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SCENE 10『かみさまはいつだって優しい嘘をつく』

 私は何をやっているんだろう。

 人をたくさん殺しまくった今でも、そんなことをたまに思い出したように考えることがある。


 単純に言ってしまえば、世の中に復讐しているんだと思う。理不尽なことに人生を狂わされて、色々と嫌な目に遭ったりして、その分の恨みを晴らしているんだと思う。


 でも、どうしてだろう。

 どうして私は、何の罪もない人も殺すようになったんだろうか。かつての私みたいな弱者を。


 どこにでもいそうな夫婦を殺した。

 かつて私に優しくしてくれた雑貨屋さん夫婦と似た雰囲気の人だった。


 どこにでもいそうな女の人を殺した。

 かつて仲が良かった酒場のマスターを連想させるような人だった。


 どこにでもいそうな少年を殺した。

 かつて私が愛した少年と同じような年頃で、優しそうな顔をしている人だった。


 どこにでもいそうな赤ん坊を殺した。

 かつて私が愛そうと決めた赤ん坊を同じように、何も知らないような顔をした、未来がある子供だった。


 どこにでもいそうな人たちだった。


 でも、私は殺してしまった。殺して殺しまくった。問答無用。命乞いは聞く耳持たず。まるで装置みたいに。


 どうしてだろう。

 どうして、私は彼らまで殺しているんだろう。


 わからないまま考える度に、根本的な疑問が湧き上がってくる。そもそもどうして人は死ぬんだろうか。

 それも、悪人よりも善人から死んでしまうのは。

 どうして、本当に素晴らしい人から死んでいくんだろう?


 今までずっとそうだった。

 生きていた方が良いと思えるほど良い人や素晴らしい人ほど先に死んだり殺されたりして、死んだ方が良いようなクズみたいな悪人ばかり生き延びている気がする。


 世の中を見渡しても、そういったケースが多いような気がして、私はますますわからなかった。

 どうしてなんだろう。


 もし仮に、人に死ぬ順番というものが割り振られているのなら、どうして悪人が先に死ぬようになっていないんだろうか。私の好きな人ほど先に死んでいくんだろうか。


 私を犯した人は、今もまだ生きているのに。あんなに酷いことをしたのに死んでない。そんなのおかしい。不公平だ。


 最初は私だって信じていたんだ。

 いや、本当は信じていたんじゃなくて、信じていたかったんだと思う。この世の中の摂理だとか仕組みだとかを。


 悪いことをした人は、悪いことをした分以上に裁かれる。

 例外はなく、絶対に裁かれるのだと。


 それを繰り返したりしているうちに、世の中は少しずつ良くなっていくんだと。多少の争いとかはあったりするけど、死んだり殺し合ったりせずに、それなりに平和を維持して、みんな幸せに生きていけるようになるんだって。

 そんな風に信じていたんだ。


 なのに、どうして、本当に悪いことをした人が裁かれないようになっているんだろう。そんなのおかしいよ。絶対におかしいはずなんだ。


 優しい人が死んでいく。楽しい人が死んでいく。好きになった人が死んでいく。好きになれそうだった人が死んでいく。罪もなかった人が死んでいく。

 そんな嫌なことばかりが延々と続くんだ。


 どうしてなんだろう。

 私にはわからない。わからないんだ。


 ――どうして、この世界は平等じゃないんだろうって。


 だからかもしれない。

 私は平等が欲しかったんだと思う。

 全ての人間に同じくらいの価値があって、その価値の質や量で差別されることもなくて、ちゃんと真っ当に世の中が動くような、そんな平等さが。


 だから、私は殺してるのかもしれない。

 全員殺せば、全ての差別が無くなって、完璧な平等というものがやってくるのかもしれないって。

 ――もちろん、冗談だけど。






 ある時、何の脈絡も無く、人の魂がどこに納められているのか知りたくなったので、死体の中に人差し指を突っ込んだ。


 くちゅくちゅくちゅ。

 殺したてのほやほやで、まだ内臓がじんわり温かい。もうすぐ冷たくなるだろうけど、今はこの温かさが少しだけ心地良かった。

 やっぱり生きている人間を殺すのは良い気持ちだ。無駄がないことをしている実感が湧いてくる。

 などと感慨に耽っていたところで、何をしようとしていたのかを思い出した。そうだった。忘れてしまうところだった。

もう私ったらドジっ娘なんだから。うふふ。


 くちゅくちゅ。

 内臓を掻き分けて、指先でつまみ出すように心臓を引っ張り出してみた。よく例え話か何かで、心はハートに宿っていると聞いたことがある。だとすれば、魂がそこに納められているのかもしれない。魂は心であり、心は魂である。つまり魂は心臓の中にある。


 なんて自分でもよくわかってないことを考えながら、死んだ心臓を弄くり回しているうちに、ぷちゅっと潰してしまった。しまった、力加減を間違えてしまった。失敗、失敗。


 でも、まぁいいや。

 どうせ心臓に魂なんてものがあるなんて、本当は信じちゃいないんだし。どうせ血液を循環させる重要なポンプでしかないのだよ。ははは。


 次に行こう、と今度は脳みそを引っ張り出してみた。ぶよぶよで灰色だ。しわくちゃの老人みたいな形をしている。

 心臓に魂がないのなら、きっと脳の方にあるはずだ。何せ脳は肉体を動かす重要な箇所だ。それに何より、人間の思考を司る部品でもある。思考すると言うことは、魂の存在を自覚できる箇所であると言うこと。つまり魂は脳にあるはずなのだ。

 さて、結論はいかに。


「――あっ」


 また力加減を間違えてしまった。摘まんでいた脳みそが、ぶちゅっと虫を潰した時みたいに潰れてしまっている。鬱陶しく飛び交う蛾を潰したり、台所に現れる忌々しい黒い例のヤツを踏み潰した時のような感触そっくりだった。


 ああ、もう。

 何かに喩えたりなんかしてるから、本当に虫を潰したみたいに思えてきちゃった。おえぇぇぇ。ばっちいったらありゃしない。

 色々と気持ち悪くなってきて、私は潰した脳やら心臓やらの欠片を死体に擦り付けて、そこら辺に投げ飛ばした。


 魂がどこに納められているのか知りたい、なんて言ってたのも遙か昔。本当は死体に触れるのもそんなに好きじゃなかった。実感を得るなんてのも嘘だ。どれだけ殺しても、胸の奥が空っぽのまま続いてる。


