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第50話 パーティ

 神の力問題が片付いた後、二条が折角着飾ったからパーティに参加したいとか子供みたいな事を言い出したので会場に来ていた。


 まぁ咲も二条の家で今まで着たことがないような綺麗なドレスを着せてもらって心なしかソワソワしてるし、もしかしたら咲の気持ちを汲んでそんな事を言い出したかもしれない。

 

 …………なんだそれ、イケメンかよ。


「…………なんだい?僕を見つめて」


「お前、性格までイケメンってのはやめろよな。立つ瀬が無くなるから。誰のとは言わないけど」


「拓也くんだって十分魅力的だよ?だからもっと自分に自信を持ってもいいと思うよ」


「別に俺の話はしてないけどな!」


 あ、ちなみに五十嵐は簀巻きのままでメイドさんに引き渡した。


 なんか早川先輩からの言伝で、五十嵐が用済みなら預かるとの事だった。


 うーん、五十嵐はこの後どうなるんだろうか。






 会場についた俺は皆を置いて桜子を探しにいった。


 会場は学校の体育館ぐらいの広さのホールで、沢山の紳士淑女で溢れかえっていた。


 それぞれがテーブルの近くで出てくる食事をつまみながら談笑をしている。


 ちょっと格式の高い雰囲気に居心地の悪さを感じつつキョロキョロと辺りを見渡していると、俺は桜子を見つけた。




「拓也!」


 俺が近づくと桜子も気が付いた。


「桜子…………久しぶり」


「もう、どこ行ってたのよ!拓也がいなくなったあとアリスさんもいなくなって、更には早川先輩まで私を置いてどっか行っちゃって、大変だったのよ?周りには住む世界が違う人達しかいないし、食事も美味しいけどよく分からないものばかりだし、挙げ句には知らないおじさん達にたくさん喋りかけられるし…………さっき早川先輩が戻ってきてくれたから、それは何とかなったけど」


 ナンパされてたのか。多分ドレス姿が凄い似合ってるからだろうな。


 辺りを見渡すと、会場の端っこで早川先輩がおじさんに詰め寄っている。普通なら知り合いかな?って思うところだろうけど、なんか雰囲気がヤンキーとパシリみたいな関係性に見える。


 あっ、先輩がおじさんの靴先をヒールで踏んだ!痛そう。


 あれは桜子に近寄るなって事か。


 おじさんは痛みに苦しみながらも、ヘコヘコと先輩に頭を下げている。


 どんまいおじさん、俺もさっきまで殺されかけてたから同情するぞ。


 てか多分あのおじさんもお偉いさんなんだろうな。


 …………なんか見てるとますます早川先輩が怖くなってくるので、見てみぬふりをしておこう。


「てか、アリスさんなら一緒だぞ」


 周りを物珍しそうに眺めているアリスさんと咲の方を指差す。


「あ、本当だ。あれ?何で咲ちゃんと二条くんまでいるの?…………ねぇ拓也、一体何があったのよ?」


 桜子は、いるはずの無い人達の存在を確認して俺に疑念の目を向けてくる。


 どう説明すればいいかな。五十嵐と戦うために人を集めましたとか言ったらどんな顔すんだろ。


 えーと、まぁ、適当でいいか。


「咲がパーティーに来たいっていうから連れてきたんだよ」


 俺の投げやりな言い訳に、頬を膨らませて上目遣いで見てくる桜子。


「…………本当?」


「ホントダヨ」


「じゃあ二条君は?」


「あいつはこの家のご近所さんらいしぞ」


「もう、本当なの?」


「これは普通に本当」


()()()ってことは咲ちゃんのが嘘だって事じゃ無い!もう…………でも、咲ちゃんのドレス、すっごい似合ってる。可愛い」


「まぁ、咲は素材がいいからな。何を着ても似合うっていう寸法よ」


「咲ちゃんも大概だけど、拓也も相当シスコンよね」


「そんな事無いと思うけど……まぁ、骨ちょうだいって言われたら小指の骨ぐらいだったらすぐにあげれる程度は大事だ」


「怖いわよ、何それ」


「冗談だって……でも、桜子もドレス、似合ってるぞ」


「ふぇ!?」


 変な声を上げる桜子。俺何かいけない事言ったか?


