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異世界戦記 ~ここで俺は最強に至る~  作者: かげ2500
第7章 影の五騎士編

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209話 終わっちゃいない

「ガルスさんは……まだ終わっちゃいない!」


 俺がガルスに向かってそう叫んだ、その瞬間だった。


 突如、周囲が暗くなり、俺たちを覆う巨大な影が現れる。


「しまっ――!!」


 咄嗟に見上げた俺の目に映ったのは、空から迫りくる巨大な鉱石の塊。


 触手に気を取られすぎていた――魔物の本体に意識を向けるのが遅れた。


 圧倒的な質量が空を裂き、轟音とともに俺たちを押し潰さんと落下してくる。

 この速度では、魔法も間に合わない――。


(くそっ……!)


 絶望が脳裏をよぎる。だが、俺は最後の希望にすがるように叫んだ。


「ガルスさん!」


 だが、振り返った俺の目に、ガルスの姿はなかった。


「なっ……!?」


 動揺する俺の耳に、次の瞬間、轟くような雄叫びが響く。


「うぉおおおおおお!!!」


 驚いて前を向き直ると、そこには――迫りくる巨大な鉱石に向かって跳躍するガルスの姿があった。


 両手に握られた大剣。隆起する筋肉。迸る気迫。

 その全身から放たれる力強さに、俺は目を輝かせた。


「ガルスさん!?」


 俺が思わず叫ぶ。すると、宙を舞うガルスは一瞬だけ俺を見て、不敵に笑った。


「見てろ、ガキィ!!!」


 ガルスはそのまま剣を振り上げ――


「これが……!」


 大剣が振り下ろされ、次の瞬間――


「最強だッ!!!」


 轟音と共に、巨大な鉱石が震えた。

 振り下ろされた刃の一撃が、圧倒的な衝撃を生み出し、鉱石の表面に無数の亀裂を走らせる。


「キィイイイイイイイイイイイイ!!!」


 魔物の金切り声が響き渡り、その巨体が揺れながら大きく後退する。

 粉塵が舞い上がり、辺りを震わせる振動が大地に響く。


 俺は呆然としながら、その光景を見つめていた。

 本物の“最強”が、そこにあった。


 全身に亀裂が入った魔物は動きを止め、じっと俺たちを見据えていた。


 俺はすぐにガルスのもとへ駆け寄る。


「ガルスさん……!ありがとうございます!」


 そう言うと、ガルスは大剣を肩に担ぎながら、未だ立ちはだかる魔物を睨みつける。


「礼なら、あいつをブッ倒してから言えや……」


 低く響くその声に、俺はぐっと杖を握り直した。


「えぇ、そうですね……"一緒に"倒しましょう!」


 俺の言葉に、ガルスの肩がわずかに揺れる。しかし、俺が隣に並ぶと、彼はニヤリと口角を上げ、再び剣を構えた。


「チッ……俺に置いてかれンなよッ!!」


 その瞬間、俺たちは同時に魔物へと駆け出した。


「ガルスさん!俺に作戦があります!」


 俺がそう叫ぶと、ガルスは目を細め、怪訝そうにこちらを見る。


「なんだァ!?作戦ってェのは!」


 俺は息を整える間もなく、素早く説明を始めた。


「俺の魔法で、あいつの鉱石を内部から砕きます!その砕けて脆くなった部分に、ガルスさんの一撃を叩き込んでください!」


 俺の提案に、ガルスは「チッ」と舌打ちをしながらも、すぐに返事をよこした。


「わーった!絶対に失敗すんなよ!」


 その言葉に、俺は少し驚いた。

 あれほど一人で戦うことにこだわっていたガルスが、俺の作戦を受け入れた。それも、迷いなく。どういう心境の変化があったのか……その理由は分からない。けれど、俺にとっては嬉しい変化だった。


「俺の魔法が合図です!合図とともに、一気に攻撃してください!」


「応ッ!!」


 ガルスの力強い返事を聞き、俺は杖を構える。


 杖を強く握りしめ、深く息を吸い込む。魔力を一点に集中させながら、頭の中で音の本質を思い描く。


 音は、空気の振動――。


 静寂を切り裂き、響き渡る波。見えない力が世界を揺るがす。俺は魔力を空気に溶かし込み、目には見えない鼓動を生み出す。


 もっと強く……もっと激しく……!


 振動が足りない。もっと荒々しく、もっと鋭く、大気を揺さぶれ。

 俺は魔力を練り上げ、形を与える。やがて空気が震え始め、周囲に見えない波紋が広がっていく。


 大きく……荒々しく……空気を揺らせ。音を出せ。


 空気の壁が歪み、今にも弾けそうな圧が俺の周囲を包む。そして俺は、最後の仕上げとして、魔力に”衝撃”を加える。


 炸裂する音の波動を、奴の内部へ――。


 すべての準備は整った。


「いくぞ……!」


 俺は杖を振り下ろし、魔法を解き放つ。


「サウンド・ブレイカー!!」


 轟音が炸裂し、音の波が一気に魔物の体へと押し寄せた。


 空気を震わせるほどの轟音が響き、魔物の内部へと突き刺さるように広がっていく。

 音の振動が鉱石の内部を揺さぶり、細かい亀裂が一気に広がる。


「キィイイイイイイイ!!!」


 魔物の悲鳴が響いた。すでにダメージを負っていた鉱石の装甲が音の振動によって崩れ、ひび割れがさらに深く広がっていく。


「今だ、ガルスさん!!」


 俺が叫ぶと、ガルスはすでに地を蹴っていた。


「うおおおおおおおお!!!!!」


 大剣を振りかぶり、猛然と魔物に突っ込んでいく。


「これが――俺のッ!!!」


 ガルスの剣が唸りを上げ、砕けた鉱石の隙間へと突き刺さる。


「一撃だァァァァッ!!!」


 一閃。


 ガルスの剣が魔物の中心部を貫いた瞬間、雷鳴のような衝撃が周囲に走った。


「キィイイイイイイイ……!!!!」


 魔物の体に走った無数の亀裂が、一瞬のうちに全身へと広がる。そして――


「……終わりだ」


 ガルスが呟いた直後、魔物は大音響とともに崩れ落ちた。


 粉々に砕け散った鉱石の破片が地面に散らばり、辺りには静寂が訪れる。


「……はぁ、はぁ……やった……!」


 俺は息を切らしながらも、勝利を確信した。


「やりました!ガルスさん……!」


 そう言いながらガルスを振り返ると、彼は肩で息をしながら、静かに笑っていた。


「チッ……まさかガキと組んで戦う日が来るとはなァ……」


 大剣を肩に乗せたまま、ガルスは天を仰ぐ。


「……だが、悪くねぇ」


 俺はその言葉を聞いて、思わず笑みをこぼした。


 ガルス・ヴォルガンは、まだ終わっちゃいない。

 この戦いが、彼の新たな始まりとなるのだから。

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