 ふと、私は周囲を見渡した。

 そこは王都に近い街だった。以前訪れた時は、都心の流行が流れ込んでくる、それなりに賑わっていた場所だったと思う。あそこで食べたアイスが美味しかったっけ。


 ――でも、今はもう誰もいない。


 生きている者はいないのか。私は街中に響き渡るような声を上げて、返事を求めるように問いかけた。

 生きている人はいませんか。いるのなら姿を見せてくださいな。誰もいないから寂しいんです。話し相手になってください。お話ししましょう。


 その後に、楽になるように殺してあげます。

 だからどうか、生きているなら生きてるっていってくださいね。お姉さんとのお約束ですよ。


「……」


 なんてことを言ってから、数秒だけ待ってみる。

 三、二、一。雑音も逃さないように耳を澄ませてみたけれど、どこからも返事はなかった。

 やっぱり、この街には生きている人間は誰もいないらしい。


「……」


 私は足元を見つめた。

 視界の中には、血塗れになった街の全てが映っている。

 ほんの少し前まで生きている人で賑わっていたその街は、今となっては死者の祭りの真っ最中だった。


 道端に転がるゴミのように人が死んでいる。どれもこれもが私によって殺された、言うなれば他殺ばかりだった。


 どれもこれもが、肉体を損壊したことによって、肉やら骨やらが剥き出しになり、元の姿がどんなものだったのかわからないくらいに血塗れになっている。


 例外はあるけど、それはそれ。頭部がどこかに飛んでいったものとか、ほとんど炭になっているものとか、挽肉どころか液体みたいになって地面に吸い込まれているのもあるけれど、大して違いは無い。みんな死んでいる。死んでいるならそれで良いのだ。


 私は深く息を吸って吐いた。噎せ返るような血の臭いがする。なんだか錆びた鉄を口や鼻の穴に突っ込んでしまったみたいで、気持ち悪い。吐きそうだ。おぇっ。


 やっぱり私の肺活量は以前よりも大きく変わってしまったらしい。今ではちょっと深呼吸しただけで、この有様だ。空気に溶け込んだ血の臭いをいっぱい吸い込んでしまう。あんまり好みじゃないんだけどなぁ。


 でも、仕方ない。

 私は、こんな身体に変わってまで、理不尽そのものに復讐することを選んだのだから。


「……」


 自分の手を見る。

 以前は小さかったその手は、今となっては大人を数人ほど掴めるほど大きくなっている。手の平は血塗れだ。さっき泣き叫んでいたのを握り潰したところなのだから。


 続いて、しゃがみ込んでいた足を見る。これも以前より遙かに大きくなっていた。まるで巨人の足だ。靴が履けなくなって裸足のままな足の裏を見てみる。人間の骨が何本か小骨みたいに刺さっていた。ちょっと痛い。


「……」


 瞬きをする。

 それにしても、なんだか不思議な気分だ。

 少し前まで私は眼鏡を日常的にかけていた。それが無ければ視界がぼやけて見えるほど視力が弱かったからだ。だからもう身体の一部みたいなものになっていたと思う。


 それがどうだ。

 今の私は、裸眼で全てがハッキリと見えている。遠いところは少し目を凝らさないと難しいけれど、今までと比べると世界が少し変わったように感じられた。


 どうやら巨大化の際に視力も強化されてしまったらしい。ちょっと嬉しい誤算だった。

 それはそれとして、少しだけ寂しいと思う。

 もう私は眼鏡をかけることが出来ない。物理的にかけることが出来ないし、眼鏡を必要とする理由も無くなってしまった。視力の悪かった、かつての私には戻れない。

 本当に、私は変わってしまったのだ。


「……」


 立ち上がる。

 それから周囲を見渡す。

 私は、足元にある小さな街を見下ろした。ここから見ると玩具みたいに見える。まるでミニチュアの街だ。


 でも、この町の住人たちはさっきまで生きていた。

 玩具みたいに小さな街の中で、蟻のような虫みたいに。赤い血潮を体内で循環させながら。

 確かに、生きていたのだ。


「……ば」


 ふと、声が聞こえたような気がした。

 とても小さな囁くような声だ。おかしいなぁ。待ちの住人は殺し尽くしたはずなんだけど、と首を傾げてしまう。


 でも一応聞こえたので探してみる。声の主はすぐに見つかった。二・三歩先にある瓦礫の下からだ。

 どうやら、さっきまで気絶していたらしい。今になってようやく目が覚めて、私のことを認識したらしい。なるほど。それなら納得だ。

 ところで、何を言おうとしているんだろう?


「……ば、化け物」


 化け物。

 こう来たか。

 この男は、私の姿を見て化け物だと言った。その言葉には色々と意味はあるけれど、ネガティブな意味で言ったんだろうなぁと思う。


 化け物。


 そうだ。今の私は化け物そのものだ。

 私は自分の姿をもう一度確認する。何でも掴んだり潰せそうな大きな手足。とても遠くのものまで認識可能な目と耳。人間を一人くらい丸呑みできそうな口と喉。着れる服がほとんど無くて全裸のままの我が肉体。


 物語に出てくる巨人のような姿になって、私はこの世界に立っている。まるで世界を滅ぼしにやって来た神様みたいに。


「……」


 この身体を手に入れたことに、大した何かがあったわけじゃ無い。

 復讐として色々なところに喧嘩を売っていたら、たまたま手に入っただけ。


 気が付けば肉体改造の研究所を襲撃していて、たまたまそこで人間のサイズを変える研究をしていて、その研究結果を殺して奪い取って、巨大な力を得ること出来た、なんてつまらない話があっただけ。


 本当につまらないから、省略したけど。

 もしこれが物語だったら、そこのところをじっくり書けよとクレームが入るところだろうけど、あいにくのところ私は現実に生きる女なので、つまらない記憶は省略するしカットするし忘れてしまう生き物なのだ。


 大事なのは、私が世界に復讐する力を得たという事実だけ。もしこれが物語で、仮に読者がいるなら、それだけわかってくれれば良い。いないと思うけど、一応念のため。

 ――いつか訪れる結末まで、見届けてくれるのなら。


「……」


 それはそれとして。


「化け物呼ばわりは酷いと思うんだけどなぁ」

「た、助けてください……殺さないで、殺さないで……」


 とりあえず安心させてみようと声をかけてみるけれど、瓦礫の下の男は怯えて命乞いをするばかりだった。


 本当にもう失礼な人だなぁ。まぁ助けてあげないし、殺すけれど。よく見たら見覚えのある顔だし。誰だっけ。


「お、お願いです……わ、私が悪かった……は、反省してます……×××××様を犯したこと、い、今でも本当に……い、いつか必ず罪を、償いますからっ……ですから、どうか……どうか……お許しください……殺さないで、ください」