 ああ、そういうことか。


 服のセンスのない俺に褒められたから逆に心配になったんだろう。


 あれだ、自分がかっこいいと思って買った服を、近所のジジイが着てたみたいな感じかな。


「ごめん、忘れてくれ」


「忘れてって…………そんな事出来るわけないじゃない!!」


 突然怒りだした桜子はそっぽを向いてどっかへ行ってしまった。


「おーい桜子、ちょっと待てよ…………」


 俺の制止も無視で人の中に紛れていった桜子。


 まぁ、ちゃんと無事だった事を確認出来て一安心か。

 

 結局、そこまで危険な事は無かったな。いや、もちろん俺は何回か死にかけたんだけど、でもこの会場にいる人たちは何事も無かったかのようにパーティーを楽しんでいる。


 心配のしすぎだったかな。俺が何もしなくても、桜子とか、ここにいる人達に危険が及ぶ事は無かったかも知れない。


 そんな事を考えていると、急に後ろから首に冷たいものを当てられた。


「ひゃん!」


 驚いて振り返ると、そこにはグラスを持ったほのかがいた。


「ちょ、急に何すんだよ」


「いや…………お客様はさっきみたいな事をいろんな人に言ってるんですか?」


「聞いてたのかよ。てかさっきみたいな事って?俺なんか特別な事言ったっけ」


 桜子との会話を思い返して見るけど、普段と同じような会話だった。


 俺が頭にはてなマークを浮かべていると、


「はぁ、なるほど………お客様はそういう人なんですね」


 そういってふてくされた様な顔をしてグラスの液体に口を付ける。


 それお酒じゃ無いだろうな?…………てか、あれ?


「お前顔色悪くないか?」


 ほのかは具合の悪そうな顔で、よく見たら左手はお腹を押さえている。


「よく気がつきましたね。何を隠そう…………食べ過ぎたんです」


「何やってんだ」


 俺が呆れていると、ガッと近づいて来て俺の襟を掴むほのか。


「何やってんだじゃないですよ!お客様のせいでクビになって、これはやってられねぇと思ってやけ食いしようとしたら…………見てくださいよこの料理達を!!」


 そういわれてテーブルの上に目を向けると、そこにあったのは見た事も無い食事の数々だった。


 なんかヌメッとしたものとか、バキッとしたものとか、あそこにあるのは思いっきり眼球だよな。…………え?怖い。


 そういえば早川先輩が、世界中の珍味を集めたパーティだとか言ってた気がする。だからか。


「もう、一口食べただけで吐きましたよ!せっかくこんな高級パーティに参加するチャンスを得たのに、金持ちはやっぱり美味しいもの食べ過ぎて向こう側にいっちゃってます!」


 メイドとは思えない発言だな。あ、元か


「それで、唯一食べられそうなあの海藻の山をもっしゃもっしゃ食べていたら、突然お腹が鳴り始めて…………うっ」


 そういうと突然お腹を押さえ始める。…………これは()が来たな。


 俺が可哀想な人を見る目でほのかをみていると、恨み節をぶつけてくる。


「もう、どうするんですか…………お客様、責任とってくださいよ」


「責任って…………あ、一個思いついた」


「なんですか?」


「いやさ、頼めば二条の奴が雇ってくれるんじゃないか?ほら、あいつなんだけど……」


 俺は同じテーブルのご婦人達に囲まれて、笑顔で会話をしている二条を指さす


「あいつ、この家の数軒隣に住んでる、金持ちなんだよ。だから頼めば雇ってもらえるとおも…………」


「本当ですか!?」


「な、何だ急にがっついて」

 

「だって、あのイケメンのメイドになれるんですよ!?がっつかない奴がいますか?」


「いや、まだ決まった訳じゃないし断られるかも…………」


「こうしちゃ居られない。早速挨拶を」


 そういって二条に向かって走り出すほのか。


 しかし途中で止まった。


「…………どうした?」


 ほのかは油を差していないロボットのようにぎこちなく首をこちらに回す。


「ビックウェーブが…………ビックウェーブが来たでぇ」


「なんだその言い方」


 ほのかはそう言い残すと、変な歩き方で会場の外へと歩いて行った。


 …………トイレだな。


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