2話 そのファイアボール、消えるよ
アナウンス? スキル? え? あんだって――
『そして投げたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!』
「う、え、だりゃあっ!!」
――すぽーん。
あ、やば。頭ん中のアナウンスがクセつよでボールがすっぽ抜け……。
――シュッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!
え、はっっや。
目で追うのはほぼ不可じゃん。でも角度がくそ悪い。
これじゃ、顔面にぶち当たって大乱闘……。
「面白い、面白いぞっ! 貴様!! ……ふんっ!!」
『――ファールボールッ!!』
「マ、ジですか……」
インドラは俺の作ったファイアボールに合わすようにこぶしの当たるちょうどいいポジションへと高速移動すると、その拳をバットに見立てて突き出した。
すると拳に弾かれたファイアボールは天井へとぶつかって消失。
そんでもって審判気取りのアナウンスが響いた。
インドラのあり得ない身体能力……。
こんなもん唖然としないわけがねえだろ。でもよ……。
「そうかそうかそうか……。ふふふふ、あははははは!!!」
「自分の魔法が打ち飛ばされたというのに……。ふふ、私の強さに笑うことしかできなったか――」
「――違う。そうじゃない」
「なに?」
自分でも驚いてる。まさかこの状況でこんだけ……笑っちまうくらい安心してることに。
「これは試合じゃねえ。死合なんだ。デッドボールなんてルールは存在しねえ。もっと単純。当たったか外したか、もっと言えば死ぬか生きるかの……簡単なゲーム」
「? 『シアイ』だとかなんだかはよくわからんが、生死をかけることなど当たり前なことだろ?」
「……そうだよ、そうだよな!!」
自分の中にあった制球の意識、デッドボールへの罪悪感。
そんなものが全部解けて消えた。
そうすることで既に準備していたファイアボールを握る力が強くなった。
『上位敵へのダメージを確認。経験値を取得。レベルが『3』になりました。新しい『球種』を獲得しました。最高球速が上昇。カウント、ワンストライクノーアウト』
アナウンスを聞きながら2球目を放る準備をする。
まったく、こんなに気が楽な投球初めてだぜ。
しかもこの球種選び……握りを変える必要もねえらしい。即時習得理解、ダンジョンの仕様は凄すぎるよな。
『ピッチャー2球目、振りかぶって……』
「本気か……。この我相手に出し惜しみしていたと……。ふふ、撤回しよう。貴様は強い。だが……私には及ばんよ」
「ああ。さっきのまんま、ならな」
「ほざけ……」
インドラは全身に電気を纏った。
さらにその太めの脚にばちばちの血管を浮かばせるくらい力を込めて突っ込んできた。
「塵一つ残してくれるなよ!! 雷速……脚舞っ!!」
『投げたああああああああああああああああっっっ!!!』
アナウンスと同時に放たれた俺のファイアボールはまっすぐまっすぐ進み、それを驚異的な動体視力で完全に捉えているインドラは思い切りぶっとい太ももから蹴りを繰り出した。
俺の動体視力じゃろくに当たったかどうか確認できないけど、純粋に振ってくれたんならそれは術中。
――ぼしゅ。
「そのファイアボール、消えるよ」
「ん、な!?」
俺の取得した球種は『加速』。
初速はレベルアップ前の速度、そんでもってバッター近くでその速度は……さらに≪2≫倍!!
「しかも、速さで火の光も小さくなるわけだから……そりゃ見えねえよな」
「ば、がなあああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」
どごん、とインドラにファイアボールがぶつかった音が部屋全体に響いた。
それに一応ファイアボールの燃え上がる特性は活きてるみたいで、倒れるインドラの身体はそのまま炎に包まれていく。
インドラは動けず、服は燃え、髪にも火が燃え移ろうとしている。
「か。勝ったのか……これ」
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