 命乞いの声を聞いているうちに思い出してきたぞ。以前私を犯した連中の一人だ。どうやらちょっとは悪いことをしたって自覚が出来てきたみたいだね。

 それなら良し。

 私は、片足を上げた。


「あ、ああぁぁぁっ! 許して、許して、くださいっ! お願いします、お願いします、必ず罪を償います、ですからどうか、どうか殺さ――ぶぎゅ」


 そして、瓦礫の上から踏み潰した。

 これでもう何も聞こえてこない。生き残りを一人始末できたようだ。


「これにて一件落着」


 ついでに街中を焼き払って、間違って生き残っていた人間を可能性ごと炭にして、そこでようやく一息ついた。

 面倒なことをしたせいで肩が凝る。

 なんだか、とても疲れたような気がした。

 昼寝したくなる。


「でも、まだやらなきゃ」


 本当は、ここで少し休んでおきたいけど、いつ時間切れが訪れてもおかしくない。

 私は、自分に発破をかけてから方角を確認して、再び歩き出した。目指すは王都。私にとって全ての苦しみが始まったあの場所へ。

 復讐を遂げに。


「――」


 廃墟と化した街を出ながら、私は思い出す。

 あの港町を虐殺の末に廃墟にしてから、数え切れないほどの人を殺してきた。

 通りすがりに寄った全てを、この手でたくさん殺してきた。老若男女関係なし。目についた順番から、片っ端に息の根を止めてきた。赤ん坊さえも。

 差別無く平等に、殺してきたつもりだった。


「――てぇ!」


 街を出てから数歩歩いたところで、遠くで誰かが叫んだような声が聞こえてきた。

 なんだろう、と思っていると、青空で何かが小さく光ったような気がして――反射的に防御魔法を発動していた。目の前にバリアを展開する。


 数秒遅れて、何かがバリアに立て続けに着弾した。連鎖的に爆発する。煙と炎が飛び散った。


 あーうん。どうやら遠くから攻撃を受けているらしい。そういえば、以前襲撃した研究所に、戦争に備えて爆撃用の兵器を開発していた、なんて書類っぽいのがあったような。

 まぁ、私には無駄なんだけど。


「――撃て、撃て! 化け物を殺せぇ!」


 次から次へと爆弾が放たれては、バリアに弾かれて爆発していく。もちろん私は無傷のままだ。無駄な悪足掻きご苦労様といった具合である。


 とはいえ、いくら無敵だからと言って、爆弾を受け続けてやれるほどおおらかな性格ではないつもりだ。うざいし。

 着弾した角度から、大ざっぱな方角は掴めている。魔法で視力を強化しながら、向こうにある小さな――今の私にはそう見えるだけで、本当に小さいかはわからない――山へと意識を集中させる。


 開けた場所――いない――山の頂上――そこにもいない――生い茂る木々の隙間――いた。

 そこには、森の中で木々に隠れるように兵器を構えている者達がいた。服装はどれも軍服だ。


 どうやら、色々と被害が大きくなりすぎて、お偉いさん方がようやく重い腰を上げたらしい。遅すぎる気がするけど。

 この方角を進めば、王都まで一直線だ。色々と人が多すぎる場所に辿りつかないように、ここで殺しておきたいらしい。まぁ避難するのも大変そうだしなぁ。


 それにしても、私が何か言ったりする間もなく、即攻撃して殺そうとするなんて、これまで性欲塗れだった人たちにしては珍しい話だね。現実を見るのが遅すぎたのかもしれないけど。


 ま、いいや。

 私は、色々と面倒くさい気持ちになってきて、おざなりに魔法を詠唱して発動した。バイバイ。

 兵器を構えていた軍人たちがいた場所が、次の瞬間には火の海に変わっていた。ついでに兵器か何かに引火したのか、連鎖的に爆発している。どう見ても山火事であった。


 はい、これでおしまい。

 便利な身体になったものだ。魔法を使えば、思った以上に火力が出てくれる。デメリットはあるかもしれないけど。

 何にせよ、タイムリミットが来るまでに皆殺しにするだけだ。


「さてと」


 私は、誰も邪魔する者がいなくなったことを確認すると、改めて王都に向かって歩き出す。

 復讐しようと決めた時から、ずっと考えていたことがあったから。絶対にそうしようと。そうしないといけないって。


 全ての元凶を殺してやろう。


 私の運命を狂わせて、たくさんの理不尽で潰してきて、我が子と少年を殺しやがった、あの男を。

 クソッタレの王を殺してやる。

 ――だから今、歩いている。


「おっと、これ以上先には行かせないぜ、×××××ちゃんよぉ。俺様は強いんだからなぁ」


 途中、冒険者に襲われた。どっかで見たことがあるなと思っていたら、女癖が悪いが伝説の魔物を退治したとかで有名だったのを思い出した。

 どうやら、私にかけられた賞金が目的らしい。はたして、いくらくらいなんだろうか。どうでもいいけど。


「金のために死――ぶぎっ」


 高そうな剣ごと踏み潰したらあっさり死んでしまった。

 英雄候補も、死ぬ時は呆気ないものなんだね。碌な遺言も残せずに死んでしまった。


 足の裏にこびり付いた挽肉を地面に擦り付けてから、歩くのを再開する。

 しばらく歩いていると、今度は老人の姿が見えた。


「これ以上は通さん。わしの大魔術で楽にしてやるわ」


 老人はそんなことを言いながら、ふわふわと宙を浮いていた。飛ぶというよりは、空中に立っているって感じ。

 杖を手に魔法を詠唱している。ブツブツ言ってるのが聞こえてきた。これは氷の魔法かな。


 それにしても、この老人の顔、どっかで見たことがあるはずなんだけど、どこでだったっけ。うーん。どうでもいいか。


「食らえ、わしの氷魔ほ――ほぎゃっ」


 色々と隙だらけだったので、地面に叩き落としてしまった。自殺願望でもあったんだろうか。わかんないや。

 あ、よく見たら、まだ生きているみたいだ。ぴくぴくと身体を震わせて、必死に顔を上げようとしている。蛙みたいだね。


「ぐ、ぐぎっ……ぎっ、わ、わしの、魔法を……ぎゃっ」


 まだ何か詠唱しようとしたっぽいから、今度こそと踏み潰してトドメを刺しておいた。これで一安心。

 また足の裏が汚くなっちゃったけど、色々と面倒くさくなってきたし、次もこれでトドメを刺すことにする。大丈夫。多分綺麗な水で洗えば綺麗になるはずだから。


 あ、そうだ。今になって思いだした。

 このペチャンコ老人死体は、大魔法使いとしてその名を轟かしていた人だっけ。今の魔法技術を体系化したとかなんとか。

 かつて私の通っていた魔法学校の授業で取り上げられていたから知ってる。

 名前は忘れちゃったけど。

 ま、どうでもいい話だよね。


「へぇ、面白ぇ女だ。俺様を満足させてくれよ――」


 次に、筋肉モリモリの男が姿を現した。

 なんというか、あらゆる暴力を極めた感じの男だ。滅茶苦茶強そうである。気のせいかもしれないけど、オーラっぽいのが見えるような気がしないでもない。

 うん、まぁ、殺すけど。


「ふぎっ、ぎゃっ、が、あ、あ、あへっ――ぴゅっ」


 男の足を掴むことが出来たので、何度も繰り返すように地面に叩き付けた。

 最初は骨が折れるような音が混じっていたけれど、段々ほぐれてきたせいか、果物が潰れるような音になっていった。

 擬音にすると、ぺったんぺったんって感じ。


 あ、今、頭部がどっかに飛んで行っちゃった。


 そんなになっても首無し死体はまだ原形を留めている。思った以上に頑丈な死体だった。そういえばこの人って、この国で一番強いっていう格闘家だったっけ。なるほど、ふーん、それなら納得かもしれない。


