表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/75

第62話 もらえるものはもらっておきたい。

 家への帰り道、二条達や山村先生と別れてすぐ、アリスさんが言ってきた。


「ねぇタクヤ。道夫が神の力をくれるって言っていたわ!」


 …………何言ってるんですかこの美女は。


「えっと、え?道夫くんが神の力をくれるって言ったんですか?」


「ええ、そうよ」


 だめだ、話が見えてこない。


「えっと、道夫くんは自分の神の力を認識してるって事ですか?」


 確か土の神の力だったな。


「うん。力を持ってるって言ってたわ」


 まじか。自覚してんのか。そうなったら話がややこしくならないか。


 だって凄い力を持っていたら、手放したくないのが普通だろう。


「…………うん?でもくれるって言ったんですよね」


「うん」


「そ、そうですか…………」


 いや、うん。それならいいんだけど、ちょっと話がうまくいきすぎじゃない?


「そもそもアリスさんは道夫くんに何を聞いたんですか?」


 どういう話の流れでそんな話になったんだ。神の力の話なんて急にして信じてもらえる話じゃないし。


「トルクスピカを救うためにあなたの力が必要なの、だからあなたの力をくれない?って伝えたわ」


「なるほど。そしたらくれるって言ったんですね……………」






 ちょっと待て。


 それだと…………勘違いしてないか?


「一語一句違わずそういったんですか?」


 あなたの力が必要なのって言った後に、あなたの力をくれないって言ったってことか?


 それだと、力をくれない?って言葉を手を貸してくれって解釈しないかな。


「えっと、そうよ」


 そうなのか。でもそこから神の力に繋がるには…………


「てことはトルクスピカに関する説明とか、アリスさんが異世界から来たことも説明したんですよね?」


「そうよ」


 それを道夫君は受け入れたのか。


 …………でもそうか。多少現実離れしててもアリスさんみたいな美女にあなたの力が必要なのって言われた後ならほいほい信じちゃうと思う。普通の高校生ならみんな異世界とかに耐性があるだろうし、俺はそうだった。


 いや、信じてなくても関係ないか。アリスさんほどの女性なら不思議ちゃんでもメンヘラでも何でも許せる。…………よな?俺だけか?




 ってなると間違いない。


 今、道夫君は自分が異世界を救う存在だと勘違いしているということになる。




 …………これはまずい。めちゃくちゃまずい。


 騙した訳じゃないのに騙したみたいになってる。


 多分道夫くんはアリスさんに惚れてしまったんだろう。だってアリスさんにお願いされたら惚れる以外の選択肢なんて存在しないからな。


 思えば道夫くんのアリスさんに対する態度もおかしかった気がする。アリスさんと話すときだけ返事をしたり、目を逸らしたり…………あれは好きな女の子に接する態度だ。


 そしてそのおかげで学校に来る気になったんだ。すごく気持ちは分かる。


 上手くいってない時って、一発逆転の何かが起きないかって思っちゃうよな。それが彼にとっては、窓ガラスを割って入ってきたアリスさんだったということだ。


 これ、もし本当は君の力を奪いたいだけだなんて伝えたらどうなってしまうのだろうか。


 さっき二条には大丈夫って言ったけど、全然大丈夫じゃなかった。


「タクヤ、どうしたの?」


 悩む俺の顔を覗き込んでくるアリスさん。


「…………一応確認ですけど、俺は本当にトルクスピカを救う英雄なんですかね?」


 俺も騙されてるんじゃないかって不安になってきた。


 出会う人皆にそんな事言ってんじゃないの?


「そうよ?タクヤが必要なのよ?」


 だがアリスさんは俺の心配をよそに、輝くような笑みを浮かべて言う。




 …………あれだな。本当にこの人は天然人たらしだな。


 この人のためなら、騙されていてもいいやって気持ちになる。


 はぁ、何とかしなきゃな。


 道夫君を傷つけずに、神の力だけ奪う方法。


 思いつかないけど…………何とかなるでしょ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