† 個室 : 三十八日目†
三十八日目
朝っぱらから気分は微妙・・・・・・。欲や煩わしさが嫌だ。欲も煩わしさもバイバイしているはずなのに。
天気がいい。雲が流れるのが速い。
早く出たい。毎日思う。一日何度でも思う。早く出たい。早く早く早く。
ヒョロ助タイム♪
「今月中には出れますか?」
私の質問にヒョロ助苦笑。
まあそうですよね。生保もまだ下りていないのに・・・・・・。でもね、先生。私早く出たいのです。
早く。一日でも早く。一刻も早く。
「仮名さん。生活保護が下りてもすぐに・・・・・・って訳にはいかないんですよ~?」
にこやかに穏やかに話すヒョロ助。
「??? なんでですか?」
「出たあと・・・・・・どうするんですか~?」
「それは・・・・・・ナイショです☆」
「え~~~、教えて下さいよ~。ね?」
「フフフ・・・・・・ナイショです☆」
「そうか・・・・・・じゃあ、出してあげれませ~ん♪ 」
「はあ?! いやいや、生保下りたら退院しますので☆」
「あはは、はい。無理ですよ~」
「??? 無理もなにも・・・・・・出ますので・・・・・・」
「仮名さん。わたし生活保護下りると『医療保護入院』に切り換えますって言いましたよね?」
「はい。覚えてますよ~」
「そうですか。・・・・・・『医療保護入院』は患者さんが勝手に退院出来ないんですよ?」
「?!?!?!?!?! えっ?!」
「仮名さんが退院したいと言って退院出来るのは『任意入院』って形態なんですよ~」
私の頭の中はクエスチョンマークがわらわらと飛び交っている。
「先生。意味が解りません」
「あははは。・・・・・・そういう決まりなんですよ~。」
「じゃあ、その『任意入院』にしてください」
「う~~~ん・・・・・・。まだダメです。出たあとの事を・・・・・・住む所とか・・・・・・今後の生活とか・・・・・・」
「?!?!?!?!?!?!?!」
今後だと?!?!?!?!
住む所だと?!?!?!
アホかーーーーーー!!!!!!
私はまだ! 何もしていない!!
住む所?! いらねえーーーーー!!!
捨ててきたのっっっっっっ!!!
今後?! 決まってんだろうが!
『首吊り』!!! 『自殺』!!!
ゾッとした! 血の気が引いたよ!!!
子リスちゃん?! 私、この県で暮らすために来た訳じゃあないのよ?!
まったくもう!! 子リスちゃんったら私をバカにし過ぎよっ!!!!!!
「住む所とか、いらないです!」
「そう言う訳にはいかないでしょ~?」
「いえ。大丈夫です☆ 今後とか・・・・・・色々考えていますので」
「あっ本当に?! じゃあ、教えて下さいよ~~~」
「・・・・・・ナイショです★」
「アハハハハ、じゃあ、出せませ~~~ん♪」
「・・・・・・っっっぐ・・・・・・出たい・・・・・・です・・・・・・」
「ええ。ですからその為に今後の事を・・・・・・ね?」
小首を傾げる子リスちゃん・・・・・・微笑みが・・・・・・こ憎らしい~~~~!!!
「あの・・・・・・私の今後とかは・・・・・・先生には関係ないでしょう?」
「関係ないとか・・・・・・そんな事言わないで下さいよ~」
「いや・・・・・・でもですね、正直、ここだけの話・・・・・・関係ないでしょう?」
「そんな事ないですよ。関係ありますよ?」
「・・・・・・・ああ、担当患者に自殺されると困るんですよね。・・・・・・出世とか体裁とか・・・・・・」
「アハハハハ。そう言うのじゃないですよ~~~」
「大丈夫ですよ! わたくしこの県にムカついておりますので、生きてこの県から出てやりますから。ね?」
「う~~~ん・・・・・・そう言う問題じゃないんですよね~」
「じゃあ、どういう問題ですか?」
「うん。とにかく。あなたの今後をちゃんと考えましょうよ! まあ、先ずは生活保護が下りないと・・・・・・ね?」
「まあ、そうですね・・・・・・」
そう! とにかく生保が下りないと何一つ進まない。
・・・・・・・生保もいらないんだけどね・・・・・・。
伸びる髪。伸びる爪。伸びる寿命。出ない黄金。増える脂肪。増える皺。弛む肉。進む老化。
・・・・・・・・・・今日も陽が沈んでいく。何の進展もないまま・・・・・・。
私はいったい何時になったらここから出られる? いったい何時になったら死ねる?
窓の外にはクリスマスのイルミネーション。キチガイ病院の患者脱走防止の高いフェンスにクリスマスのイルミネーション。
まさか年を越す・・・・・・なんてこと・・・・・・ない、よね?
クリスマスも迎えたくないんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!?!
聖書ももう読み終わりそう。二週目いくか?!
『ヨハネの黙示録』ヤバイ!!!
最高に!!! 絶好に!!! 超絶に!!!
面白い!!!!!!!!!!!!
スペクタクル!!! スペクタク~~~~~~~~ル!!!!!!
聖書・・・・・・いいね★ SF小説としては最高に面白いじゃないか!!!
『メガテン』や『デビサマ』や『ペルソナ』ファンなら尚更楽しめますよ♪
私の頭の中では悪魔絵師『金子一馬さん』のイラストで展開されました☆
あ~~~~~・・・・・・陰口。悪口。
何処にでもあるんだな・・・・・・。たとえキチガイ病院でも。『人』である以上は仕方ないのか?
キチガイだから尚更たちが悪い気がする。常識はずれな大きな独り言。
皆くだらない出所不明の噂話に流されまくりだな。
閉鎖病棟。下世話でくだらない噂話が蔓延するのに時間なんて掛からない。
私の前職のお陰だろう。『風俗嬢』。
フフフ・・・・・・特に女性からの偏見の目は素晴らしく凄まじい☆
ベッドの上ではわたくし、負ける気がしませんのよ♪
フフフ・・・・・・自慢にもなりませんね★