 というわけで、もう一度ぺったんぺったん。

 あっ、もうミンチになっちゃった。


「……」


 それにしてもまぁ、人類はよっぽど必死らしい。

 私を殺すために、色々な大物を呼んで来るだなんて。まぁ国の防衛の要である軍を大々的に動かしていたのだから、お偉いさん方にとっては超が付くほど大事なんだろうけど。


 まぁ、何にせよ大魔法使いを殺したのだから、これで諦めてくれると楽になる。死を受け入れてくれる。もしこれ以上悪足掻きされたら、面倒この上ない。


 諦めてくれるかなぁ。

 諦めないだろうなぁ。


 もし私が攻撃される側だったら、黙ってやられようとは思わない。多少は諦めるかもしれないけど、ただでは死んでやらないと牙を剥くと思うのだ。


 だから、彼らはまだ生きることを諦めずに、抵抗するためにどんな手段でも使おうとすると思う。本当に面倒くさいことになりそうだ。


 たとえば他の大魔法使いを総動員とか。クソッタレな世界のくせに、そういう実力者とか割といるからなぁ。

 どうなるにせよ、最後には全員纏めてぶっ殺すことに変わりは無いんだけどね。

 ――なんてことを考えながら歩いているうちに、現在の目的地である王都に辿り着いた。


「あれ?」


 おかしいなぁ。

 考えごとしながらだけど、それなりに歩いていたはずだ。だから、もう何回か途中で攻撃を受けるものかと思っていたんだけれど。


 どうしてだろう、と首を傾げつつ、もしやと後ろへ振り返ってみる。

 いくつかの死体らしき残骸が点々と転がっていた。

 どうやら考え事に夢中になりすぎて、彼らの存在に気が付かないまま無意識に殺していたらしい。


 まったく気が付かなかった。

 自分の身体をぺたぺたと触って確認してみるけど、擦り傷どころか痛みすら無い。防御魔法は途中で切れている。完全に無傷と言っても良かった。

 なんということでしょう。

 どうやら、今の私は無敵になったらしい。


「つまり私は神になったのである」


 冗談を言えるくらいに、楽しくなってきた。

 私は神である。神は全知全能の存在として知られている。前納ということは、無敵ということだ。傷付かないし、殺されないし、死なない。ようするに究極生命体。この世全ての頂点に君臨する存在になったのである。ははは。


 そう考えると、調子がついてきた。


 控えおろう人類ども。私は神である。今ここに罪深き貴様らに天罰を下しに来た。例外は無い。今まで貴様らが生きてきたこと自体が間違いだったのだから。


 だから殺す。殺してやる。


 地獄への道が善意で舗装されているだろうから、悪意で舗装した道を通して天国へ送りつけてやる。だから安心して死ぬが良い。死ね死んじまえ。あはははは。


 ほどよく頭が狂ってきた。

 何もかもがおかしくてたまらない。


 私が本当に神様みたいに思えてきた。悪人に天罰を下せなかったり、理不尽を理不尽なまま放置していた無能な神様に変わって、私が席を奪って成り代わったんじゃ無いかって。無能は死にました。やったね、チーサちゃん。あはは。


 一通り笑ったところで、急に気分が冷めてきた。

 どうやら気が大きくなりすぎて、一時的に気が狂っていたらしい。慢心は駄目。

 やっぱり巨大化したのが不味かったんだろうか。身体は大きくなったけど、脳の大きさはそのままだったりして。もしそうだったら怖いなー。

 でも、怖がるのは、全てを終わらせてからだ。


「――」


 私は、改めて前を向く。

 かつて暮らしていた王都がそこにある。

 あそこでは、色々なことがあった。楽しいこととか嬉しいことがちょっぴりあって、それを踏みにじるほど嫌なことがたくさんあった。

 今からそれを、全て潰しに行く。

 復讐するために。


「――来たか、×××××」


 ふと、声が聞こえてきた。

 遠い昔にどこかで聞いたような、ちょっとだけ尊敬していた人の声。私と同じ血を分けた誰かの。


「えっ」


 そして、次の瞬間、私と同じような外見をした少女が、空の向こうから舞うようにやって来た。

 空を飛んでいる。空の上を好きな速度で滑空出来る飛行魔法だ。鳥のような滑らかな動きで風を切って、泳ぐように飛んでいる。あれだけ飛行魔法に長けている魔法使いなんて、私の知る限り一人しかいない。

 やっぱりだ。間違いない。

 でも、なぜだろう。

 もしこれが物語だったら、彼女が出てくる伏線なんてどこにもなかったはずなのに。


「久々に会ってみたら、浅ましい姿になりおって」


 やがて、少女は私の近くまで降りてきた。

 目線に合わせるように、ぴたりと空中に立っている。

 私たちは互いに向き合っていた。目と目が合う。そこにいるのは懐かしい顔だった。

 懐かしいけれど、忘れてしまった顔だった。


「……お婆ちゃん」

「まったく、手間をかけさせる孫じゃ」


 私と同じような顔をした、血の繋がった祖母。

 年を取らずに、老いていくことも無く、とても長い間生き続けてきた存在。

 世に知られている大魔法使いの一人。

 そんな彼女がここにいた。


「――」


 忘れていた。

 でも、思い出した。

 本当に意味で、思い出したんだ。


「……っ」


 不愉快な感情が湧き上がってきた。歯を食いしばる。頭の中がグチャグチャになりそうなのを堪える。

 ああ、そうだ。思い出した。思い出しちゃったよ。あんまりにも嫌すぎて、血の繋がった人なのに、すっかり忘れていた。思い出すのも嫌だから忘れたのに。


 でも、大事なことも思い出せたよ。

 私が何に対して復讐しようと思ったのか。

 その一人を。


「孫がしでかしたことじゃ。わしが出張らねばな」


 お婆ちゃんは、杖を構える。

 暴走して殺戮の限りを尽くしている私を止めるために。それは誰のためにだろうか。わからない。

 ただ一つ、わかっていることはある。


「説教じゃ、覚悟するんじゃぞ」


 そして、彼女はそんな風に言う。

 まるで悪いことをした孫を叱りつけて、良い子にしようとしているみたいに。腹が立つ。


 腹が立つくらいに、彼女は何も変わっていなかった。

 まったく、ちっとも変わっていなかった。

 ――あの時、私を助けてくれなかった時と同じように。


「!」


 次の瞬間、私の身体に魔法がぶち込まれた。

 顔のあたりで爆発する。燃える。皮膚が焼け爛れ、筋肉が熱によって固まっていく感覚が伝わってきた。痛い。


 痛かった。

 事前に防御魔法はかけていて、攻撃されても大丈夫なようにしておいたはずなのに。予想外すぎて混乱しそうになる。


 落ち着け。

 回復魔法を詠唱して、顔を治癒しながら思考する。少しずつ痛みが引いていくと同時に、冷静さが戻ってきた。

 なぜ感じるはずの無い痛みを味わっているのか、原因を脳内でリストアップする。


 まず第一にお婆ちゃんが防御魔法を貫通するようなものを発動した。多分生き残りか何かから、防御系の魔法を使うって報告が届いたんだろう。それなら事前に対策くらいしてあるはずだ。


