待って今なんて?」



 衝撃の告白に思考が止まる。


 現役時代だって女子に告白されることなかったのに……。学生のときなんてむしろ貧乏を馬鹿にされてたくらいだってのに……。



「むぅ。乙女にあれもこれも聞くものではないぞ。まぁ仕方ない、理解の遅い貴様のためにもう一度いってやる。貴様が好みだ! いや、好きになった!! 今夜は存分とまぐわおうとしようではないか!!」



 笑顔で服に守られることもない、生まれたてのままの状態にある胸を俺の顔に擦り付け、谷間にうずくませた。


 うん。気持ちいい。


 ……じゃなくて!! まぐわうって!? このモンスターが仲間になったって!? おま……まじか――



「我が仲間になったからには誰にも貴様を出来損ないなど言わせん!! 能ある鷹は爪を隠すのだと知らしめてやれ!」



 乳圧で返事、できなふごふごふぐご、ほ……。これ、や、ば……。


 くるぢ……。



「……」

「おい! ここは元気よく返事をするところだぞ!! そんなことでは今夜が心配だ!!」

「……」

「……ん? 身体も動かなくなった、か?」

「……」

「し、しまった! 胸で圧迫されて呼吸ができんでいたか!! 起きろ! 起きろ! こうなれば、仕方あるまい……こういう時は電気ショックで」

「……え、ちょとま――」



 ――バリバリバリバリ……。



 至福と死の狭間からの生還。新鮮な空気を目一杯吸い込み肺を膨らませていると、インドラの身体から電撃が放たれて……感電。



「よし! ぴくぴくとだが動き出したな!! うーん、よしよし! ふはは! 貴様は甘え上手だな!!」



 強力な電撃を浴びせられた俺はマジで動けなくなって、それでもなんとかインドラの胸に顔を、身体を倒れ込ませた。


 このままじゃ……本当に死ぬ。



「と、とにかく帰る。かえりゅうぅ……。親父の、おじぎり……たべりゅぅ」

「おじぎり? よくわからんが……よし、ならば一時帰還だ!! 飛ばすぞ『旦那様』!!」



 そうして俺はインドラに抱きかかえられると地上までの道を高速で移動。


 そこらにいた探索者たちからこれでもかと注目されながら、第一ダンジョン『初心者:素材用』のロビーに堂々登場することになった。

お読みいただきありがとうございます。

モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。

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