残酷なカコⅠ
○7月3日 12時19分
両親が、死んだ。
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僕の両親は、八百屋をしていた。稼ぎはいいとは言えなかったが、それでも僕と妹の生活に不自由はなかった。
しかし、7月3日に事故はおきた。午前中にも関わらず飲酒運転してた40代のクソジジイに引かれて両親は死んだ。僕も学校から帰ってきた時に悲劇の現場を見たが、トラックが八百屋に突っ込んでいて当時小学5年生だった僕にとってそこはあまりにも残酷で苦痛たるものだった。
それからは両親の親戚に預かってもらうという話になるのはそう難しいことではなかった。親戚は全員肯定の意を示した。だから僕達二人は安心し、その日は取り敢えずお父さんのお婆ちゃん家に親戚全員集まり、夜話し合っていた。勿論、僕達二人はその頃にはぐったりで家についたらベットに行き直ちに意識を手放した。今思えばこのまま寝ていられたほうがどんなに幸せだったか分からない。
夜中、尿意を催したのでベットから這い出てくる。眠い目を擦りながら廊下を歩み始めた。これが、ただのトイレだったらどんなに幸せだった。ことか。和室の一室で話し声が漏れている。ついつい聞き耳を立ててしまった。
「で、バーさん。あのガキらどうすんだい」
「一番若いあんたが引き取りなさいね」
「いやぁ、でもぉ、わたしぃ、仕事忙しいしぃ」
「じゃあ、和樹さん引き取って下されませんか?」
「事故の賠償金、全額僕が貰っていいなら考えても良いてますけど」
「おい!そりゃあ聞いてねーぞ、山分けっつたろ」
「…」
僕は言葉を失っていた。誰も僕達を心配したり僕達の両親が死んだことを悔やんだりしていない。目先の金と面倒事である僕達の処理の仕方を考えている。男らしく「クー坊」「蛍嬢」といっていた士郎おじさんが、優しく「九矢さん」「蛍さん」と言っていてた菊おばあちゃんが、みんなが、僕達のことを「あいつら」「ガキ」と多少の蔑みを交えながら話をしている。しかし、僕を最も驚かせたのは次の言葉だった。
「しっかし良いタイミングで死んだなぁ
丁度ギャンブルでハズレちまったんだよ」
話の場で笑い声がする。流石にもうストレスで耐えられなくなり吐き気を感じるようになってきた。そして僕は当初とは違う目的でトイレへと急いだ。
「うおっっっっ おえっっ」
吐しゃ物を吐きながら僕は考えた。
あいつらはまともな神経をしていない。今思えば、両親は親戚達と会う時、笑ったことがない。そういう事だったのか。
そう考えると急に怖くなる。大人は危険だ。人を貶める無駄な知識とと他者を支配する強靭な肉体を持った大人は僕達子供にとって危険だ。
もう、僕は大人を信じない。




