表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

魔女と資格

4月27日 午前0時30分 異界3層


 先輩達があまりにも良い雰囲気を醸し出しているので、声がかけづらい。それでも意を決して話しかけた。


「キャプテン、先輩、すみませんでした。」


頭を上げると二人が何のことか分からない顔でこっちを見ていた。

「えっと、2人の勝負を邪魔して、蹴ったり、騙したりしてすみませんでした。」と、言ってもう一度頭を下げた。2人が近付いて来て、左肩に手を置かれた。

「ああしなければ守は助からなかったかもしれないんだ。俺1人だと守を助けられなかった。いつもの守のままですんだのは、間違いなく創志、お前のおかげだ。こっちこそ礼を言う。」


 顔を上げると二人とも笑ってて、先輩からは抱きしめられ冑の後ろから撫でられたと思う。キャプテンの顔が少し強張って怖かった。

「神郷のおかげで、静矢との関係が進めたんだ。神郷の時も手伝ってやるよ。それより、もう終わったんだね。」先輩は安心しきっているがまだだ。


「いや、この空間がなくなってないからな。守がこの異界の核ではなかったようだ。」

キャプテンがそう言ってこっちを見てきた。


「そうです。先輩は核じゃない。核は別の人です。キャプテンは先輩をここで守っていてください。敵は僕達の戻る場所も知っています。ここに一緒に隠れていて守ってあげてください。」


「見当がついているのか。」とのキャプテンに無言で頷く。

「何のことを言ってるの。」

「俺達に言えないのか。」

紅先輩は困惑して、キャプテンはこっちをじっと見てくる。


「キャプテン、俺が知らない蹴斗のチームのやつらが集まっていたら、信用していいけれど、他のやつらなら必ずあのバリア越しで話すようにしてくれ。例え知り合いでもだ。」

そう言って先輩達に背を向ける。

「Style change Sniper CODE search 」

黒のフード付きコートを纏い、そこから離れる。後ろから、守はまかせろ、そっちもうまくやれと聞こえた。


同日 午前1時前 同階層 小高い丘


 丘の上から住宅地を見下ろし、強化された視界である人を探す。画面の端に映る映像では、蹴斗達が優勢に事を進め押し切れそうだ。先輩達もうまく隠れたようだ。


『貴方は核の見当がどうやって付いたのですか。』


「俺への反応が違ったんだ。最初は焦っていたから気付かなかったけど、思い返すというかあの反応を繰り返されてたらおかしいと気が付いたんだ。」キーに答える。


キーは見当がつかなかったようで、行動と相手を聞いてきた。


「スタイルを使っている時に、名前も聞かず俺だと気付いたやつが1人だけいる。たぶん、そいつが核で………成り代われている。」最後の言葉を呟いた時、体に悪寒が走った。


パチパチパチパチ


 不意に後ろから拍手の音が聞こえ振り返ると、ボロボロのローブを着た人が立っていた。ローブの下から漆黒のふわふわしたドレスがチラリと覗いている。自然とそれを睨みつけていた。


「大当たりよ、神郷君。改めまして自己紹介をしておきましょう。私の名は、魔女リリス。早乙女さおとめ瑠璃るりの生まれ変わりよ。」ローブを剥ぎ取り姿を現した。


 学校での真面目で大人しめの印象は消え、不気味な妖艶さを醸し出している。彼女が手を横にかざすと、黒い靄が集まってきて、杖とローブに変化し、手を勢いよく戻すと装備が終了した。そのまま、不適にこちらに微笑み言う。


「私はここに楽園を作るの。あの人との2人だけの楽園を。邪魔せず引き下がってくれるなら、命までは獲りはしないわ。あの邪魔者達にも今なら、手を出さないわ。とっても魅力的な提案だと思うんだけど、どうかしら。」


声が何故か癇に障る。

「Style change Samurai CODE assassin 」

右手を柄に置きいつでも抜けるようにしておく。


「魅了が効かないのね、美的感覚がないのかしら。神郷君は私と闘う事を選んだようだし、向こうが一段落付くまで………遊んであげるわ。」


 彼女が話し終えると同時に一陣の風が吹き、雰囲気が変わった。右手の杖を掲げ、左手を口元に持っていく。魔法か何かを発動させる前に潰すため最短距離を走る。ぶつかる瞬間、右手を前に、左手を後ろに少し引き刃を体にあて引き切る。右手を振りぬくと、鮮血が舞った。


「浅いわよ、それじゃあ。あら、神郷君。顔強張ってるわ。その刀随分特徴的だけれど、無駄な用ね。言った筈よ。私は生まれ変わったの。もう早乙女瑠璃ではないのよ。」


 確かめるつもりで軽く斬ってみたけれど、完全に成り代わりが済んでいるようだ。この刀には、外から後付された能力や、物を切り離せるような力が付加されている。それで、体が斬れるとなると、体はすでに早乙女でなくリリスの物と認識されているって事か。助けられないのか。


