NEXT?
これはもしかしたらのお話です。
■予告
――昔々、あるところに。
世界がありました。
宇宙がありました。
生きているものがありました。
でも、滅んでしまいました。
――やがて、時間が流れ、何者かの手によって全てが再構築されました。何もかもです。
一巡したみたいに。
世界が産まれ、宇宙が産まれ、生きているものが産まれました。それからさらに時間が流れます。
そして、ある少年と少女が産まれました。
――物語は、それからもう少ししてから始まります。
「少年、チューしようよ、チュー」
「もうちょっとロマンチックに言えませんか?」
「少年、セックスしない?」
「本気になっちゃうから止めてくださいってば」
「少年」
「ここに少年という名前の少年はいません。ってか、もうそろそろカイルって呼んでくださいよ、チーサさん」
「やだ」
「やだって」
「まだ、恥ずかしいし……」
「……んもう」
「やだやだー、私、少年とイチャラブセックスしたいの!! ぐっちょんぐっちょんな孕ませプレイしたいのよ。少年専用な肉奴隷で便器なのよ、わかれよーーっ!! わかれってのよーーっ!!」
「チーサさん、病院に行きましょう。大丈夫、僕が着いていきますよ」
「――ねぇ、私のこと、守ってくれる?」
「僕は強くなりたいよ。ヒーローになれるくらいに」
「私は少年のこと好きだよ。ずっと一緒にいたいくらいに。いつまでも、いつまでも、楽しくやりながら、生きていたいんだ」
「――そう言って笑う、彼女のことが好きなんだ」
「ねぇ、それって贅沢な望みかな」
「――そんな当たり前のことを、夢みたいに願っている」
どこか別の場所。
怪物のような男が嗤う。
ある少女――チーサを汚そうと、醜悪に嗤っている。
「女は、みんな俺様の食い物だ。それをあの女、刃向かいやがって、女の分際で、分際のくせに」
「俺様を殴りやがった。馬鹿にしやがった。許せねぇ。許せるわけがねぇ。俺様に逆らうなんて大罪を犯しやがった」
「生きていることを後悔させてやる。あの女の運命だからだ。それをキッチリと傷口に擦り込んでやる」
かつて彼女が退けた脅威が、過去が、もう一度迫り来ようとしていた。
少年カイルの力では叶わない。
けれども。
だからって、何もしないのは御免だ。
「――ふざけんなよ、小悪党。お前なんかにくれてなんかやるもんか。踏みにじらせてたまるか」
「お前の時代は終わったんだよ、元英雄。時代遅れの暴力装置。変態老害野郎。来いよ、かかってこいよ。じゃなくても、こっちから潰してやる。仮に殺されても生き返って必ず殺してやる」
「――だから、安心してかかって殺されろってんだ、クズ野郎ッ!!」
現実は理不尽だと思うけれど。
大抵は物語みたいに上手くいかないけれど。
――でも、僕はハッピーエンドが好きなんだ。
「私は、幸せな世界が欲しい」
「僕は、ただ我慢できなかっただけなんだ」
陳腐かもしれない。
ありふれてるかもしれない。
もうとっくに飽きられてるかもしれない。
そんなの知ったことじゃない。ご都合主義だとしても大歓迎だ。僕はそれが欲しいんだ。
夢みたいな物語が、僕たちには必要なんだ。
世界中がハッピーエンドで埋め尽くされてしまえってくらいに、いっぱい願いたくなる。
そして、願うために走り出すんだ。
最大幸福なハッピーエンドを求めて。
「大好きだよ、チーサ」
「愛してるよ、カイル」
これは僕と彼女の物語であり。
――僕の物語の始まりが、始まる物語だ。
題名
『少年カイルの冒険1 ~始まりは薬草拾いから~(仮)』
ああ、でも。
けれど。けれど。けれども。
ハッピーエンドの前に、障害は付きものだ。
辿り着くまでの過程に、不幸な分岐が存在する。
可能性が存在する。
他者による妨害が存在する。
そして、そもそもこの物語は始まりなのだ。
終わりは遠くに。
多々ある絶望は今もまだしぶとく生存中だ。
きっと苦しいことも、哀しいことも、残酷なことだって、その世界にはまだある。救いようがないことが。
でも、だからこそ。
少年は前を向いて、立ち上がって、吠え続ける。
今日より明日が素晴らしくありますように。
きっとこれは、そんな物語。
――少年が、ヒーローになる大冒険の物語だ。
「――さぁ、理不尽なハッピーエンドを始めよう」
ちなみに、ハッピーエンドと書いてハーレムエンドと読む。
「どういうことなの……」
いずれわかるさ、ということで第一章・構想中。
――ポシャったらゴメンね。
ここまでお付き合いありがとうございました。
この物語の続編か、或いは世界観が繋がっている別の物語か。
そんな別の機会に、またお会いしましょう。




