変化する日常
やっと第1章開始です
4月16日 異界 第1層 住宅街西側
異界化して赤黒くなった住宅街を走る。4回目になるけど、雰囲気が違う自分達の街にまだ慣れない。
「キー、後どれ位で着く。」 はやる気持ちを抑えながら聞く。
『角を曲がればすぐです。敵反応を確認Mシンク2体です。先に撃破してください。それではマップに表示します。』
視界の右側に出たマップをちら見し確認する。よし、追いつけそうだ。角を曲がるといつでも抜刀できるよう左手で鞘を固定し、右手を柄に添える。灰色と黒のボーダーのヘドロが居てゆっくり進んでいる。スピードを上げ追いついた瞬間、右手を引く。一瞬抵抗を受けたがそのまま引き抜く。
『1体撃破、残りは耐性持ちです。打撃に切り替えて下さい。』
残り1体が動きを止めて、こっちを見てきた。
「了解。style change Striker」
淡い光が刀を包んで刀が消え、さらに体が軽くなる。右左右右左と不規則にステップを踏む。
「時間ないし、攻めるか」
気合を居れ、一気に距離をつめ左足で踏ん張り上体を捻る。L字に綺麗にロックした右腕が少し遅れて突き刺さる。右腕を引くと同時に左肘、左裏拳、左肘、右ストレートと幾つも連打を入れ続ける。
『撃破確認しました。救出に向かってください。』
最後の右フックが空を切った所で息を吐く。
「これだけ激しい運動してもまだ動ける、慣れてきたか。」
『油断しないで下さい。それよりその装備はどうですか。』
今自分は、黒のフード付きのコートを着ている。あれだけ運動してもずれることもなく、通気性も良い。
「コートは重さも感じないし最高。顔の周りのデータ表示するやつも邪魔にならない。動きやすい。ただ、怪しくないかデザイン。」他人から見ると、黒いコートで、顔のところも光を反射して見えない。もし、こんな人と遭遇したら俺は避けるな。
『デザインはすみませんがどうにもなりません。それでは救出を完遂して下さい。』
ちょっとショックを受けつつマップを確認する。
見つけた。小学生くらいかな。
「おーい、君大丈夫?」と言って頬をつついてみる。
「うぅ…大丈…夫です。」 意識があることに驚いた。ただ、安心したのか抱えると眠ってしまった。
「キー、転送頼む。」 少年を担ぎ、荷物も持ってから頼む。
同日 虎西公園
少年をベンチに寝せてその場を離れる。
3日で異界に引き込まれた人が2人、これは多いのだろうか。疑問に思って聞いてみる。
『異界化の進行は速いですが、この星の人達は適性が高いようです。引き込まれてた人は今のところ貴方方だけですね。この子は迷い込んできたようです。異界では願いを具現化させやすいので、無意識に具現化させようと入り込んでくる人が居ます。今回もそのパターンだと思います。』
「結局助けないとまずいんだろ。」
『そうですね。引き込まれると引き込んだ相手からBADステータスを与えられます。迷い込んでも、異界では体力消費が大きく、敵に対して攻撃手段をまず持たないので危険です。かなり高い適性を持っていれば逃げるくらいはできると思いますが。』
「それなら、毎回助ける必要があるな。ヒーローみたいに。」内心ほんとゲームみたいだと思いながらそうのたまった。
『何度も言いますが、命が懸かっているので油断なく真剣にやってくださいね。』機械質な声なのに暖かく感じて、返答が少し遅れた。
「……分かってるよ。それより、護送船の最適化はまだ終わらないのか。蹴斗も慣れておいた方が良いとおもうけど。」蹴斗は部活で忙しいのと、キーとコミュニケーションが取れないのであの日以来行ってない。
『私もそう思います。今日中には終わる予定なので、それ次第ですね。』
「キーは、護送船のプログラムが復帰したらどうなるの。」
『貴方さえ良ければそのままサポートさせて頂きたいのですが、メインプログラム[マヤ]のサポートが良ければそちらでもかまいませんがどうしますか。』
キーと知らない人か、その時にならないと分からないけど俺は、キーが良いな。
「その“マヤ”次第だけど、たぶんキーを選ぶと思う。それじゃ、経験値稼ぎに行くか。」
『お世辞でもありがとうございます。それと、ゲームではないので経験値はありませんよ。』
「でも、戦って進化していくんだろ、それなら経験値で良いって。」
戦う度に強くなってきているのが分かって楽しい、わくわくしながら異界へ戻った。
同日 夕方 自宅
今日もMシンクとRシンクだけだったけどよく狩れたな。確かMが無意識に思いがあふれて具現化した塊で、Rが願望からあふれ具現化した物だったな。強さも変わらないし、見た目はそれぞれ違うし区別どうやってつけてんだろ。それより、異界の核となる人以外の想いからも敵が出現するらしい。もしかしたら俺からのやつもいるのかなと考えながら玄関の扉を開けた。
「遅い。このマヤが目覚めたというのに何をしておるか。」