 そして第二に私が隙を見せていたからというのもある。これまでも防御魔法を貫通する魔法を唱えようとしていた連中と対峙していたが、その前に殺していた。だから今まで無傷で済んでいた。


 でも、今回はお婆ちゃんの姿に驚いて、先手を取られる形になってしまった。多分これが巨大化してから初めての痛みになる。だから予想以上に混乱してしまった。そういうことだ。


 よし。自己反省終了。

 私は、立て続けにやって来た二度目の攻撃を防御しながら、お婆ちゃんに向き合った。


 血の繋がった、可愛らしい外見のお婆ちゃん。

 でも、私は彼女を殺す。

 殺したいと思うくらいに、恨みもあったから。


「――なんて目をしている」


 お婆ちゃんが私の目を見ながら、呟くように言った。

 それは哀れみの感情が宿った声だった。目の前の存在を可哀想だとか思っているみたいな。

 なぜか、マウントポジションという単語が脳裏を横切った。


「×××××。我が孫よ。お前はいつから、そんな哀れな顔をするようになった」


 二度目の攻撃を仕掛けながら、彼女は言葉を続けてくる。まただ。また彼女は私を哀れんでいる。あの時みたいに。


 止めろ。

 あんたの哀れみ方は、馬鹿にしてるみたいで嫌いなんだ。

 彼女の魔法を振り払う。火炎が引き千切れて、雲や綿のように宙を舞って消えていく。


「――なぜだ」


 そして、問いかけるような声が聞こえて。


「なぜ、助けてくれと言わなかった」


 彼女は、そんなふざけたことを口にした。


「――」


 私の中で何かが、ガリガリと削れる音がした。

 忘れていた嫌な記憶を無理矢理引きずり出されて、傷口に擦り込まれているような気分だ。ようするに最低で最悪だ。


 またか。

 またあんたは、そんなことしか言えないのか。


「お前がどんな目に遭ったかは知っている。そして、それから逃げたということも」


 続けて、彼女が何か言ってる。

 何か。耳障りな何かだ。ひょっとすると声にすらなれなかった雑音だったかもしれない。


 どんな目に遭ったか知ってる、だって?

 悪い冗談にしか聞こえない。

 なのに、彼女はまだ悪い冗談を続けてくる。


「わしなら、なんとか出来た」


 なんとか出来た、だって?


「お前を助けることが出来た」


 助けることが出来た、だって?


「――だか、もう手遅れだ」


 今私がどんな気持ちか知ろうとしないまま、お婆ちゃんは魔法を詠唱し続けた。連続して発動する。全てを火の海に変えかねない爆発魔法。ああ、本当に彼女は私を殺す気だ。

 あ、しまった防御魔法が切れてる。


 かけ直す間もなかった。

 貫通し、直撃した。


 痛む。痛い。


 死ぬほど痛かった。ひょっとしたら、一度くらいは死んでしまったかもしれない。

 火傷塗れの顔がまた焼け爛れる。腹の一部分が吹き飛んで、内臓が剥き出しになる。右足が吹き飛んで、片足だけで立つ羽目になった。耳が千切れた。痛い。本当に痛い。死にそうだ。


 本当に死んじゃいそうになる。


 一瞬だけ、それも良いかなと思えてきた。ここで死ねば全て楽になれる。これ以上苦しい気持ちを抱えなくて良いんだ。それにもしかしたら、もうすでに死んでしまった人に会えるかもしれない。大半の人には恨まれているかもしれないけど、その時にはその時だ。死んでから考えてもいい。ああ、死ぬのが楽しみだ。

 でも、その前にやらなくちゃならないことがある。


「――まだ動くか」


 お婆ちゃんが驚いた顔をしている。

 そうだよ、まだ動くんだよ私って生き物は。死んでもいいやって思ってるくせに、やることが残ってるからって、生きるという苦行を継続させてるんだよ。

 誰でも良いから、少しは褒めて欲しいな。


「見ちゃおれん、楽にしてやる」


 お婆ちゃんが魔法を詠唱しようとしている。

 多分今度は、私の頭が吹き飛ぶような代物だろう。今なら殺せると踏んだらしい。


 そうだ。殺すなら今だ。

 今なら、簡単に殺すことが出来るよ。


 来いよ、お婆ちゃん。

 かかって来いよ。


「――今、お前を救ってやる」


 そして、お婆ちゃんは私にトドメを刺そうと魔法を発動する。私の頭を吹き飛ばしてぶっ殺す爆発魔法。

 私を救う唯一の方法。


 ああ、でも、けれども。

 ごめんね、お婆ちゃん。


 私お婆ちゃんのこと嫌いだから、まだ死ねないや。

 ――救済が為されるよりも先に、私の指が動く方が早かった。


「――」

「な、あ――が――ぐ」


 気が付けば、私はお婆ちゃんのお腹を貫いていた。

 人差し指で抉るように、お腹の皮膚を破って、内臓を潰しながら進んで、背骨を折りながら貫通する。

 その口から血と苦悶が吐き出されていき、少し遅れて重力に引っ張られるようにして地面に叩き付けられた。頑丈なのかまだ生きているらしい。


 可愛い可愛いお婆ちゃん。

 私と同い年にしか見えない、とっても偉大な魔法使い。

 かつては、とても尊敬していた。


 ――今は、苦しそうな顔が見られて嬉しいよ。


「が……げふっ、げふっ……×、×××……何を」


 お婆ちゃんが、血の混じった咳を吐きながら苦しそうに問いかけてくる。何もわからなくて、理解できないことへの困惑が混じったような声色だ。


 色々な疑問があるんだろうと思う。

 どうして、と混乱しているんだと思う。


 でも、それに対して私が出せる明確な返答があるとすれば、吐き捨てるような言葉だけだった。


「知ってただって? なんとか出来ただって? 助けてやれただって? 何言ってるのかな、お婆ちゃんは。自分で見捨てておいて、忘れてるのかな」


 私は、今でも覚えている。

 かつて男たちに嬲られていた日々の中で、路上に引きずり出されて、無理矢理裸にされていた時に。

 たまたま通りかかったお婆ちゃんが、なんて言ったのか。今でも覚えている。


 お前のことなんて知らないって言ったじゃないか。

 そりゃまぁ、自分の孫が露出狂になったと知ったら、他人面したくなるだろうけどさ。


「ぐっ……あ、ああ……そ、そうだ。わしは、そんなことを、言って、お前を……見捨てた」


 私の吐き捨てるような言葉に対して、お婆ちゃんは必死に答えようとしていた。瀕死なのに。


「だが、あとで色々と調べて……後悔、したのじゃ……お前の身に何があったのか、知らずに、あんな……ことを」


 お婆ちゃんは、どうやら自分の発言と行動を後悔しているらしかった。そして、反省して。


「そして、お前が、こんなことをし始めた時に……決めたのじゃ……ごほっ、ごぼっ、今度こそ、お前を助けてやる……救ってやるって、だから……ごほっ」


 ああ、でも、反省したのに変わっていない。

 お婆ちゃんは何も変わっていなかった。自分では何でも出来ると思ってる。魔法使いとしての名声を得て、伝説だとは言われるようになって。

 まるでかつての私みたいに。


「じゃあ、人を生き返らせてよ」


 だから私はそう言った。

 そうしてくれないと、私自身を救えないから。


「私を救いたいんでしょ? だったら、それくらいしないと。ほら、救いたいんなら早くやってよ。救うんでしょ? 救うんなら、それっくらい出来るんでしょ?」

「な、何を……言って」

「じゃないと、本当の意味で私は救われないよ。ここで私を楽にしたところで、それは偽善だよ。嘘だ。空っぽの自己満足だ。お婆ちゃんの気持ちがちょっぴり満たされるだけ」

「そ、そんなことは……」

「無いって? 本当に? だったら、有言実行してよ。私の好きだった人を生き返らせて欲しいなぁ。あの村に住んでる人を全員だよ。ほら、やってよ。これでも大魔法使いなんでしょ? 奇跡みたいなことが出来るって、持て囃されてきたんでしょ? だったらさぁ、ね。私のために奇跡でも起こして欲しいな」

