表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/73

*9 進入禁止

 市田の部屋を後にした私は、一度自分の部屋に戻ってから大学に向かった。

 

 途中で市田と約束をした『レーズンサンド』を購入して。

 

 今思うと、どうして市田とそんな約束をしたのか分からなかった。

 

多分、何故か引き止めなくちゃ行けないと感じたのだと思う。

 

別に特別な感情を市田に抱いている、という訳ではない、と思う。

 

 


 

「……お前らってさぁ、ほんと仲がいいよな。付き合ってどれくらい?」

 

 研究室のドアを開けようとした時、樋田さんのそんな声が聞こえた。

 

 思わず、ドアノブに掛けた手を引っ込める。

 

 今、入るのはやめた方がいいらしい。

 

私まで行ったら、間違いなく市田とともに標的にされるに違いない。

 

ややこしくなると分かっている事に、わざわざ飛んで入る理由もない。


 ……とはいうものの、行く場所が思い付かなかった。

 

 本来、今日は休日で講義もない。

 

行けるのはここから少し離れた敷地内にある図書館くらいか。

 

せっかく着いたのに、もう一度外に出るのは億劫だ。


 時間潰しを諦めて壁に寄り掛かり、しゃがみ込む。

 

しばらく待てば中に入ってもいいだろう。

 

 持っていたバッグとお菓子の紙袋をすぐ脇に置いた。


 天窓から入って来る日差しが暖かい。

 

膝を抱えて顔を伏せ目をつぶっていると、自然と瞼が重くなってくる。

 

耳ははっきり聞こえているが目は重くて開かない、という半覚醒のような状態。

 

 ――昨日のお酒が残ってたのかな……。

 

そのまま夢を見た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