何故帰ったとたんに喚かれなければいけないんだろうか。おそらく護送船のメインプログラムだろうが。とりあえず、メインプログラムはキーに任せて風呂洗いに行く。洗っている途中で、呼ばれた気がしたが、話が長くなりそうなので洗うほうを優先する。独り暮らしなのだから時間を無駄にしたくない。綺麗に洗えてたので、後はボタン1つだ。ボタンを押して今度は晩御飯の準備に向かう途中で、今度はキーから呼ばれた。
「晩御飯の準備しながらで良い」とキーに尋ねる。
「お前、ど田舎の星の住人の癖になにマヤを無視してる。マヤは嫌だ。こいつをサポートするのは嫌だ。」と、立体パズルから聞こえた。
「じゃあ、キー今後ともよろしく。」と返して晩御飯の準備に取り掛かる。たぶんこいつとはそりが合わないと思った。
「きーーっ、んっ『キー』とは誰だ。マヤはマヤだぞ。」パズルが跳ねた。
『マヤ、私です。緊急サポートシステムです。』携帯が声を出す。
はたから見るとおかしな光景だな。蹴斗から痛い人呼ばわりされたことを思い出した…やっぱり痛い人だった。今さらながら恥ずかしくなってきた。
「おい、聴いているのか地球人。」パズルがこっちを見た気がした。
「あぁ、聞いてる。とにかく俺はキーと組むよ。目立たないし。」少しひきつつ答えた。
「マヤの方が性能がいいから後でサポートしてくれと言ってもきかんからな。本当にいいのか。」自信満々だな。
「だから、俺はキーと組むって。あっ、あんたの方がキーより優秀なんだろう。それなら別のやつのサポートを頼みたいんだが……」蹴斗すまんなと思いつつ提案する。
「ほう、マヤを満足させるやつか?」との問いにあんたが決めてくれと返し、相手をキーに任せて炒める作業に入った。晩御飯はおいしかった。
4月17日 私立龍門高校 第1グラウンド
マヤがバックの中は狭くて嫌だとごねたが、電源を落とせば問題ないことに気づき出発する。残念ながら朝練前には間に合わなかった。グランドに来た途端始まるとか…携帯で連絡しとけば良かった。教室に戻るか。
「神郷君、海山君に何か用、私が伝えておこうか?」誰だろう、ジャージで同じ学年ということしか分からない。たぶんマネージャーなんだろうけれど、顔は見たことあるんだけどな。
「早乙女誰と話してる。ゲータレードの準備にいくぞ。おっ、神郷じゃねーか。サッカーまた始めるきになったのか?」うわっ、紅先輩だ。
「いや、蹴斗に用事があっただけです。後からでも良い用事なので教室に戻りますね。」戻ろうとしたら肩を捕まれた。お手伝い確定。
「ちょっと手伝うくらい良いだろ。仕事が意外とあるんだよ。美人が2人もいるんだ。目の保養にもなるぞ。」紅守先輩…厄介な人に捕まってしまった。良い人なんだけど、押しが強いんだよな。後の早乙女さんも困ってる。ていうか引きずられてるんだけどな。
第1グランド横部室棟
来る途中の会話で早乙女さんは隣のC組の人と分かった。そして、自分は勧誘用のポスターを作る係りになってしまった。
「新入生が7人以上集まらなかったら、責任を取って入りな。」と言われてしまった。もう、9人以上入部届け出してる事知ってるはずなのに……
「あの、先輩は悪い人ではないので、嫌いにならないで下さいね。」
早乙女さんがいつに間にか部屋に入ってきていた。
「紅先輩は中学の時からの知り合いだから大丈夫ですよ。昔から変わらず強引なおせっかいしますから。」と驚きを出さないように答える。
「それなら良かった。誤解されやすい人だから…それよりポスターできましたか。」
「こんな感じでどうですか。」パソコンの画面を向ける。
「あっ、あのこの写真もらえませんか?」早乙女さんは蹴斗のシュートしてる写真を指差して尋ねてきた。
「この写真をプリントすればいいんですか?」
正直自分でやってくれと思いつつ印刷する。早乙女さんはパソコンが全く使えないだけでなく、写真があることも知らなかった。そこで写真のフォルダを開いて見せてると、あれもこれもとプリントする写真が増えていった。余談だが4割位蹴斗だ。人気者だな…蹴斗
「ポスター終わったか。おっ、おもしろそうなことしてるじゃないか。蹴斗ばっかだな。早乙女、蹴斗はあきらめな。敵が強すぎる。ただ、本気で勝負するならあたしは応援するよ。」紅先輩が戻ってきた。
早乙女は顔を真っ赤にしてそんなんじゃありません。憧れというかそんな感じで、付き合いたいとかじゃないんですと言ってくねくねしていた。
「紅先輩用も作りましょうか。キャプ」グーで頭を叩かれた。
「神郷、先輩をからかえるようになるとはえらくなったな。まぁ、どうしてもお前があたしに上げたいというならもらってやって」
さらに、面倒になりそうだったので先輩が言い終わる前に、ポスターのためし刷りを机の上に置いて逃走した。間違ってないはずと思いながら、蹴斗には用件と吹っ飛べとメールしておいた。