「……」

「お婆ちゃんは、私を救えないよ」


 お婆ちゃんが可哀想な人を見るような目をしているけれど、私は至って本気だった。


 もし誰かが人を生き返らせてくれるのなら、あの村の人たちを全員蘇らせてくれるのなら、どんなに良いだろう。

 どんなに救われた気持ちになれるだろうか。


 私はあの人たちが大好きだった。大好きで愛おしくて、夢に出てくれば良い夢だと判別くらいに、好きだった。


 でも、あの人たちは死んでしまった。

 もう誰にも救えない。

 多分、私も。


 私はもうわかってしまったんだ。

 あの人たちが死んでしまった時に。

 お腹に残された子供も死んでしまった時に。

 好きだった人が、愛していた人が、全員死んでしまった時に。

 きっと私も死んでしまったんだって。


 ――ここにいるのは、復讐したいだけの抜け殻なんだと。


「じゃあね、お婆ちゃん。どうせなら、私が助けを求める前に助けて欲しかったよ」


 お婆ちゃんの治癒魔法を一通り妨害し、死ぬ一歩手前にしたところで、私は彼女に背を向けて歩き出す。


 彼女はもうすぐ死ぬ。

 私がそういう風にした。


 でも、トドメは刺さないことにした。一応血の繋がった人だし、そういう情が少し残っていた、という風に振る舞っておけば、それっぽく感動的に見えるだろうし。

 その背中に、お婆ちゃんが問いかけてきた。


「どうする……つもり、じゃ」

「みんな殺すことにしてるよ。私はね、もうこの世界に我慢できないんだ。善人は悪人よりも早めに死んでしまうようになってるし、死んだ人は生き返ってくれない。駄目な人ばかり生き残ってしまうような世界なんだ。そんなの未来が無いでしょ? だから、もう滅ぼした方が良いと思うんだ」


 答える。

 今考えていることをそのままに。


「人を滅ぼして……未来が、あるとでも? 救いに、なるとでも?」

「地獄を繰り返すよりマシだと思うよ」

「無意味な……ことを……」

「無意味なことをするのが人間なんだよ」

「お前は……狂っている」

「かもね」


 そして、お婆ちゃんの捨て台詞を浴びてから歩き出した。

 この先にある王都が、死人だらけの廃墟と化すまで、もう少し。ここを初めとして、世界の全てを死で覆い隠すのだ。


 お婆ちゃんに言われたことを反芻しながら、やっぱり私は狂っているんじゃ無いかと思えてきた。前々から自覚していたけど、ここに来てようやくシックリ来たというか。


 そうだ。私は狂っているのだ。


 狂っているから世界を滅ぼしたいと思っている。狂っているからみんな死んだ方が良いと思っている。どれもこれも理由が狂っているからなのだ。あはは。便利だなぁ、狂っているって単語は。狂っているって言ってしまえばなんでも許される気がするよ。


 思えば、お婆ちゃんとのやり取りも、狂っていると思うくらいに色々とおかしかったような気がする。突然のディスコミュニケーション。まぁ狂っているんだから仕方ないね。


 だから、私は世界を殺すことにした。狂っている人が狂っている世界を殺すのだから、皮肉が効いて良い感じになりそうな気がして。


 やがて王都に突入する。

 そこはまだいっぱい人が残っていた。逃げることが出来なかったのか、それともお婆ちゃんに色々と期待していたのか。

 どっちでも良いや。


 さぁ、私という神様の降臨だ。

 これから世界の再生を始めよう――。


 ――でも、その前にお婆ちゃんへ一言だけ。

 狂ってる世界をそのままにしてた人には、狂ってるって言われたくなかったなぁ。






 もう世界なんて滅んでいた方が良い。

 綺麗なものよりも、汚いものの方が多かった。多いと感じてしまう人生だった。

 胸の奥でキラキラと輝いていたものは、今となっては完全に色褪せて風化して、最後には灰のようになってしまった。


 もう戻らない。

 人生に価値はない。


 生きるということは苦しみの繰り返しだ。誰がそんなものを続けたいと思うのか。私にはもう理解できなかった。

 生きていたいと願う人たちが、言葉をしゃべる虫けらのように思えてくる。気持ち悪い。

 こんなにも苦しいことを延々と続けたいと思うなんて、正気じゃない。頭がおかしいとさえ感じる。


 いけない。差別的な思考になってきた。


 差別はいけないことだ。もしこれ以上差別的な思想が悪化したら、私は彼らと同じような存在になってしまいそうな気がする。ここにいる正気じゃなくて、頭のおかしい人たちみたいになる。だから差別はいけない。いけないことなんだ。


 いけない、ということは、差別という言葉も使っちゃダメなんじゃないかと思考が飛躍する。考えてみればそうかもしれない。差別という言葉があるから、この世は差別でいっぱいだったのだ。どうしよう、困ったなぁ。もう数え切れないほど差別って言っちゃったよ。差別主義者になっちゃう。


 それじゃいけない、と発想を転換させてみる。人を差別してはいけない。だから、もっとポジティブな言葉を使うことにしよう。あ、それっぽい言葉が出てきた。


 マゾだ。

 被虐的という意味。これなら、差別にならないね。良いね良いね、と納得したところで思考の流れを元に戻す。早速この言葉を使ってみよう。

 彼らはマゾなのかもしれない、って。


 考えれば考えるほど、私は彼らがマゾなんだと思えてくる。

 マゾじゃなかったら、とっくに自殺しているはずなのだ。生きていることが死ぬほど苦しいはずなのだ。なのに生きているということは、彼らがマゾであることに他ならない。

 マゾだから苦しいのに生きるんだ。苦しいことに悦びを感じるんだ。そう考えたら、しっくりくる。


 全人類はマゾヒスト!!

 だから、生きる苦しみが気持ちいいんだ。自分を満足させる苦しみがないと思うから死ぬことが怖いんだ。そうか。そうなんだ。あはははは。そうだったんだ!!