 リリスが飛ばして来る火の玉や、水弾を斬り飛ばしながら考えるが救える手立てが思いつかない。アサシンの能力を生かしてヒントアンドウェイしようにも浅くしか切れない。先輩の時のようなきっかけや運が欲しかったが今回ばかりはどうにもなりそうにない。


「神郷君、その程度じゃ私を倒せないわ。そろそろ私も本気で行くわよ。」

そういって左手で空に何かを書いたら、彼女のローブの色が紫がかり、ベールが顔を覆った。ローブからは妖しく金色に光る目しか見えない。異界の月が紫の満月に変わる。

「これでも、ステータスが変化しないなんて、なんて愚鈍なのかしら。これが、あの方の悩みの種になるとは、至極遺憾ですし、今ここで消してあげますわ。」

彼女は左手を前に突き出し、右の杖を振った。


 岩石が頭上から2・3個降ってくる。切り裂いても潰されるに決まっているのでもちろん回避する。回避したところに火炎弾が飛んでくる。体を捻ってかわすと、風に吹き飛ばされて、いつの間にかに現れている土壁にぶつけられた。彼女を見ると恐らく詠唱してそうだった。アサシンのステルスを発動させ近付いていく。


「………ぃかりの矛先に、相応しき罰を与へ給ふ。くらえ、レヴィア ぐあっ」

彼女が杖を振り下ろす時に合わせて抜刀する。刃は右二の腕を通り左手首も斬り落とす。そのまま左肘を振り上げ、顎を打ち抜き刀を突き刺し捻り、左手を振り下ろし敵を突き放し抜く。滴る血を見てゾッとし、刀を振って血を落とす。


「ぐっ、今のは効いたわ。それよりひどいわね。早乙女はあきらめて殺すの、神郷君。先輩には助ける価値はあったけど、私にはないんだね。ひどい、ひどいよ、神郷君。」


「笑い我慢しながら言っても、説得力ないぞ。」行動がいちいち癇に障る。刀をもう一度強く握り、抜刀したままで構える。


「ふふっ、その強がっている顔良いわよ。屈辱に染めてあげたいわ。」

両手が生えて戻っていく。

「震えていて、そんなに怖いの。早乙女を殺すこと。貴方はこの子にあまり関わってないから居なくなっても変わらないんじゃない。」


奥歯からギリギリと音が聞こえる。


「もしかして、誰かが傷付くんじゃないかとか思っているの。まあ、居るかもしれないけれど、貴方には関係ないでしょう。」


何だあの物体は、人の体を奪わないと何も出来ないくせに。人のちょっとした思いから生まれたくせに。

弱みをついて、自分の思うように動けるようになったからって、調子に乗りやがって。


「私の邪魔をするのなら、それ相応の覚悟を持って挑むことね…そうだ、最後だから教えてあげる。私くらいになると、詠唱、口でしなくても良いのよ。さよなら、ゴミ屑。」

「Stlye change Hero CODE seeker 」


 辺り一面が白く輝き、轟音が鳴り響いた。土煙が収まる前に敵が居た方へ突き進む。煙の先に見えた人影の足を狙って片刃の大剣を叩きつける。両足を失い落下するそれを刃が付いていない方で切り払う。


刃がリリスに触れた瞬間、

「私を殺してください。神郷君。もう迷惑をかけたくありません。例え体を取り戻せても、保てずに消えてしまいます。それなら、ここで死んだ方が皆の為になるんですよね。」

何だ今のは、斬った時早乙女さんが見えた。キーに確認するとキーにも見えたらしい。


 敵のことを思い出してリリスを見ると、岩を手すりのようにして立ち上がろうとしていた。

「リヴィアサンを受けて立ち上がるなんて、それにしても魂を喰らったはずなのに瑠璃が出てくるとは、何しやがった。貴様。」こちらを睨みつけてくるが妖艶さは無くなっている。


『仮面が剥がれかかっていますね。』


リリスが余裕無く叫んでいる。

「あの野郎、暴走しやがった。蹴斗が危ない。ここは引かせてもらうぞ、神郷」


『逃げてしまいますよ。追わないのですか。』


 リリスが消えた後をぼうっと見ていると、キーが話しかけてきた。

『敵は、蹴斗達の所へ向かったようです。至急追いましょう。』


「キー、ゲームや漫画じゃ助けられるが、やっぱり無理なのか。」

白い片刃の大剣を見ながら呟くと、キーが答えてくれた。


『その剣は恐らく、宣託の武器【Tell the Last Voice】に該当すると思われます。手遅れの人の最後の声を聴くことが出来る武器です。なので、救うには……』


 そうか、やっぱりうまくはいかないか。蹴斗達なら救えるだろうか、俺じゃ駄目だった。せめて、手伝おうと思って、画面の蹴斗達の戦闘映像を大きくして蹴斗達の元へ向かい出した。





恐らくこの話から鬱々とした展開が始まります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