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王家御用達の商人


 いつもより文字数が少なかったので、筆が進んだと言って良いのかわからなくなりました笑


 まあ、2話投稿という事で許してください。



「ラン商会ブリード王国本店所属、王家専属商談役のカランと申します」

「雲隠家雲隠衆次々代暫定当ーーー」


 ま、まま、間違えたぁあああ!!!

 丁寧な名乗りに思わず前世での肩書きの名乗りをあげちゃった!

 しかも、使う事なんて滅多にない裏の…いや、ほんとは表なのかな?どっちにしろ、あまり使わない方の肩書きを!

 ええいままよ!


「暫定当主の雲隠陽陰が遠戚に当たる、ダンシャク商店が当主、ホーマー・ダンシャクの次男のシヴィ・ダンシャクです」

「おお!わざわざ遠戚からご紹介頂けるとは!」


 ふぅ。焦ったぁ…。何とか誤魔化せた!

 家名がダンシャクだったから怪しまれなかったけど、家名がダンシャクじゃ無かったら怪しまれてたね。


 騙してごめんなさい。あながち間違いじゃ無いけど。


「今回はわざわざお越しくださりありがとうございます」

「いえいえ、私共といたしましても、当方をご贔屓くださって感謝しかありません」

「こちらこそ、いつもいつもお世話になってて感謝の念が絶えません」


 それもそうかな。費用は王家が負担してくれてるから、僕が実際に払ってるわけでは無いけれども客は僕だしね。良い材料をもらえて僕は嬉しいし、彼は儲かって嬉しい。


 むむむ。そう考えると、王家にこそ何かお返しをしなくちゃいけないのかな。


「所で、今回お越しくださった御用は?」

「堅苦しく無い話し方で大丈夫ですよ?」

「それじゃあ、お言葉に甘えて言葉を崩させてもらうね」


 立場としては、客の僕の方が上になるだろうから…その方が相手からしても楽だろうね。


「本日伺ったのは、いつもご贔屓にしていただいている御礼を申し上げに参ったのと、半年も経ってからと言う遅ればせながらの顔合わせも兼ねております」

「なるほど…」

「こちら、つまらない物ですが…」


 え?こんな日本人的な言葉もあるの?


「コレは…」


 ウィーがカランさんから受け取った紙袋の中身を検閲すると、顔色が変わったのがよくわかった。

 何だろ…。


「どうぞ」

「ありがとう。……一見するとはちみつみたいだけど…」


 うん、反応に困るものが入ってました。

 超高級品でございますよ!?

 一合カップくらいの大きさの瓶に、9割くらい蜂蜜が入ってて…それが……10個!?


 お近づきの印に渡される様なものじゃ無いですけどぉ!?

 現金にしたらどのくらいになるんだろぅ。

 感覚としては…うぅーん…金塊を渡されるような感じかなぁ?僕だって渡された事ないから分からないけれど、何となく想像はつくんじゃない?


「あの、コレは流石に受け取れないです」

「いえいえ!受けって頂かなければ捨てることになってしまいます!他の人にプレゼントしたものを突き返され、あまつさえそれを別の人に渡すなんて事出来ようはずもありません!」


 うぐっ…それを言われると受け取らないわけにもいかなくなってしまうなぁ。

 これは、スプリングだけじゃ釣り合いが取れないんじゃない?


「うぅーん……それじゃあありがたく受け取るよ」

「ホッ…受け取って頂けて何よりです」

「代わりと言っては何だけど、僕からも贈り物があるんだ。技術提供だけどね?」

「なんと!最近、ルージェイヤー第3王女様が開発者と口にされることの多いシヴィ様からなら、私共の贈り物なんかよりもよほど高価なものとなりましょう!」


 いや、辞めてください。その期待の大きさに応えられるかわからないので。

 と言うか、ルーは口を噤もうよ。無口系お転婆王女様でしょ?雄弁じゃん。


 ま、人の口に戸は立てられないって言うから良いんだけど…。王様に怒られないのかな?