 ――本当に気持ち悪い。

 私はマゾじゃない。マゾじゃないからマゾのことが理解できない。理解したくない。理解なんかできない。気持ち悪い。


 なんで理解できないのかは、気持ち悪いからだ。


 気持ち悪いのは仕方ない。気持ち悪いのは不愉快だ。不愉快なものは邪魔でしかない。消えて欲しくなる。本当に気持ち悪い。気持ち悪いからいなくなって欲しい。死んで欲しかった。生きようとする人のことなんて、もう理解できなかった。


 だから、私は人々に死んで欲しいと思った。死んでくれれば理解できそうだし、この気持ち悪い感覚も遠ざかってくれる。お願いだよ。


 私は、あなたたちを嫌いになんかなりたくないんだ。本当は好きなままでいたいんだ。そのためにあなたたちは死んでなくちゃいけない。私が人々を好きなままでいるために、嫌いになんてならなくても済むように。


 あなたたちが死んでくれれば、私はあなたたちを理解できるかもしれない。理解したくなるかもしれない。だから死んで欲しくてたまらないの。

 もう誰かが生きているのなんて見たくないの。


 独りにしないで。

 あなたたちには私と対等になって欲しかった。引きずり上げて欲しいんじゃない。私と同じ地獄に落ちて欲しいんだ。

 私が受けたのと同じ苦しみを味わって、一緒に死んで欲しい。


 だから、私は皆殺しにすると決めた。

 自分でも狂ってるなぁと思う。いつから狂ってしまったんだろうか。或いは産まれた時から狂っていたんだろうか。もう誰に聞いてもわからないや。

 狂っていたけど、決めたのは本当のことだ。


 決めたから、動いている。

 動いてしまったからには、誰にも止められない。


 誰も死んでくれないから、自分の手が勝手に動き出す。しゃべる虫を掴み取って、少しずつ力を込めていく。

 王都に住んでいた人たちだ。とても必死そうに泣いたり喚いたりしながら命乞いしている。


 次の瞬間には、蟻みたいに潰れてしまったた。

 なんだか、少しだけ楽しい気がする。


 潰す。次から次へと潰していく。


 虫けらみたいな人々をプチプチと簡単に潰していく。地面が真っ赤に染まっていく。肉が埃みたいに積もっていく。


 遠視だからか、その光景はハッキリと見えた。


 ピンク色の内蔵が宙を舞う。千切れた大腸の隙間から大便が撒き散らされていき、透き通った青空の下でキラキラと輝いていた。あはは。なんだか星屑みたい。


 みんなみんな、煌めきながら死んでいく。

 誰かが泣いている。喚いている。まるでいつかどこかの私みたい。誰も助けてくれなかった私みたい。何も言えずに死んでしまった――私の赤ちゃんみたい。


 お願い。泣かないで。

 惨めだった私たちの代理みたいに泣かないで。


 ぷちゅり、とまた何かを潰してしまう。

 ふと気が付けば、力の制御が出来なくなっていた。何かに触れたら壊してしまうし、殺してしまう。形あるものが粉々になっていく。私の中にあった憐憫さえも。

 可哀想だという感情より先に、気持ち悪いという嫌悪感が沸き上がってきて、本当に私は駄目になってしまったんだと思った。悲しいね。悲しいよ。


 泣きたいな、って思った。

 思ったけど、泣けそうに無かった。


 無理矢理泣いてみようと、今までに泣いた時に辛いと感じたことを出来るだけ思い出してみる。

 それでも泣けなくて、私が住んでいた村の人たちや、雑貨屋の店長さんや奥さんのことや、好きだった彼のことや、死んでしまった赤ん坊のこととかを思い出す。


 でも、やっぱり泣けなくて。

 私は、大丈夫になってしまったんだと理解した。






 ――そして、それからしばらくして。

 私は、全ての元凶である王様をぶっ殺していた。


 色々な意味で長く苦しい戦いであった。

 王城を攻める前に住人たちの逃げ場を塞いで殺し尽くしたり、私を狩るために集められた戦闘のエキスパートたちの心をへし折っては殺したり、最後には王様をぶっ殺すためにチマチマと壊したり。ともかく強かったと言うよりは、色々と面倒くさかったという意味で、大変な戦いだったのである。


 とはいえ、王様を殺すのは簡単だった。

 何せ、この国が火の海に包まれていることに、まったくこれっぽっちも気付かずに、人権無視な奴隷への変態行為を働いていたのだから。馬鹿すぎてドン引きだったよ。


 おまけに、私を前にして尊大に振る舞っていたし。気まぐれで抱いてやった分際で妊娠しやがってとか、土下座して孕んでごめんなさいと謝罪しろだとか、男尊女卑塗れの差別用語満載なヤベーヤツであった。


 こんな王様でよく国がまとまっていたなぁと疑問に思えてくるほどである。実態は表面が綺麗なだけで、見えないところでは社会の闇でズブズブだったとか。少数派を切り捨てて平和にするスタイルだったらしい。予想は出来ていたけど。


 何はともあれ、最初こそ威勢が良かった王様だったが、段々現状を把握していくと顔を真っ青にしてしまい、最後には命乞いをし始めた。


 許してくれとか、金ならいくらでも払うとか、なんだったら裁判で無罪にしても良いとか、そういったことを山ほど。

 あんまりにも惨めに命乞いするものだから、ちょっと可哀想になってきたくらいだ。生き恥をさらして欲しい。


 でも、結局、私は王様を殺した。

 巨人のような右手で、人形サイズの王様を掴み取って、少しずつ力を入れた。助けて助けてと涙ぐむ声が聞こえた時に、私はそれを握り潰した。それでおしまい。滅茶苦茶呆気なかったね。


 思い返してみれば、彼を殺す動機や理由は色々とあったと思う。よくも以前に私を犯したなとか、目的のために村を焼きやがってとか、私が愛した人を殺しやがってだとか。


 それでも、一つだけ許せないことが出来たから。

 命乞いの際に王様は、私が最初に産んだ子に、もう死んでしまったあの子に対して、謝ってくれなかった。

 ――殺す理由なんて、それで充分だった。


「……」


 王様を殺した以上、もうここには用はない。

 私は王城から離れ、噴水のある公園にやって来た。懐かしい景色だ。以前来た時に比べると、至る所に死体が転がっていて真っ赤に染まっているけれど。


 こんな異常事態でも噴水は稼働していた。管理する人が死んでしまったというのに、平気な顔をして綺麗な水を放出している。たまに虹が出来るのが、寂しくて綺麗だった。


 ほら本当に虹が見えるよ。

 七色のようにも、九色のようにも見える帯が並んでいて、とても色鮮やかに感じられる。青空に少しだけ溶けているのが、いつ消えてしまってもおかしくなさそうで、ほんのちょっとだけ儚かった。宝石のようなお菓子みたい。

 黒ずんでいく血の海と一緒に見るとすごく綺麗だね。


「……お腹空いたなぁ」


 小さな虹を見ているうちに、お腹が空いてきたような気がしてきた。腹の虫がくぅくぅ鳴き始めている。もう胃袋の中は空っぽらしい。すっからかんで虚無だ。


 あー、お腹空いたなぁ。

 お腹空いたよぉ。

 あんまりにも、ひもじすぎて、腹の虫が私の身体を内側から食い散らかしてしまうんじゃないかって気がしてくる。このままじゃ、私の身体がグロいことになっちゃいそうだ。いやだなぁ。


 本当に、どうしよう。

 今の私の身体は、とても巨大だった。ちょっと歩けば建物が吹き飛び、人がいれば蟻のようにぺっちゃんこ。向かうところ敵無しなのは良いけれど、お腹を満たせるような物がほとんどない。


 気休めに終わると理解した上で、そこらへんに転がってる屋台からトマト系のスープを鍋ごと拝借する。熱々とまではいかないけれど、まだ温かい。コップを持つように口へと運んだ。数口で飲み干す。


 うん、美味しい。

 でも、これっぽちじゃ全然足りなかった。


 私の胃袋も巨大化したからだ。肉体が必要とするカロリーが桁違いに増えている。脳とか筋肉とか、色々な部位に大量の栄養を流し込まなければいけないのだ。

 しかも、以前のように身体を小さくさせることも出来ないのである。なんとも不都合な巨大化であった。


 どこの馬鹿だろうか。人体を巨大化する技術見つけたし、復讐するのに使えそうだからって、色々なデメリットから目を逸らして、本当に巨大化しやがった馬鹿は。


 私だった。

 自業自得であった。

 馬鹿は私だったのである。


 などとアホなことを考えているうちに、ますますお腹が空いてきた。このままだと腹と背中がくっつきそうである。

 腹の虫は、今もくぅくぅ鳴いている。いずれあまりの空腹っぷりに、ぴーひゃらぴーひゃらとか、ぐぎゃぎゃぎゃぎゃひーとか、そんな感じの狂った声になるに違いない。


 どうしたものかなぁ、と私は周囲を見渡した。転がってる屋台とか、比較的崩れてなさそうな料理屋とか、まだ食べられるものはありそうな気がする。

 でも、今の私にとっては、どれも量が少なくて不満足に終わりそうな気がする。しかも食い切ったらこれっきり。このままだと餓死してしまうに違いない。嫌だなぁ。


 そう思いながら、何か無いかなと周囲を見渡してみると、至る所に死体が転がっているのが目に入った。

 頭が潰れているもの、内臓がはみ出ているもの、手足が千切れているもの、挽肉みたいになっているもの、上手に焼けているもの、近くの水路でぷかぷか浮いているもの、粉々に吹き飛んで建築物の染みになっているもの。


 とにかく、そういった千差万別な死体の中に、いくつか綺麗なまま死んでいるのが転がっていた。どこにも外傷らしきものは見当たらない。心臓麻痺でも起こしたのかもしれない。


 そんな死体を見つめていると、食べ物がないのなら人間を食べれば良いのではって気がしてきた。

 考えてみれば、悪くないアイディアのような気がしてきた。人間の死体はたくさんあるし、多分これからも私が増やしていく。味はともかくとして、腹は満たすことが出来そうだ。


 誰かが料理したものとかは、口直しとして食べれば良い。

 うん、そう考えると、ますます悪くない。

 希望が見えてきた気がした。


 なお、私は正気である。

 かくして、私は死体を手に取った。食べる前に、じろじろと観察してみる。年相応の可愛い女の子だ。泣きながら死んだらしくて、目のあたりが赤くなっていた。


 あー、うん、ごめんね。

 代わりに、残さず食べてあげるから。


 はてさて、人肉の味やいかに。

 思い返してみると、人肉は食べたことがなかった気がする。自分から食べようとしたことも、誰かに食べさせられたこともない。よくよく考えてみると、とても不思議だった。


 なにせ、自分や他人の糞尿といったものを無理矢理食わされたことがある。食えないものを食わされたのだ。人肉というまだ食べられそうなものは未経験なのに。


 あはは、おかしいね。


 なんだか鬱になってきたので、思い出すのを止めて死体を食べる。海老の殻を剥ぐみたいに上着と下着を脱がせて、大きく口を開けてぱっくんと頬張った。

 初めての人肉食はいかに。


「…………おえっ……ぺっ、ぺっ、ぺっ」


 下処理をしてなかったのか、糞尿の味がした。

 吐き捨てる。

 ぺっぺと唾液を分泌させながら、舌にこびり付いた不味さを滲ませて、排除していく。


 地面に転がった女の子は、もう食べられないほどぐちゃぐちゃになっていた。三秒ルールどころの話ではない。こうなると大地に還らせた方が良い。もったいないね。


 やっぱり人肉って美味しくないものなんだね。血の味がして、なんだか生臭いし、味覚が拒絶してしまう。人間の食べるものじゃない。


 でも、とりあえずこの死体には謝っておこう。美味しく食べてあげられなくて、ごめんね。私の味覚は人肉食に向いてないみたいなんだ。


 私には、普通の食事が一番だ。もう無理そうだけど、改めて痛感したよ。お腹空いたなぁ。


 ――ふと、空を見上げる。

 どこまでも広がる青空の中を、千切れたような幾つもの雲が流れていく。かなり昔に食べた綿飴を連想させる。ますます腹が減ってきた。


 でも、気分が落ち着いてきたような気がする。

 青い空は、いつ見ても綺麗なままだ。この空は何も変わらない。変わらないまま、そのままでいてくれる。生きてもいなければ死んでいない。永遠みたいだ。


 もしも世界の全てが、空だったら良いのになと思う。私たちは生きてもいなければ、死んでもいなくて、ただずっと何も変わらないまま存在し続ける。


 悲しいことも、苦しいこともない。

 それは酷く退屈なことなんだろうけど、とても幸せなことのようにも思えるんだ。

 私は、もう疲れてしまったのだから。


「――よし」


 覚悟が固まってきたので、私は立ち上がった。

 背伸びをして、近くの店から食糧やらを根こそぎ奪って、食べれるだけ食べまくる。


 後先だとか計画だとか、まったく気にしない。

 見つけるだけ見つけては貪り食う、加工品は出来るだけそのまま、生のものは炙るように火を通して、とにもかくにも、かき集めては飲み込んだ。


 気が付けば、腹の虫は鳴くのを止めている。それもそうだ。胃袋に入るだけ詰め込んだのだから。これでしばらくは腹の虫によるスプラッタの危険はなさそうである。


 最初は早々に諦めてたけど、意外となんとかなるものなんだね。塵も集まればなんとやら。

 何はともあれ、準備は整ったのである。


「さて、人類が滅ぶのが先か、私が飢え死にしてしまうのが先か、確かめてみようじゃありませんか」


 私は歩き出す。

 廃墟になりたての王都を出て、次の目的地へ。


「待っててね。殺してあげる」


 私は君たちを殺そう。

 君たちは私を殺そう。


 殺し殺され、死に死なれ、全力で目一杯愛し合うんだ。

 全てを愛して、全てを憎んで。


 一人残らずみんなが飽きてしまうまで繰り返すんだ。虱潰しするみたいに。ずっとずっと終わってしまうまで。

 さぁ、幸せな結末を迎えよう――。

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