「馬車に関する技術なんだけど、僕は数回しか馬車に乗った事がないから…あまり詳しくは言えないけど、馬車って揺れるよね?」

「ええ。街の中ならば道も整備されてるので比較的マシですが、田舎の方に行くにつれて酷くなっていきますね」


 でしょうね。

 よく使われる道なら、踏み固められたり誰かが石をどかしてあったりするから揺れも少ないと思うけど、頻繁に使われない道ならガタガタ揺れそう。


 僕は日本でも馬車に乗った事あるけど、コンクリートの上を走行してくれてたからかそんなに揺れは感じなかったなぁ。

 技術の発展は偉大なり。


「コレがその図面だけど…」


 実は事前に用意してました。

 詳細を書き終わる前に来なくて良かったよ。


「ほう…コレは…説明の通りであるなら、この部品を使う事で揺れを抑えられると?」

「うん」

「それは…凄いですな」


 でしょ?

 他の街から材料とかを持って来るときは、それが壊れやすいものであるだけ高値になるってマイダディが愚痴をこぼしてたからね。

 ガラスとか壺とか。

 現代でも業者に頼まないで引越しをすると、大切なものが壊れてるって事は良くあるし。


 道が整備されてる上に、馬車よりも安定性が高い車でさえそうなるんだから、揺れに対する悩みは相当だと思うんだけど。


「素晴らしい…。商人にとって、運搬が1番の難所ですからな」

「コレが流行れば、仕入れ値や弁償とかのリスクが大幅に下がるんじゃないかな?」

「その通りですな。流石、商人のご子息です」


 さて、問題はこの後なんだよなぁ。


「技術の提供は有難いのですが、流石にコレだと先ほどのハチミツとは釣り合いが取れないかと」

「ですよね…」


 んー…何かないかなぁ。

 掃除機…とか?

 ファンを風魔法で動かして、ゴミは…火魔法で焼却するとか?

 いやいや、間違って大事な物とか吸い込んだら危険だ!


 寧ろ、逆に考えて送風機にしようか…。

 落ち葉とかを一箇所に集めるみたいに、ゴミをまとめる事ができれば…舞っちゃうかな?

 むむむ、難しいぞ…。


「コレは何かお返しをしなければいけませんね」

「ん?え?いやいやいや!こっちの方が貰いすぎだよ!」

「まさか!技術料として売り上げの2割を納めさせていただきます。それと、専売化をするつもりなのでその料金も」


 いや、貰いすぎです。

 既存の馬車にもつけられる様にするのか、新しいタイプの馬車を作るのかは分からないけど、どちらにしても2割は貰いすぎですって…。


「いやいや、1割で充分です!僕はあまりお金を使う事もないし」


 本なら借りれるし、入り用のものがあれば王家が払ってくれる。

 城下に行った時に必要になるかもしれない…けど、まだここに住んでから一回も行った事ないし。


「そうなんですか?普通、もっと吊り上げてくるのですが…」

「シヴィ様、姫様が参りました」


 ん?何もそんなコソコソと耳打ちしなくても良いのに。カランさんも顔見知りでしょ?


「姫が来た」

「自分で言うんだ」

「おお!ルージェイヤー王女様!ご機嫌麗しゅうございますな!」

「うん」


 それだけ?淡白がすぎると思いますよ、姫様。

 にしても、今日は何しに来たんだろう。

 遊びに来たのは間違いないけど。


「ちょうど良い、オセロやろう」

「おおお!姫様からお伺いはしておりましたが、実物を拝見できるとは!」

「ウィー、持ってきて」

「はい」


 ねえ?君のお付きのメイドさんはまた巻いてきたの?


「ドアの前で待機してる」

「あ、そう。なんで一緒に入らなかったの?」

「ここは安全だから」


 その言い方だと、まるで王城内の方が危険だって聞こえるんだけど?聞かなかったことにしといて良いですか?

 ほら、カランさんも困ってるよ。


「全く。お転婆姫様にも困りものだ」

「私は王城では大人しい方。姉上の方が危険」

「……考えたくもないね」

「……」


 いや、カランさんは否定してください?

 沈黙してるって事は、ルーのお姉ちゃんの方が危険だって認めてる様なものですよ?

 否定したら否定したで、ルーの方が危険だってことになるような…。


 うん、口は災いの元だね。しっかり戸締りしておくのが吉だよ。

 この場合はノーコメントが最善だね。



 次回は12日の19時です。

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